映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

美しい絵の崩壊

2015年01月12日 | 映画(あ行)
同じく穏やかで美しい背景なのに



* * * * * * * * * *

舞台はオーストラリア東海岸、美しく風光明媚な場所です。
子供の頃からの親友ロズ(ロビン・ライト)とリル(ナオミ・ワッツ)は、
お互いの10代の息子たちも交え、家族ぐるみの付き合いをしています。
清潔で居心地のよさそうなそれぞれそこそこ裕福な家庭。
息子たちは日がなサーフィンに興じ、
母親たちも美しい息子たちを誇りに思う。
いつまでも続くかと思われる、それは確かに美しい一枚の絵でした。
ある夏、ロズに思いを寄せていたリルの息子イアン(ゼイビア・サミュエル)が彼女に迫り、
一線を越えてしまいます。
しかしその秘密を知ったロズの息子トム(ジェームズ・フレッシュビル)もまた、
リルと関係を持ってしまいます。
2組の母と息子の人知れない関係が続きますが、
やがてトムはシドニーに出ることになり・・・。
危ういバランスが少しずつ崩れ始めるのです・・・・。



本作、原題は「Two Mothers」と素っ気ないのですが、
「美しい絵の崩壊」と邦題をつけた方には敬意を表したいと思います。
ただいるだけで、周囲から憧れの目で見られそうな美しい母親たちと
若く美しいエネルギーに満ちた息子たち。
この美しい構図が、ラストシーンで確かに「崩壊」しているのです。
それは同じく彼ら4人のショットであるにもかかわらず。



10代の若者が美しく熟れた身近な女性に興味をそそられるのは
しかたのないことかも知れません。
はじめに手を出したイアンについては、それはわかる。
でもよく分からなかったのは、トムの気持ちなんですね。
なんだか母親を奪われたはらいせでリルに迫ったようにも思われる。
しかも、彼は貞操観念なんてものもなくいい加減な奴でもあった。
こういうのが一番手におえないのですが、
いや、実は大抵の人がこっちの方なのかもしれません。
なんと厄介な男女の愛と性。
穏やかな海辺の風景の中での情痴沙汰が、
まるで皮肉のようです。
何もなければないで、それはまだ美しい絵のままであったのかもかも知れません。
けれど、生きていく私達は、変わらずにいられないものでもありますね・・・。



美しい絵の崩壊 [DVD]
ナオミ・ワッツ,ロビン・ライト,ゼイヴィア・サミュエル,ジェームズ・フレッシュヴィル,ベン・メンデルソーン
ビデオメーカー


「美しい絵の崩壊」
監督:アンヌ・フォンテーヌ
出演:ナオミ・ワッツ、ロビン・ライト、ゼイビア・サミュエル、ジェームズ・フレッシュビル、ベン・ネンデルソーン
危うい美しさ★★★★★
満足度★★★★☆


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