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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

花田少年史 幽霊と秘密のトンネル

2010年10月30日 | 映画(は行)
少年の自我の芽生え



         * * * * * * * *

一色まことのコミックが原作です。
海辺の街。
腕白坊主の花田一路がトラックにはねられ、意識不明となってしまいます。
魂が体を離れ、空の高みの光の差す方へ気持ちよく登っていこうとするところを、
一人のセーラー服の少女に引き留められます。
「行っちゃダメ。お母さんのところに帰りなさい!!」

危ういところで意識を取り戻した花田少年。
しかし、なぜかその後、彼は幽霊を見ることができるようになってしまったのです。
おお、シックスセンスですね。
死者が見えて、死者と意思の疎通がはかることができる・・・。

そんな彼のところに、彼をこの世に引きとどめたセーラー服の少女の幽霊が頻繁に現れる。
そしてまた、彼の実の父だと名乗る男性の幽霊も・・・。


花田少年は、幽霊の力を借りてお父さん・お母さんの若い頃のことを知っていきます。
これまではただ自分の親としての「お父さん」、「お母さん」でしかなかった。
けれども、お父さんお母さんも、まずは一人の人間で、
これまでいろいろな辛いことを経験して今がある、
そういうことが解ってくるのですね。
これがやっぱりちょうどこれくらいの年の子供、
大人としての自我が芽生えていくこの時期に重ねてあるのが、とてもいいと思いました。
だからこの物語は、やっぱり少年が主人公でなければいけないのです。


ユーモアにあふれて、非常に楽しい作品ですが、
家族のこと、友達のこと、いろいろな大人の事情、
ほろりと来る場面もたっぷりでなかなか見応えがあります。
西村雅彦の若いときシーンも笑えます。

ただ、ラスト近くの嵐の海のシーンは、どうにも強引で陳腐。
そんなことを言ったら、幽霊話なので
元々リアリティを求める作品ではないですけれど・・・。
せっかくそこまでは、泣き笑いしながらのめり込んでみていたのに、
何だかそこでしらけてしまいました。
・・・でも、これは原作がこうなのかな。
コミックならスムーズに読めたかも知れません。
ちょっと残念です。

花田少年史 幽霊と秘密のトンネル [DVD]
須賀健太,篠原涼子,西村雅彦,北村一輝,安藤希
バップ



2006年/日本/123分
監督:水田伸生
出演:須賀健太、西村雅彦、安藤希、杉本哲太、篠原涼子、もたいまさこ