加齢という重荷も増えて
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タフで不運すぎる女探偵・葉村晶。
吉祥寺のミステリ専門書店〈MURDER BEAR BOOKSHOP〉でアルバイトとして働きながら、
〈白熊探偵社〉のただ一人の調査員として働いている。
葉村晶も五十代に突入し、老眼に悩まされるお年頃。
魁皇学園の元理事長でミステリのエッセイストとしても名を馳せた乾巌、通称カンゲン先生に、
<秘密厳守>で「稲本和子」という女性の行方を捜してほしいと頼まれた晶。
彼女の一人娘は学園の理事だったが、本屋で万引きしたとして留置中に急死していた……。
高級別荘地の<介護と学園地区構想>など、さまざまな思惑が絡み合い、
やがて誰もが予想のしない結末へ!
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若竹七海さんの葉村晶シリーズ、なんと5年ぶりの文庫書き下ろし!
待ってました!!
この五年というのはちょうどコロナ禍からの5年。
探偵・葉村晶さんも、この間はほとんど依頼がなく、
地道にミステリ専門店の店員を務めていたようです。
そして、5年ぶりに登場した葉村晶さん、
なんと50代に突入したと!!
コミックとか人気連載小説の主人公は、一定のところから歳をとらないという現象がしばしば起こります。
サザエさんやコナンくんとか、我が敬愛する米国私立探偵のウォーショースキーも、
無限ループの一年を過ごしているようではある。
でも、葉村晶さんは違ったんですね。
ちゃんと私たちと同じ時を過ごしている。
それなのでこの“不運過ぎるタフな”探偵さん、
さらに加齢という重荷まで背負うことになった・・・。
南無阿弥陀仏!
それで、本作の冒頭。
車を運転している“わたし”。
片側が崖の山道。
何者かの車が追突してきて、車ごと崖に滑り落ちていく・・・。
「いったいどこのどいつだ、わたしを殺そうとしているのは・・・。
心当たりは、ありすぎるほどあった。」
と、「わたし」が一体誰なのかの表記はないのですが、
もちろん、ファンであれば分かりますとも。
主人公葉村晶さんその人であろうことは。
あ~、又やっちゃってるよ~、お気の毒。
そうして改めてストーリーが始まって、いよいよ又、このシーンに遭遇するわけですが、
なんと葉村氏の不運はこれだけではなくて、
この後またまたハラハラドキドキ、身体酷使の散々なシーンがつづきます。
って、内容はどうでもよくなってしまっていますが、
事の発端は、ある女性の行方を探してほしい・・・という依頼。
葉村氏はそれを調べるうちに、
知るべきではない様々な秘密を知ることになってしまって・・・。
という具合です。
50代で、老眼が進んでいる葉村晶なんて・・・あまり考えたくないけれど、
けれどやはり真相を知りたくてついのめり込み、
結局危険な目にあってしまうマインドは健在。
まだまだ頑張ってほしいです。
応援します。
「まぐさ桶の犬」若竹七海 文春文庫
満足度★★★★☆
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