青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

蒼藍の刻

2019年02月17日 17時00分00秒 | 弘南鉄道

(津軽蒼候@津軽尾上~尾上高校前間)

まったりと黒石からレンタカーを止めてあった津軽尾上に戻ると、既に冬の津軽には夕闇が迫り始めていました。ついぞこの日は太陽を拝むことはなかったのですが、暮れて行く津軽平野の空の色は、暗くなるにつれて幻想的な蒼さを帯びるようになって来ました。再び尾上高校前の駅から尾上高架橋を見やれば、蒼い時の中を遠くからやって来る39列車の灯り。ゆっくりゆっくりと近付いてきます。

 

踏切の警報音が鳴って、駅に滑り込んだ列車から学校帰りの青年が降りて来た。平面顔の中間車改造編成にきれいにこびり付いた粉雪が、駅のホームの光に照らされて浮かび上がります。夜が近づいて、またグッと気温が下がって来たのを感じる尾上高校前の駅。まだサラサラと粉雪が舞ってはいますけど、昼間の地吹雪に比べれば屁でもないわな。いつの間にか駅前広場に来ていた迎えの車が青年を乗せて去って行ってしまうと、また雪の降る音しか聞こえない満面の静寂が辺りを包む。


鉄骨で組み上げられた無骨なホームと簡素なプレハブの待合室。一面の雪原に佇む停車場は、電化はされていますがこの時期北海道のローカル線の秘境駅のような佇まい。遠くにちらちらと明るいのは田舎館の集落。少しずつ少しずつ、蒼が藍に溶けて行くような雪の津軽のブルーモーメント。朝から降り続いた雪のせいで、線路の轍もだいぶ深くなりました。この夜の天候によっては、明日朝にはラッセルが出てもおかしくないかもなあ…。
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