青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

陽炎の向こう側

2020年06月17日 17時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(スイッチバック点描@上大平台信号場)

80パーミルを下り込んで、緑爽やかな風吹く上大平台信号場へ進入する108-109編成。望遠レンズで圧縮すると、急勾配に名古屋城の金のシャチホコのように車体が反り返って見えます。現在、ほぼ毎日実施されている箱根登山鉄道の試運転ですが、この日の上大平台には私以外にもちらほらと同業者の姿がありました。何となく暗黙の了解でそれぞれ距離を取って構えましたが、撮影の際にもお互いにソーシャルディスタンスを確認しなければいけないのが令和の時代の撮り鉄です。

試運転でも、スイッチバックによる乗務員の交代は、指差喚呼を伴いながら本番と変わりなくキビキビと。湯本から強羅までスイッチバックは計3回あるのですが、暑い日も寒い日も、晴れの日も雨の日も、乗務員は何度も何度も前後を入れ替えながら箱根の山を上り下りしています。

発電ブレーキの断続的な使用による屋根上の抵抗器からの発熱で、旧型車の屋根から立ち昇る陽炎。どのくらいの温度になっているのだろうか。メラメラと空気中に熱が放散して行くその様、陽炎の向こうでパンタグラフの造形もぐにゃりと曲がる。もう何度となく撮影した上大平台のスイッチバックですが、いつ見ても天下の嶮の勾配の厳しさを物語るようなワンシーンです。

復旧を 目指して続く 試運転 指差す先に 繋がるレール。
上大平台の、スイッチバック点描です。

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