映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

天国でまた会おう

2019年03月07日 | 映画(た行)

父と息子の・・・

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ピエール・ルメートルの原作がすごく面白かったので、映画もぜひ見ようと思いました。
本で読んだからいいや・・・と思える作品も多くあるわけですが、
本作については、内容自体が映画向きと思えるので。

第一次世界大戦集結の目前。
プラデル中尉からの不条理な攻撃命令に従ったアルベールは、
プラデルの卑劣な行為に気づいてしまいます。

そのため彼に殺されかけるのですが、同僚のエドゥアールに救われます。
しかしその直後、エドゥアールは爆撃に巻き込まれ、顔半分を失う大怪我を負ってしまうのです。
アルベールは自分を救ってくれたエドゥアールの力になるために、
戦後も彼を引き取り、世話をします。

実はエドゥアールは良家の御曹司なのですが、彼は絶対に家族に会いたくないと主張するため、
やむなく戦死を偽装。
顔の傷を隠すために仮面をつけ、モルヒネに浸るエドゥアールを
アルベールは持て余し始めますが、そんなある日、
あのプラデルが財を築いていたことを知り、二人は壮大な詐欺計画を企てます。

20世紀初頭のパリ。
その下町のいかにも猥雑な感じ、
本だけではイメージしきれなかったところがしっかりと映像化されていて、嬉しいですねえ。
作品自体がケレン味たっぷりなので、実に映画に向いています。



原作本の方の記事にも書いたと思うのですが、
本作はプラデルと二人との対決の話のようでいて、
実はエドゥアールと彼の父親の物語なんですね。

絵なんか描いて、出来損ないの息子だと思われていたエドゥアールと、その父親との相克。
そして、エドゥアールの素顔を見ても動じず、彼を慕う少女ルイーズの存在がなんとも嬉しい。
うまく喋ることができないエドゥアールの通訳でもあります。
こういう元気な少女とか少年の存在がうんと物語に活気をつけますよね。
本も良かったけれど、映画もまた良しです。



原作ではアルベールはもっと若かった気がしたのですが、
でもこれ、監督自身がアルベール役なので、
若いという設定は無視したのかもしれませんね。

 

→原作本「天国でまた会おう」

<ディノスシネマズにて>
「天国でまた会おう」
2017年/フランス/117分
監督:アルベール・デュポンテル
原作:ピエール・ルメートル
出演:ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート、アルベール・デュポンテル、ローラン・ラフィット、ニエル・アレストリュプ、エミリー・ドゥケンヌ

原作再現度★★★★★
満足度★★★★☆

 



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