映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

トニー滝谷

2014年09月23日 | 西島秀俊
服を買いまくる女とその夫



* * * * * * * * * *

え~と本作も西島秀俊カテゴリ?
西島さんは「語り手」だけで、映像には表れません!!
残念・・・。
だけど、西島さんの魅力はこのチョッピリ甘い「声」でもあるので、いいですよ~。
 作品自体が淡々と進んでいくので、それにマッチした穏やかながら淡々とつぶやくような語り。
 これもいいものです。
 またその語りの合間にときどき、役者さんが自分でつぶやくところが良かったな。


さて、本作はまた、なかなかユニークじゃないですか。
 原作が村上春樹なんだね。
そうそう、まあそれで、この不思議に静かな世界観は納得です。


主人公はトニー滝谷(イッセー尾形)というイラストレーター。
 父親はジャズトランペットを生業とし、いつも家におらず、
 母は早くに亡くなっていて、子供の頃から孤独を抱えていた。
彼はそれがあたりまえだと思っていたのに、ある時英子(宮沢りえ)に恋をするんだね。
 そうして初めて彼は「孤独」の意味に気づく。
自分の目の前から彼女が消えてしまったとしたら・・・
 自分は耐えられないだろう。
 もう孤独には戻れない・・・
 思いは叶って二人は結婚するけれど、幸せな日々はほんの一瞬で崩れ去ってしまう・・・


英子は家事も完璧にこなす素晴らしい女性だったけれど、
 トニーには気になることがあった。
 それは英子が異常に服を欲しがること。
つまりそれって買い物依存症というやつなんだろうね。
 ブティックで服を見るともうそれを買わずにいられない。
もともとトニーは彼女を「服を着るために生まれてきたような」女性だと思い
 一目惚れをするわけだから・・・。
確かに宮沢りえさん、ステキだものねえ・・・。
 何を着てもカッコイイというか、服をどっさり買う甲斐もあるよねえ・・・。
トニーは結構稼げるイラストレーターだったんだね。
 あんなに服を買ってもまだ困ってはいなかったようで・・・。
はー、私もあんなふうにおもいっきり服を買いまくりたい・・・
しかし問題は、せっかくいい服を買ってもさほど着映えがしないってことだよね。
ちっ、それを言ったらおしまいじゃん。


しかし、ある日突然、その服の持ち主がいなくなってしまうわけだ。
 クローゼットでは収納しきれず、衣装部屋と化した一室。
それはトニーに亡き妻を偲ぶためのものとなりうるのか、それとも・・・。
ずっと恋なんかしなければ、同じ状態でも平気だったはずなのにね。


喪失による深い孤独。
でもそれはいつかは誰もが体験することなのかもしれない。
色調も明度も極端に抑えた演出。じっくりと見入ってしまう作品。
村上春樹ファンならば、きっと気にいると思います。

トニー滝谷 スタンダード・エディション [DVD]
イッセー尾形,宮沢りえ
ジェネオン エンタテインメント



「トニー滝谷」
2004年/日本/76分
監督・脚本:市川準
出演:イッセー尾形、宮沢りえ
(語り)西島秀俊
村上春樹の世界観★★★★☆
西島秀俊の魅力度★★★☆☆
満足度★★★★☆


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
横顔 (こに)
2014-09-25 08:30:04
ポスターのイッセー尾形さんの横顔が西島さんに見えました!
西島ファンに怒られちゃいますネ。

宮沢りえさん、素敵な女優さんに成長されましたね。
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いや、それは・・・ (たんぽぽ)
2014-09-25 20:16:12
>こにさま
>ポスターのイッセー尾形さんの横顔が西島さんに見えました!
う~ん、それはちょっとひどいですよ、やはり。
ちょっと風変わりな作風で、面白かったです。
しかし本作も、西島秀俊さんつながりでなければ決して見ることがなかっただろうと思いますので、私のこの変な趣味も映画視聴の幅を広げるのには役立っているようです。
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