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月の満ち欠け

2023年01月17日 | 映画(た行)

美しい愛のファンタジーなのか?

* * * * * * * * * * * *

佐藤正午さんの直木賞受賞作の映画化。

実は私この原作「月の満ち欠け」のストーリーがあまり好きではなくて、
本作は見なくてもいいかな?と思っていました。
しかし、やはり結局目黒蓮さんにつられて見てしまいました。

そうなんです、いつの間にか大泉洋さんだからではなくて、
めめだから、ということになってる!!

 

小山内堅(大泉洋)は、妻(柴崎コウ)と娘、3人で幸せな日常を送っていました。
ところが、不慮の事故で最愛の妻と娘を同時に失ってしまいます。
生きる意欲もなくした小山内は故郷八戸へもどり、老いた母と暮らしています。

ある時そこへ、三角(目黒蓮)と名乗る男が訪ねてきます。
彼はあの事故の当日、小山内の娘・瑠璃が面識もない三角に会いに来ようとしていた、といいます。
そして三角は、娘と同じ「瑠璃」という名を持つ
かつて自分が愛した女性(有村架純)について語り始めます。

 

あまり詳しく言うとネタバレなのかな? 
まあつまりこれは、転生というか生まれ変わりの物語なのですが・・・。
でも私は原作を読んだときに、どうもこれが美しい愛のストーリーとは思えず、
納得いきませんでした。
そして本作を見て、その思いが一層強まってしまいました。

例えば、もうほとんどいいオジサンの年齢に達した男性の元に幼女が訪ねてきて、
「私はあの時に愛し合った○○よ」などと言ってにっこり笑ったとしたら・・・。
それはもうファンタジーというよりはホラーじゃないですか。
少なくとも私は、不気味としか思えない。

原作中では書きようでそこまで感じないよう、色々と工夫はされていたと思うのですが、
2時間という映画の中では、そんな面がダイレクトに出てしまった感じがします。
本作中、大泉洋さんの役柄が、
そうは口にしないけれども、そんな思いを持っていたような気がします・・・。

ラストでの「2人」の対面シーンが、
あえて有村架純さんと目黒蓮さんの対面にすり替えられていたことでも、
危惧感があり得ることを白状しています。
これが実の2人の対面シーンだったら見られたものではありません。

とはいえ、有村架純<瑠璃>と学生の三角のシーンは、
どれも切なく美しく素晴らしかった!! 
心打ち震える年上の女性との恋。
他はいらない。
ここだけ何回も見たい。
めめ、完璧!!

原作はこちら→「月の満ち欠け」

 

<シネマフロンティアにて>

「月の満ち欠け」

2022年/日本/128分

監督:廣木隆一

原作:佐藤正午

出演:大泉洋、有村架純、目黒蓮、伊藤沙莉、田中圭、柴崎コウ

 

ファンタジー度★★☆☆☆

切ない恋愛度★★★★★

満足度★★★☆☆

 



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