青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

二つの富田の物語

2020年09月12日 17時00分00秒 | 三岐鉄道・北勢線

(夕暮れは杏色@保々駅)

村下孝蔵的な空の下、近鉄富田行きの電車が滑り込んで来た保々の駅。駅前にクルマを止め、少し乗り鉄も愉しんでみようかとホームに立ってみました。西武701系の3ドアロングシートは、末期の多摩湖線や多摩川線のイメージ。西武球場へ通うのに何度も乗車した記憶のある車両ですが、ひょっとしたら幼き日の自分が乗った車両とかも、三岐に移籍していたりするのでしょうか・・・

近鉄富田で折り返し待ちの三岐電車。近鉄富田では、三岐鉄道は一番外側のホームを近鉄から間借りして使っていて、そんなホームに西武701系が止まっていたりすると、高架線になる前の武蔵境的な雰囲気もあったり・・・この絶妙な「間借り感」が地方私鉄らしさだったりもします。元々は石灰石・セメント輸送を目的に作られた路線ですから、全国への貨車の継走のために国鉄の富田駅に接続するのは当然の成り行きでありましたが、当時の国鉄関西本線は圧倒的に列車本数が少なく、乗客の増えてきた昭和40年代に利便性を考えて本数の多い近鉄名古屋線に接続する連絡線(近鉄富田連絡新線)を建設したのが始まり。

現在は貨物列車はJR富田へ、旅客列車は近鉄富田へアクセスする三岐鉄道。かつては、非電化の関西本線へ乗り入れるために、キハ81・82という国鉄キハ08系まがい(?)の気動車まで用意して、富田から四日市への直通運転を行っていたそうです。今なら四日市までは、近鉄富田から急行に乗り換えて10分程度でしょうか。黙々と折り返し作業を進める運転士氏。ワンマン運転の中で、幾度となく繰り返されたルーティンワーク。西武の車両らしい銀鉄板が、蛍光灯の薄灯りに輝きます。


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