日本的、昭和的、熱きオヤジ像
* * * * * * * *
昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。
愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男アキラが誕生し、
家族三人の幸せを噛みしめる日々。
しかしその団らんは、突然の悲劇によって奪われてしまう―。
アキラへの愛あまって、時に暴走し時に途方に暮れるヤスさん。
我が子の幸せだけをひたむきに願い続けた不器用な父親の姿を通して、
いつの世も変わることのない不滅の情を描く。
魂ふるえる、父と息子の物語
* * * * * * * *
TVドラマ化されたものですが、見ていなかったので遅まきながら・・・。
本作の父親、ヤスさんはとにかく熱い!!
冒頭、奥さんを大好きだし、もうすぐ子供が生まれる。
幸せで、幸せで困ってしまう。
そんなシーンには、私、正直ちょっと引き気味でした。
こういう熱い親父さん、苦手・・・。
などと思っているうちに、
事故で奥さんが亡くなってしまいます。
取り残された夫とまだ幼い息子アキラ。
特にアキラくんが不憫で不憫で、思わずもらい泣き・・・。
本作はこの事故の原因を最後まで息子に隠し通そうとする
ヤスさんの心意気がひとつの芯となって展開していきます。
反抗期で口数も少なくなってきたアキラが、
やがて東京の大学へ進み、東京で就職。
若くてバリバリのヤスさんにも老いが見えてきます。
このストーリーのようなドラマチックなことはないにしても、
親が子供を思う気持ちは同じだなあ・・・と、
そこまで熱くはなれない私も感じ入るのでした。
普通の家庭に、普通におこる親子の愛憎。
遠く離れて暮らしても決して途切れることのない絆。
ちょっぴり懐かしい昭和の時代を背景とした、
父と息子の絆の物語なのでした。
ハリウッド映画的「父と息子の確執」というのとはちょっと違いますね。
なにしろ、表題の"とんび"は、
「とんびが鷹を生む」の"とんび"。
予想外に出来の良い子供ができちゃった・・・という。
でも、その不器用な父親の、ただひたすらに息子を守りたいという愛情の発露、
いかにも日本的で、受け入れやすいです。
まあ、そんな熱さも有りかな、と。
「とんび」重松清 角川文庫
満足度★★★☆☆
![]() | とんび (角川文庫) |
重松 清 | |
角川書店 |
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昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。
愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男アキラが誕生し、
家族三人の幸せを噛みしめる日々。
しかしその団らんは、突然の悲劇によって奪われてしまう―。
アキラへの愛あまって、時に暴走し時に途方に暮れるヤスさん。
我が子の幸せだけをひたむきに願い続けた不器用な父親の姿を通して、
いつの世も変わることのない不滅の情を描く。
魂ふるえる、父と息子の物語
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TVドラマ化されたものですが、見ていなかったので遅まきながら・・・。
本作の父親、ヤスさんはとにかく熱い!!
冒頭、奥さんを大好きだし、もうすぐ子供が生まれる。
幸せで、幸せで困ってしまう。
そんなシーンには、私、正直ちょっと引き気味でした。
こういう熱い親父さん、苦手・・・。
などと思っているうちに、
事故で奥さんが亡くなってしまいます。
取り残された夫とまだ幼い息子アキラ。
特にアキラくんが不憫で不憫で、思わずもらい泣き・・・。
本作はこの事故の原因を最後まで息子に隠し通そうとする
ヤスさんの心意気がひとつの芯となって展開していきます。
反抗期で口数も少なくなってきたアキラが、
やがて東京の大学へ進み、東京で就職。
若くてバリバリのヤスさんにも老いが見えてきます。
このストーリーのようなドラマチックなことはないにしても、
親が子供を思う気持ちは同じだなあ・・・と、
そこまで熱くはなれない私も感じ入るのでした。
普通の家庭に、普通におこる親子の愛憎。
遠く離れて暮らしても決して途切れることのない絆。
ちょっぴり懐かしい昭和の時代を背景とした、
父と息子の絆の物語なのでした。
ハリウッド映画的「父と息子の確執」というのとはちょっと違いますね。
なにしろ、表題の"とんび"は、
「とんびが鷹を生む」の"とんび"。
予想外に出来の良い子供ができちゃった・・・という。
でも、その不器用な父親の、ただひたすらに息子を守りたいという愛情の発露、
いかにも日本的で、受け入れやすいです。
まあ、そんな熱さも有りかな、と。
「とんび」重松清 角川文庫
満足度★★★☆☆