青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

フラ・カ~ル

2012年08月28日 06時27分30秒 | 三岐鉄道・北勢線

(もう一つの貨物@JR富田駅)

さて、長々と三岐鉄道について申し述べて参りましたが、三岐の貨物にはもう一つ重要な品目の輸送がありまして、それがホキ1000による炭カル&フライアッシュ輸送なんでござーますね。趣味人もしくは建設屋でもなけりゃ炭カルもフライアッシュもよーわからん、とのたまう御仁にご説明させていただきますと、セメントっつーのは石灰石を砕けば出来る訳じゃあございません。石灰石を主成分に珪素だとかシリカとかの水を混ぜると固まる成分をブレンドして、高温度で焼成した上で乾燥粉末化したものがセメントなんですが、太平洋セメントではセメントの材料に火力発電所で石炭の燃焼ガラとして産出されるフライアッシュと言う焼却灰を使うのです。このフライアッシュつうのは粉塵に近い微粒子状の物体で、本来なら燃えカスとして産廃扱いにされていたらしいんですが、試しにセメントに混ぜてみたら練った時に水なじみが良く、乾いた後もカッチリと結着するなどいい事づくめ。そんならセメント材として活用しようじゃないかってんで、愛知県は碧南火力発電所からセメント材料としての石炭ガラ=フライアッシュを東藤原まで輸送する事になりました。このフライアッシュ便の感心する所は、東藤原から碧南火力には手ブラじゃなくて火力発電所の排煙の中から有害物を吸着するための石灰(炭カル)を持って行くって事ね。産廃の有効活用と排煙の有害物抑制と言う環境には二度美味しい循環サイクルがこのフライアッシュ便でして、発電所も三岐鉄道も太平洋セメントも三方いいトコ取りのこのシステムはとってもエコな取り組みやん?って事で表彰されたりもしています。パチパチ。


独特の形状のタンクとその色から「白ホキ」と言われているホキ1000。「炭酸カルシウム及びフライアッシュ専用」と用途が限定されてますが、これがいわゆる専貨と呼ばれる専用貨車。一昔前はセメントや石油や専門色の強い化学物質の輸送は鉄道が一手に引き受けてまして、色んな化学メーカーが貨車を作ってはやれアセトアルデヒドだラクトニトリルだ化成ソーダだと危険物質(笑)をいっぱい鉄道で輸送してました。今は高速コンテナ用のタンクが開発されて、コンテナの一つとしてコキに載せられちゃう時代ですから、メーカー私有の専用貨車ってのはほんと風前の灯なんですよね。


そんなフライアッシュ便を三里~丹生川で撮影。
日が陰る+編成短い+シャッター切り位置失敗とダメをこじらせたような一枚ですが、記録なんで恥を忍んで載せておきます(笑)。うーん、今回の三岐行は全体的には満足してるけど、唯一心残りなのはフライアッシュ便をきっちり撮れなかった事なんだよなあ。後で知ったけどフライアッシュ便は夜にデーデーに牽かれて富田へ着いた後、二編成に切り分けた上でまず先陣が保々まで運ばれ一泊し、次の日の朝一番のダイヤで東藤原へ向かうらしい。撮影した昼便は富田で切り分けられた余りの分だから、どうしても編成が短くなってしまうようです。長いの撮りたきゃ朝一で来いってか。

やっぱもう一回行かなきゃダメだなこれは(笑)。
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