青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

復旧へ、道を固めて

2020年06月11日 16時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(大紅葉の下で@大平台隧道東口踏切)

大平台の温泉街の一番上、大平台隧道の東口で折り返してくる108-109を待ちます。現在の試運転は、公式発表だと「宮ノ下の駅の手前」まで行われているそうです。何で宮ノ下の駅まで行かないのかはよく分かりませんが、まだ工事が終わっていないのかな。宮ノ下の手前にはレベル区間に仙人台信号場という交換用の信号場があるので、おそらくその辺りで折り返しを行っているものと思われます。上大平台の信号場からトンネルにかけては紫陽花の花よりも秋の紅葉がキレイな場所ですが、この時期の青紅葉も見事なものです。

マスコンを左に押し込み、大平台隧道を電制を効かせて降りて来る108号。大平台隧道は、強羅側の出口のすぐのところにある沢筋(大沢)が昨秋の台風で大きく崩れ、土砂が登山線の線路に大量に流れ込んで路盤流出が発生しました。国道1号線から見たところ、現場までは重機を投入する取り付け道路が作られ、土砂の撤去とレールの敷き直しが行われたようです。鬱蒼とした森の中を走っていた登山線の線路ですが、今回の災害復旧によって各所で工事用の大規模な伐採や斜面の開削などが行われており、撮影ポイントなどにも変化が起こる可能性がありそうに思います。

120年の歴史を誇る箱根登山鉄道の中でも、昨年10月の台風19号による被害は歴史的な規模となりました。ここまで長期間の運休を余儀なくされた災害というものは、1923年(大正12年)9月の関東大震災による被害以来なんだそうで。関東大震災の折は、小田原の車庫焼失による車両喪失、湯本での山体崩落による駅舎埋没、箱根山内での無数の軌道・隧道の崩壊と全線に亘り甚大な被害を生じ、復旧には1年3ヶ月を要しました。今回は予定通りに工事が進捗すれば9ヶ月での復旧となりますが、それでも長かったよね。

大平台の温泉街周辺ではそう大きな被害は見受けられませんが、それでも路盤やレールについては再点検と保線のやり直しが行われたと見え、線路の下には真新しいバラストが敷き詰められていました。試運転列車の後を追うように、保線区の係員氏が路盤の上を歩きながらの目視点検を実施中・・・蛇篭に盛られ、線路際に置かれたバラストやレールのボルトたち。復旧への足固め、地固めが、今日も多くの人の力で続けられています。

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