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「がん消滅の罠 完全寛解の謎」岩木一麻

2021年09月18日 | 本(ミステリ)

医師でなければ出来ないこと

 

 

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呼吸器内科の夏目医師は生命保険会社勤務の友人からある指摘を受ける。
夏目が余命半年の宣告をした肺腺がん患者が、
リビングニーズ特約で生前給付金を受け取った後も生存、
病巣も消え去っているという。
同様の保険金支払いが続けて起きており、今回で四例目。
不審に感じた夏目は同僚の羽島と調査を始める。
連続する奇妙ながん消失の謎。
がん治療の世界で何が起こっているのだろうか―。

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最近本作の続編が出たようなのですが、まずは一作目を拝見。
2016年 第15回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作です。


医師である夏目が、がん患者の不思議な現象の一致に気づきます。
がんで余命宣言を受けた患者が、
保険のリビングニーズ特約により生前給付を受け取った後も生存し、
病巣も消え去っている。
一件くらいならそんなこともあるかもしれない。
しかし、他にも何件か、同様の例が・・・。
詳しく調べていくと、それはどれもある病院が関わっていることがわかってきますが・・・。

 

何やら、医学書?かと思う題名ですが、医療ミステリです。
普通の人には思いもつかないストーリーですが、
その道に通じている人ならではの医療ミステリですね。
しかも、素人にもわかりやすく描いてあって、
がんのメカニズムが少し分かりました。
興味深い謎解きだったと思います。


人の命を扱う医師が、独りよがりの正義感で突き進むと
恐ろしいことになりかねない・・・、と。
私たちは、医師に対して無条件に信頼を寄せているけれど、
本当にそれでいいのか?
なんて思ったりして。
本作は弱者に寄り添い、金持ちからはそれなりにふんだくる
という点では、痛快でしたけれど。

<図書館蔵書にて>

「がん消滅の罠 完全寛解の謎」岩木一麻 宝島社

満足度★★★☆☆



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