(房前の鼻の高台に@道の駅「源平の里・むれ」)
房前の鼻の高台にある道の駅。元々公園だった場所に併設されているようです。今や全国に道の駅がありますから、どこの道の駅も地産地消だとか地場産の食材を取り入れて特徴を出していますね。ここの道の駅もご多分に漏れず、地元の志度湾で上がった魚介類を食べさせてくれる漁港直営の食堂があるという事を聞いていました。開店が11時なので、房前の撮影地から上がって来た時間的にはちょうど良いなあと思っていたんだけど、店内に入ったら開店前から長い長い行列が・・・ぬかった。今日は土曜日だった。店内のおばちゃんに見通しを聞くと、「土日は1時間くらい待つ事もあるんですよ」とか言われてしまったんで残念。並んでまでメシ食うならその時間を撮影に回したい。「食堂で出してるものでお弁当になっているのもあるんで、よろしかったらどうぞ」という事で、弁当買って公園で食べることにしました。
道の駅の裏は広場のある公園(房前公園)になっていて、そこには志度線で走っていた琴電の旧型車両が保存されていました。琴電3000形の335号。説明板を見ると大正15年の琴平電鉄開業時に日車で作られたクルマってことで、仏生山で動態保存されている300号と同じグループ。栄えある「琴電」の一期生という事になります。平成18年の末に引退して、平成19年からここに置かれているそうなのだけど、屋根も付けられているし、塗装もきれいだしで凄く良い保管状況。地域の足代わりになって働いてきた車両として、大事にされているんですね。
オリーブ色のモケット、現役で走っていた頃の中吊り広告をそのままに、小口の流麗な窓枠と吊り革が並ぶ端正なデザインの車内。下の取っ手でガバッと外して下に落として開けるタイプの窓だ。この手の窓って指挟むんだよなあ・・・(笑)。つい10年前まで普通に現役だったせいか、適状レストアされていてそう古めかしい感じもしない。それでも運転台の上の微妙につけられた屋根のカーブとか、白熱球とか、握りポールとか、そう言うところはネイティブな大正ロマンに溢れていて魅力的だなあ。
クラシックカーらしいシンプルな運転台。ドアの開閉スイッチが運転室の窓の下位置につけられているのですが、昔の電車ってこんなタイプよね。剥き出しのブレーキ管がついたブレーキハンドルにウエスチングハウスの主幹制御器。それにしてもシンプルというか狭い運転台である。日本の路面電車の中には古い車両でこういうせせっこましい運転台がありますけど、窮屈でしょうがないのではないか。当時の日本人の体格を考えたら大きさもこんなもんなんだろうかとも思うけどねえ。小学生の子が車内で遊んでいたが、彼らくらいの体格でちょうどいい感じ。
ひとしきり保存車を見学した後、車内は飲食禁止なので公園の高台のベンチに座って弁当を広げる。大ぶりのカキが2コ乗った醤油味のカキ炊き込みご飯にカキフライが2コ、あとはキャベツとひじきとキンピラ煮。これで400円なんだから充分充分。志度湾のカキは味が濃くて、流通のためにパックの塩水に浸かったカキは味が抜けてるんだなあと感じるよな。カキフライも2コだったけど美味しかった。もう2コくらい食いたかったけど(笑)。ごちそうさまでした。
どこまでも凪の瀬戸内の海を見晴るかす高台のベンチ。瀬戸内の小島と遠く小豆島が見える。カキ弁当を食べ、食後のお茶を飲んでいると、目の前の房前の鼻を志度行きの電車がすーっと通って行く。海を見ていた午後であればソーダ水の中を貨物船が通るのだが、海を見ていた昼下がりは、「おーいお茶」の向こうを、ことでんが通るのでありました。