映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

キック・アス

2011年01月07日 | 映画(か行)
あなたはヒーローになれますか?



           * * * * * * * *

同名コミックの映画化。
というよりは、はじめから映画化をにらんで描かれたもので、
コミック執筆と映画の制作は同時進行であったといいます。
そういう意味で、まことに今日的成り立ちのこの作品。


主人公デイブはなんの取り柄もないさえない高校生。
唯一の特技は女の子から姿が見えない(!)ことだという・・・。
そんな彼は考える。
コミックのヒーローには誰もがあこがれるのに、
どうして誰もヒーローになろうとしないのだろう・・・?
よし、それなら自分がなって見よう・・・と通販で買ったスーツを身につけ、
スタイルだけはスーパーヒーロー(でもかなりダサイ!)で、街に出る。
さっそくチンピラに絡まれている人を見つけて間に入り・・・
ボコボコにのされたあげく、車に轢かれて重傷を負ってしまう。
そりゃそうですよ・・・。
バットマンだって、あそこまでになるためには相当の修行を積んだ・・・。
でも彼はめげないんですね。
普通はそこで止めると思うのですが、まだ続けようとするところ、
それはこの子のある種の才能かも・・・なんて思います。
そもそも、彼の発想の根源はヒーローのカッコ良さというよりは純粋な正義感。
見てみないふりをする人がほとんどという中で、この心意気は良いぞ!
そしてまた彼は、この怪我の手術のおかげで若干討たれ強くなったのです。



次にまたチンピラに絡まれてボコボコ殴られつつも意外にがんばっている姿が、
You Tubeにアップロードされ、たちまち大人気。
まさに、今日だからこそあるストーリーなんですね。
実際にこんなことがあれば、
アメリカだけでなく全世界であっという間に話題になりますよね。
そんな彼が、また調子に乗って犯罪組織のたまり場に踏み込んでしまった。
絶体絶命!というところに現れたのが、
これもまた怪しげなコスチュームに身を包んだ二人連れ。
ビッグ・ダディとヒット・ガール。
しかし彼らは本物でした!!
・・・というか実戦に備えて日夜訓練を積み、
あらゆる武器を使いこなす達人でもあった。
まさにプロのなりきりヒーロー。
彼らは趣味でヒーローをしているのではなく、
実はこの街を支配するマフィアに復讐を遂げるため、密かに力を蓄えていたのです。
更には、このマフィアのボスの息子がデイブと同じ学校の子。
彼もまたレッド・ミストと名乗るヒーローに扮し、
キック・アスに協力するフリをしながら攪乱をもくろむ。
・・・ということで三つ巴のヒーローたちが、
どんな活躍と混乱を繰り広げるのか、お楽しみあれ!


コミカルな展開にわくわくしながら、あっという間に時間が過ぎます。
レッド・ミストは本来敵役なのですが、
どこか憎めなくて、次第にキック・アスと友情めいたものが芽生えていく・・・
そんなふうで、単純に割り切れないところも、結構気に入りました。

しかし、一つ難点は、これはそうとうきわどい。
ほとんどキル・ビルに近いバイオレンス描写。
そもそも11歳の少女にこんな殺人機械のような役をやらせていいのか!! 
良識ある人は眉をひそめるでしょう。
私の良識?
そんなモノがあればこんな映画は始めから見ません・・・(^^;)
まあ、見て痛快に感じてしまうのだから仕方ない・・・。
だからR15指定。
よい子の皆さんは決して見ないように。


バットマンを相当意識したビック・ダディ役は、ニコラス・ケイジです。
これが何故かやたらとかっこよかった。
どうも最近パッとしないニコラス・ケイジとしては一番のはまり役だったかも・・・。


2010年/アメリカ・イギリス/117分
監督:マシュー・ボーン
原作:マーク・ミラー、ジョン・ロミータ・Jr、
出演:アーロン・ジョンソン、クリストファー・ミンツ=プラッセ、ニコラス・ケイジ、クロエ・モレッツ、エリザベス・マクガバン


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