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TAOコンサル『市民派・リベラルアーツ』

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イェイツのこと、アイルランドのこと[3]

2012年07月03日 | 東西の詩人詠みくらべ
 コーエン兄弟の『ノー・カントリー』も好きな映画の一つである。ブログに掲載した私の雑文を見た友人から電話があり、「ご存知でしたか。この映画のタイトルもイェイツの詩の引用なんですよ」とのこと。そうだったのか、コーマック・マッカーシーの『血と暴力の国』を原作にしたこの映画は色んなことを考えさせる衝撃作であるが、イェイツの詩とは知らなかった。以下は、この時ブログに掲載した雑文の一節である。

・・《この映画の原題は『NO COUNTRY FOR MEN』であり、イェイツの詩『ビザンチウムへの船出』の冒頭からの引用である。
    『それは老いたる者たちの国ではない。
     恋人の腕に抱かれし若者たち
     樹上の鳥たち
     その歌と共に、死にゆく若者たち
     鮭が遡る滝も、鯖にあふれた海も
     魚も、肉も、鶏も、長き夏を神に委ね
命を得た者は皆、生まれ、また死ぬのだ。』
ビザンチウムとは現在のイスタンブール、詩人はここを永遠のユートピアと見たのであろう。“命を得た者は皆、生まれ、また死ぬのだ”、ここには無常な現実を生きながら、死への旅立ちを静かに夢想するイェイツのロマンが漂う。・・そう、死は単なる死ではなく、めくるめく永遠の生への船出なのだ。》・・

 クリント・イーストウッドの監督作品『マディンソン郡の橋』にも、イェイツの詩が登場する。これはアイオワ州マディソン郡にある小さな橋を舞台にした、大人の男と女の物語であるが、メリル・ストリープ演じる女主人公が好きな詩が、イェイツの『さまよえるアンガスの歌』であった。これは、ある男が一匹の魚を釣りあげたところ、その魚が美しい女性に変身し、そして消え去るといったロマンチックな詩である。
   「蛾に似て星のまたたけば、・・・時の滅ぶまで摘みとらん、
月の銀の林檎を、 陽の黄金の林檎を・・・」   
(山下)


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