映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ぶどうのなみだ

2014年10月19日 | 映画(は行)
空知観光協会推奨作品(?)



* * * * * * * * * *

北海道空知でオールロケをしたという、
三島有紀子監督・脚本、大泉洋出演ということで
「しあわせのパン」の姉妹作ともいうべき本作。
実のところ、「しあわせのパン」にさほどの思い入れがあったわけではないのですが、
北海道が舞台で大泉洋出演ということであれば、
見ない訳にはいかないという北海道民のサガであります。



アオ(大泉洋)は農業を営む実家を飛び出し、
指揮者の道を歩んでいました。
しかし、難聴となり挫折。
やむなく実家へ戻ったアオは突然葡萄を栽培し、
ワイン作りに情熱を注ぎ始める。
・・・しかし、なかなか思うようなワインはできません。
一方その実家は父が亡くなり、
弟ロク(染谷将太)が一人で奮闘し小麦を作っていたのです。
勝手に家を飛び出し、また戻ってきて
今度はワイン造りに没頭する兄に困惑。
兄弟間はギクシャクしています。
そんなところへ、アンモナイトの化石を求めて旅をしている
女性エリカ(安藤裕子)がキャンピングカーで乗り込み、
いきなり穴を掘り始めます。



このエリカと、アオ・ロクの兄弟、
そして、ご近所の人々の交流を通したワイン造りのストーリー。
やはり、これはメルヘンと言うべきなのでしょう。
命を育む自然と人との融合。
完璧に“スローライフ”を演出しています。
・・・などというとちょっと悪意が混じって聞こえるかな?
あまりにもキレイごと過ぎるところが
ちょっと不満だったりするわけです。
そもそも男二人で、あんな犬を飼うとは思えません。
(かわいいけど)
ロクくんは食事の度にパンを焼くのか??
(そんなヒマないと思う・・・)
いや、だから“メルヘン”にリアリティを求めては行けない・・・ということですね。



私が思うに、アオは耳を悪くしてやむなく指揮者の道を断念し、
故郷に帰ってきたわけですが、
ここは、指揮者ではなくてもいいのですが、
アオは何かやろうとしていることへの努力が足らず、
逃げ出すように帰ってきた、・・・としたほうが良かったのではないかと思いました。
だから、割と考えが甘くて、
どうしてもぶどうの栽培もワインもうまくいかない。
そして一旦は、そこからすらもまた逃げ出そうとする。
しかし、そこを諌めるのが弟のロク。
ここで、兄弟殴り合いの大げんかがあって
結局、弟も手伝うことでようやく軌道に乗り始める・・・
というのはどうでしょう???
なんだか、アオが指揮者だった、という部分が余計に感じられるのですよね・・・。



前半は終始仏頂面の大泉洋さん。
それもなんだかなあ・・・。
もちろんそういうストーリーではありますが、
大泉洋さんの持ち味を活かせていない。
これなら他の誰でも良かった。
でもまあ相変わらず、食卓のシーンがものすごく素敵で、
強烈に食欲を刺激されます。
屋外で、このような食事とワイン・・・。
ひゃー、いいな。



“野の音楽隊”のところは良かったのですが、
「野のなななのか」とかぶってしまっていたのが残念。
同じ北海道ですしねえ・・・。


アオが栽培していたのはピノ・ノワールという品種。
赤ワインになりますが、軽口で渋みが少ないとか。
・・・残念。
私はカベルネ・ソーヴィニヨンのほうが好み。
まあ、もちろん気候とか土壌にあったワインなのでしょうから、文句は言えません。
そもそも、「土臭いワイン」という意味もよくわからない私が
何を言うのよ、ってところです。


本作のオフィシャルサイトに、
ステキな壁紙がありました!! 
これに限っては、オススメ!!

「ぶどうのなみだ」
監督・脚本:三島有紀子
出演:大泉洋、安藤裕子、染谷将太、田口トモロヲ、前野朋哉、きたろう、りりィ
食卓の魅力度★★★★★
満足度★★★☆☆


最新の画像もっと見る

コメントを投稿