165分のタイムトラベル

* * * * * * * * * *
一人の少年が6歳~18歳になるまで、
12年間の成長と家族の軌跡を描きます。
なんといってもスゴイのは、実際に12年間をかけ、
同じキャスト・スタッフで作品を撮り続けたというところ。
このポスターのまだあどけないほどの少年が、
最後にはステキな美青年までへ成長を遂げます。
時とともに主人公たちも年齢を重ねていく。
確かにそういう物語はこれまでにもありました。
日本では「北の国から」。
また、そもそも本作の監督リチャード・リンクレイター氏は
「ビフォア・サンライズ」のシリーズでも分かる通り、
時と人の移り変わりを写し撮ることが得意です。
でもそれらは、あくまでも作品を撮影する時点での「現在」を切り取ったもの。
前作を見てから続編の年齢を重ねた登場人物を見るためには、
実際の年月をまたなければなりませんでした。
しかし本作、初めから12年後に完成することを見込んで、
毎年撮りためていったのですね。
だから私達は、一気に165分(やや長いけど)で、
少年の成長を見ることができるのです。
これはスゴイ!! 画期的。
まるでタイムマシンのようです。

米テキサス州に住む少年、メイソン(エラー・コルトレーン)。
バツイチの母(パトリシア・アークエット)と
姉サマンサ(ローレライ・リンクレイター、監督の娘さん!)の3人暮らし。
キャリアアップのため母が大学に入ることとなり、
ヒューストンへ移り住みます。
時々は別れた父親(イーサン・ホーク)とも時を過ごします。

まだ幼い姉弟は別れた父母の復縁を願っていましたが、望みは薄そう。
母は、別の男性と再婚してしまいました。
しかしその結婚はうまく行かず・・・。
母は、勉学を極め大学の教員に。
姉弟の父はミュージシャンの道を諦め、会社員に。
別の女性と再婚し、子供も生まれます。
メイソンはアート写真家の夢を叶えるために大学進学を果たし、
家を出ることに・・・。

何気ない日常の一コマ一コマが綴られていきます。
メイソンのある時一年間の成長が凄かったですね。
チビッコが突然ひょろながく背が高くなって、声も変わっている。
だから男の子ってオモシロイ。
時と人。
それは留まってはおらず、常に変化しています。
その変化を見事にとらえた作品と言っていいでしょう。
それは年をとったという見かけの変化だけではありません。
少年のパーソナリティの形成を私達は目の当たりに見るわけですし、
成長というよりも「老い」に向かっていく父母の変化がまた、とてもいいのです。
イーサン・ホークにしても、パトリシア・アークエットにしても、
はじめの頃よりも終盤の頃のほうが私は好きです。
若い頃はまだまだ自分の身の振り方だけで精一杯。
子供のことなんか実はかまっていられない。
そんなふうでした。
父親は特に、まだ自分自身が少年みたいなところもありますね。
しかし、彼らもしっかり成熟していくのです。
これこそは年齢の重み。
彼らの俳優人生の歩みであるのかもしれません。
大学進学のために家を出るメイソンを見送るところで、母親が泣き出します。
それは別れの寂しさではなく、
息子を自立させて自分自身の生きる意味を一時見失ってしまったから。
でもそれは一時の感情の高ぶりで、心配はいらないでしょう。
彼女にはしっかりした仕事があるのだし、
彼女を尊敬してくれる学生たちもいる。
むしろこれからこそが彼女自身の人生の始まりと言ってもいいのだから。
同じ「母」の立場として、あなたはこれまでよく頑張ったよ・・・と、
ハグしてあげたくなりました。
だって、誰もしてあげないから・・・。
「ドラゴンボール」のアニメ、イラク戦争、
オバマ大統領選挙、ハリーポッターの本の発売・・・
その時時のトピックスを織り込みながら、
見事に私達を12年のタイムトラベルに誘ってくれました。
また10年後に続編をお願いします・・・。
エラー・コルトレーンくんは長髪より短い髪のほうが似合うと思う。
「6才のボクが、大人になるまで。」
2014年/アメリカ/165分
監督:リチャード・リンクレイター
出演:エラー・コルトレーン、ローレライ・リンクレイター、パトリシア・アークエット、イーサン・ホーク
時の旅度★★★★★
満足度★★★★★

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一人の少年が6歳~18歳になるまで、
12年間の成長と家族の軌跡を描きます。
なんといってもスゴイのは、実際に12年間をかけ、
同じキャスト・スタッフで作品を撮り続けたというところ。
このポスターのまだあどけないほどの少年が、
最後にはステキな美青年までへ成長を遂げます。
時とともに主人公たちも年齢を重ねていく。
確かにそういう物語はこれまでにもありました。
日本では「北の国から」。
また、そもそも本作の監督リチャード・リンクレイター氏は
「ビフォア・サンライズ」のシリーズでも分かる通り、
時と人の移り変わりを写し撮ることが得意です。
でもそれらは、あくまでも作品を撮影する時点での「現在」を切り取ったもの。
前作を見てから続編の年齢を重ねた登場人物を見るためには、
実際の年月をまたなければなりませんでした。
しかし本作、初めから12年後に完成することを見込んで、
毎年撮りためていったのですね。
だから私達は、一気に165分(やや長いけど)で、
少年の成長を見ることができるのです。
これはスゴイ!! 画期的。
まるでタイムマシンのようです。

米テキサス州に住む少年、メイソン(エラー・コルトレーン)。
バツイチの母(パトリシア・アークエット)と
姉サマンサ(ローレライ・リンクレイター、監督の娘さん!)の3人暮らし。
キャリアアップのため母が大学に入ることとなり、
ヒューストンへ移り住みます。
時々は別れた父親(イーサン・ホーク)とも時を過ごします。

まだ幼い姉弟は別れた父母の復縁を願っていましたが、望みは薄そう。
母は、別の男性と再婚してしまいました。
しかしその結婚はうまく行かず・・・。
母は、勉学を極め大学の教員に。
姉弟の父はミュージシャンの道を諦め、会社員に。
別の女性と再婚し、子供も生まれます。
メイソンはアート写真家の夢を叶えるために大学進学を果たし、
家を出ることに・・・。

何気ない日常の一コマ一コマが綴られていきます。
メイソンのある時一年間の成長が凄かったですね。
チビッコが突然ひょろながく背が高くなって、声も変わっている。
だから男の子ってオモシロイ。
時と人。
それは留まってはおらず、常に変化しています。
その変化を見事にとらえた作品と言っていいでしょう。
それは年をとったという見かけの変化だけではありません。
少年のパーソナリティの形成を私達は目の当たりに見るわけですし、
成長というよりも「老い」に向かっていく父母の変化がまた、とてもいいのです。
イーサン・ホークにしても、パトリシア・アークエットにしても、
はじめの頃よりも終盤の頃のほうが私は好きです。
若い頃はまだまだ自分の身の振り方だけで精一杯。
子供のことなんか実はかまっていられない。
そんなふうでした。
父親は特に、まだ自分自身が少年みたいなところもありますね。
しかし、彼らもしっかり成熟していくのです。
これこそは年齢の重み。
彼らの俳優人生の歩みであるのかもしれません。
大学進学のために家を出るメイソンを見送るところで、母親が泣き出します。
それは別れの寂しさではなく、
息子を自立させて自分自身の生きる意味を一時見失ってしまったから。
でもそれは一時の感情の高ぶりで、心配はいらないでしょう。
彼女にはしっかりした仕事があるのだし、
彼女を尊敬してくれる学生たちもいる。
むしろこれからこそが彼女自身の人生の始まりと言ってもいいのだから。
同じ「母」の立場として、あなたはこれまでよく頑張ったよ・・・と、
ハグしてあげたくなりました。
だって、誰もしてあげないから・・・。
「ドラゴンボール」のアニメ、イラク戦争、
オバマ大統領選挙、ハリーポッターの本の発売・・・
その時時のトピックスを織り込みながら、
見事に私達を12年のタイムトラベルに誘ってくれました。
また10年後に続編をお願いします・・・。
エラー・コルトレーンくんは長髪より短い髪のほうが似合うと思う。
「6才のボクが、大人になるまで。」
2014年/アメリカ/165分
監督:リチャード・リンクレイター
出演:エラー・コルトレーン、ローレライ・リンクレイター、パトリシア・アークエット、イーサン・ホーク
時の旅度★★★★★
満足度★★★★★