空虚と孤独に満ちたリムジン

* * * * * * * * *
ニューヨークの青年投資家エリック・パーカー(ロバート・パティンソン)。
彼は28歳にして巨万の富を築き、今や愛人たちとの快楽に耽る日々。
その日彼は、2マイル先の床屋へ行くために
彼の真っ白い大型リムジンに乗り込みました。
ところがその日は、米大統領がニューヨークを訪れたり、
そのためのデモ行進があったり、
ビッグアーティストの葬儀行列があったりで、道路は大渋滞。
ほとんど車は動きません。
彼を訪ねていろいろな人がこの車に乗り込み、
仕事がらみの話をしたりセックスをしたり。
時々は外に妻の姿を見つけて車を降り食事をともにしたりする。
こんなふうにほとんど車の中で過ごす1日を描写しています。
そうこうするうちに、彼の暗殺者が現れたり、
中国「元」の動きの読み間違いで、膨大な損害を受けていることがわかってきますが・・・。

エリックは自分で額に汗して働いたわけではない。
パソコンに向かって数字を打ち込むだけで得てしまった富。
本作に彼のオフィスは出てこないのですが、
このリムジンの中に、パソコンの装備があり、
実はここですべての仕事が片付いてしまうのです。
「コズモポリス」はニューヨークのことですが、
このリムジンの中こそが彼の世界そのもの。
彼はこの中で健康診断さえ受けるのですが、
そこで医師に「前立腺が非対称」だといわれます。
彼の中では、美しく対称形をなす理論こそが正義だったのかもしれません。
自らの中に、非対称があると言われ、激しく動揺し始めるとともに
彼の築いた現実の中の“美しい理論”の崩壊が始まるのです。

エリックは、リムジンを訪れる女性たちをほしいままにするのに、
肝心の妻の心を捉えることができません。

巨万の富を築いても、居場所と思えるのはこのリムジンのみ。
始めは真っ白なそのリムジンも、終盤には暴徒に襲われ、
傷つき、落書きだらけになてしまいます。
空虚と孤独が、彼の心を蝕んでいく、そのことを象徴するかのように・・・。

さてと、こうして振り返ってみると
なかなか良くできた作品なのですよね。
しか~し!!
その会話の内容は殆ど抽象的で、字幕で追うにはちょっとつらい。
なんというか、私は迫り来る睡魔と戦いつつ、ひたすら忍耐の2時間弱・・・。
つくづく政治経済テーマのドラマが苦手な自分を再認識してしまいました。
ロバート・パティンソンといえばもちろん、あのトワイライトシリーズを思い浮かべます。
しかし、私ははじめの3作ほどを見ただけで、その後は必要性も感じず、見ておりません。
だから今回も彼に釣られてみたというわけではなく、
どちらかと言えば監督に興味を持っていたわけですが・・・、
もう少しスリリングに楽しめるかと期待していましたが、みごとに沈没しました。
つくづく私はミーハーな映画鑑賞者なのでした。
「コズモポリス」
2012年/フランス・カナダ/110分
監督・脚本:デビッド・クローネンバーグ
原作:ドン・デリーロ
出演:ロバート・パティンソン、ジュリエット・ビノシュ、サラ・ガンドン、マチュー・アマルリック、ジェイ・バルチェル
退廃度★★★★★
満足度★★☆☆☆

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ニューヨークの青年投資家エリック・パーカー(ロバート・パティンソン)。
彼は28歳にして巨万の富を築き、今や愛人たちとの快楽に耽る日々。
その日彼は、2マイル先の床屋へ行くために
彼の真っ白い大型リムジンに乗り込みました。
ところがその日は、米大統領がニューヨークを訪れたり、
そのためのデモ行進があったり、
ビッグアーティストの葬儀行列があったりで、道路は大渋滞。
ほとんど車は動きません。
彼を訪ねていろいろな人がこの車に乗り込み、
仕事がらみの話をしたりセックスをしたり。
時々は外に妻の姿を見つけて車を降り食事をともにしたりする。
こんなふうにほとんど車の中で過ごす1日を描写しています。
そうこうするうちに、彼の暗殺者が現れたり、
中国「元」の動きの読み間違いで、膨大な損害を受けていることがわかってきますが・・・。

エリックは自分で額に汗して働いたわけではない。
パソコンに向かって数字を打ち込むだけで得てしまった富。
本作に彼のオフィスは出てこないのですが、
このリムジンの中に、パソコンの装備があり、
実はここですべての仕事が片付いてしまうのです。
「コズモポリス」はニューヨークのことですが、
このリムジンの中こそが彼の世界そのもの。
彼はこの中で健康診断さえ受けるのですが、
そこで医師に「前立腺が非対称」だといわれます。
彼の中では、美しく対称形をなす理論こそが正義だったのかもしれません。
自らの中に、非対称があると言われ、激しく動揺し始めるとともに
彼の築いた現実の中の“美しい理論”の崩壊が始まるのです。

エリックは、リムジンを訪れる女性たちをほしいままにするのに、
肝心の妻の心を捉えることができません。

巨万の富を築いても、居場所と思えるのはこのリムジンのみ。
始めは真っ白なそのリムジンも、終盤には暴徒に襲われ、
傷つき、落書きだらけになてしまいます。
空虚と孤独が、彼の心を蝕んでいく、そのことを象徴するかのように・・・。

さてと、こうして振り返ってみると
なかなか良くできた作品なのですよね。
しか~し!!
その会話の内容は殆ど抽象的で、字幕で追うにはちょっとつらい。
なんというか、私は迫り来る睡魔と戦いつつ、ひたすら忍耐の2時間弱・・・。
つくづく政治経済テーマのドラマが苦手な自分を再認識してしまいました。
ロバート・パティンソンといえばもちろん、あのトワイライトシリーズを思い浮かべます。
しかし、私ははじめの3作ほどを見ただけで、その後は必要性も感じず、見ておりません。
だから今回も彼に釣られてみたというわけではなく、
どちらかと言えば監督に興味を持っていたわけですが・・・、
もう少しスリリングに楽しめるかと期待していましたが、みごとに沈没しました。
つくづく私はミーハーな映画鑑賞者なのでした。
「コズモポリス」
2012年/フランス・カナダ/110分
監督・脚本:デビッド・クローネンバーグ
原作:ドン・デリーロ
出演:ロバート・パティンソン、ジュリエット・ビノシュ、サラ・ガンドン、マチュー・アマルリック、ジェイ・バルチェル
退廃度★★★★★
満足度★★☆☆☆