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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

スノーピアサー

2014年02月15日 | 映画(さ行)
何やらキョーレツだけど、嫌いじゃない



* * * * * * * * * *


あれ、西島秀俊ではないのに、私達でいいの?
いや、なんともエグいこの作品、ちょっといじってみたくなりました。
韓国、ポン・ジュノ監督による初の外国語作品だそうで・・・。
とにかくこのストーリーの設定がふるっているんだな。
 地球温暖化防止のためにCW-7という薬剤が使われることになったんだけれど、それが失敗。
 地球は氷河期に突入してしまい、生物は絶滅してしまった。
 ただ、この「スノーピアサー」という列車に乗り込んだ人々以外は。
近未来SFということなんだけど、この列車自体がスゴイんだよ。
 ちょうど1年で一周するコースをひたすら走っている。
 これはウィルフォード産業が開発した「永久エンジン」によるものなんだ。
 この列車がまるでノアの方舟のように、
 一定の人々や生物を滅亡から守ったということなんだな。
この中に温室とか魚の水槽とかがあって、
 ひとつの生態系、循環系が成り立っているんだよね。

そう、この列車はひたすら走り続けて止まることがないから
 外から何かを補給する事はできない。
 すべて自給自足なわけだよね。
 その状態で、この列車はもう17年も走り続けている。
こういう設定だけでも実に面白いのだけれど、
 それは単に舞台仕立てであって、
 いよいよ面白いのがその中の「社会」だ。
列車の前方を一握りの上流階級が支配していて、
 最後尾には貧しい人々がひしめくという完全な階層社会。
その中のカーティス(クリス・エバンス)という男が、
 反乱を起こし、前方車両を目指す!
革命だねえ・・・。



考えてみたら、船もそうだけど列車も、
 もともと「格差」があって始まったんだよね。
 船は依然として確固とした階層別だし、列車も「グリーン車」がまだある。
 だから、こういう構造も特別おかしいってわけでもないんだな。
うーん、だけどさ、結局最後尾の人たちって前の車両には行ったこともないんだよ。
 上層階級の下働きとか肉体労働とか、そういう役にも立っていなさそうなんだけど、
 一体なんのためにいるんだろう・・・?
なんのため、と言うか、もともと金持ちのためだけの列車だったのに
 無理やり乗り込んじゃった、ということのようだねえ・・・。
 だから当初悲惨な目に合わされたようなのだけれど・・・。
それが次第に恐ろしい役割を負わされるようになってくる・・・と。
結局この列車は何の事はない、現代の地球の社会構造の縮図ってことなんだ~。



やっぱり韓国の監督作品なので、いろいろな人種が乗り合わせたこの列車でも
 ソン・ガンホとコン・アソンの演じる父娘が、ちょっととぼけた味を出しながら、光っていました。
ちゃんと日本人も乗っていて、日本語も聞こえてきました!
スシ・バーの車両もあったりしたね。
それから、ティルダ・スウィントンの怪演!!
 これも見どころ。女を捨てた、ね。
ところで、カーティス役のクリス・エバンスってさ、
 これがまた「アベンジャーズ」でも出てた「キャプテン・アメリカ」だよ。
うひゃひゃ。あの超ダサい・・・。
だからさ、こんなスゴイ作品に出るくらいなんだから、
 そんな役をすることないんだってば、もう・・・。
スゴイと言うか、始めにもいったようにエグいって感じかな。
 B級めいていて、キョーレツに印象を残す。



何もこんな列車じゃなくても、ドームとかでもいいんじゃない?
 と思ったりするんだけど。
氷河期が急速に来たのでそんな準備をする暇がなかったのだろうね。
 この列車はたまたまウォルフォードの趣味が高じて開発されていたものだったらしい。
 思うに、このエンジンは走り続けることによってまた新たなエネルギーを生み出すんだよ、多分。
 だから止まったらおしまいなんだ。
でもねー、一年に一度しか通らない線路だったらさ、
 一年後には絶対雪に埋まっちゃう思う。
 補修する人も居ないのに・・・。
はは・・・考えればおかしなところはいくらでも出てくるよね。
 だけど、というかだからか、いろいろな想像が掻き立てられて、私は好きだなあ・・・。
同感・・・!



「スノーピアサー」
2013年/韓国・アメリカ・フランス/125分
監督:ポン・ジュノ
原作:ジャン・マルク・ロシェット、ベンヤミン・ルグラン
出演:クリス・エバンス、ソン・ガンホ、コ・アソン、ティルダ・スウィントン、ジェイミー・ベル、オクタビア・スペンサー、エド・ハリス

エグさ★★★★★
奇想度★★★★☆
満足度★★★★☆