映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ホテルローヤル

2021年09月25日 | 映画(は行)

場末のラブホテルで

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釧路湿原を背に立つ小さなラブホテル、ホテルローヤル。
経営家族の一人娘雅代(波瑠)は、美大受験に失敗し、ホテルの仕事を手伝うことに。
アダルトグッズ会社の営業・宮川(松山ケンイチ)に淡い恋心を抱きつつ、
黙々と仕事をこなす毎日。
この先の何の目標もなく、ただ流されていると感じています。

こんなラブホテルにも、ひとときの非日常を求めて様々な客がやってくる。
そんな客たちの生活のほんの一端を垣間見ることも・・・。
あるときやってきたのはいかにもワケありの様子の、女子高生と成人男性で・・・。

桜木紫乃さん原作の、ご当地ストーリー。
ラブホテルが舞台なのに、意外とさほど刺激的なラブシーンは出てこなくて、
上品なできあがりです。
そこはまあ、波瑠さんなので。

冒頭は、閉館となり、廃墟のようになってしまったホテルローヤルのシーンから。
このように時が過ぎ去っても、人々の営みは変わらない・・・。
今はない、その時々の人々の心が、さまよっているようでもあります。

ところで本作では、ホテルローヤルがあるのは釧路湿原を見渡せる高台。
こんないい場所なら、ラブホじゃなくてこじゃれたペンションでも建てれば良かったのに
・・・なんて思ったりします。
ま、余計なお世話ですけれど。

そもそも、まだそんな経験もないのに、こんなところで働きはじめた雅代の、
ちょっぴり情けなく切ない感じがうまく表わされています。

「セックスってそんなにいいものですか?」

と、宮川に問う雅代。
その時の宮川は・・・。
うーん、いい奴だなあ、こいつ。

しみじみ来ます・・・。

 

<WOWOW視聴にて>

「ホテルローヤル」

2020年/日本/104分

監督:武正晴

原作:桜木紫乃

出演:波瑠、松山ケンイチ、余貴美子、伊藤沙莉、岡山天音、夏川結衣、安田顕

 

さびれた場所度★★★★☆

満足度★★★.5

 



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