映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

スーサイド・ツーリスト 囚われの旅行者

2021年11月09日 | 映画(さ行)

自殺志望者を支援する場所・・・

* * * * * * * * * * * *

日本未公開のミステリアスな作品。
いかにも北欧風のひんやりした肌触りの作品です。

 

保険会社で働くマクスは、あるとき自分に治療不能な脳腫瘍があることを知ります。
このままではいずれ妻に負担をかけることになってしまう。
そう思った彼は何度か自殺を試みるのですが、挫折。
そんな時、自分のクライアントを通じて“ホテル・オーロラ”という所の存在を知ります。
そこは、自殺したいとのぞむ人々に協力する施設。
さっそくマクスが申し込みをすると、飛行機に乗せられて
人里離れたホテル・オーロラに到着します。

 

そこは自殺志望者がその日までを過ごす場所。
死に方(安楽死)や埋葬の方法は事前にスタッフと相談し、
遺言のためのビデオ撮影もしてもらえます。
若干不安を覚えながらも、幾日かをそこで過ごすマクス。
ところがあるとき何者かが書いた「逃げろ」というメッセージを見つけてしまいます。

ここには何かの秘密がある・・・。
それは一体・・・???

 

どちらにしても死ぬつもりならば、何があっても恐くはないのでは・・・?
とも思うわけですが、いえ、やはり出来れば苦痛は避けたいし、
死後もできれば普通並みに静かに埋葬されたい。
そんな希望が叶わないのなら、やっぱり死ぬのは止めたい、
そんな気持ちの揺らぎもあるのですね。

しかしこの施設の恐ろしい所は「解約なし」というところ・・・。
まあ、マクスの場合ほおっておいてもいずれ病で命を失うことにはなるわけですが。
でも、約束が違うよ~ってことになっても、なおも解約できないというのはつまり、
自殺補助ではなく、殺人ということで。
本人の気持ちの問題ではあるけれど、でもそこが一番大事なんですね。

 

で、本作で恐いのはそのことと合わせて、
なんのためにこの施設ではそうまでして自殺者を求めているのか、という所なのです。
それが分かると、じわじわと恐いです・・・。

 

<WOWOW視聴にて>

「スーサイド・ツーリスト 囚われの旅行者」

2019年/デンマーク・ノルウェー・ドイツ/90分

監督:ヨナス・アレクサンダー・アーンビー

出演:ニコライ・コスタ=ワルドー、ツバ・ノボトニー、ロベール・アラマヨ、ヤン・ベイブート

 

サスペンス度★★★★☆

満足度★★★.5

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿