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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「ミステリと言う勿れ 6」田村由美

2022年07月07日 | コミックス

サラツヤにしたからといって、イケメンになるわけではない

 

 

* * * * * * * * * * * *

悩みも事件も解きほぐす青年・久能整
事件に巻き込まれては、いつのまにか人の悩みも謎も解きほぐしてしまう大学生・久能整。
彼は、事件の数々に繋がりがある可能性に気づき、
謎めいた少女・ライカに相談するが…!?

* * * * * * * * * * * *

整くんの、第6巻。

まずは、大晦日、じゃなくて元旦未明ですね。
初詣の後、焼肉屋さんに寄って焼肉初体験する整くんとライカさん。
ところがその焼肉屋さんが実は強盗に入られていて、
脅された店員さんが必死に暗号で整くんとライカさんに助けを求める、という一節。
鋭い二人のことですから、これはすぐに解決。
このエピソードは好きだなあ・・・。
おみくじで凶を引いてしまった整くん、
確かにおかしな事件に巻き込まれてばかりだけれど、
ライカさんと知り合えたのは僥倖です。

 

そして、次のエピソード。
「羽喰十斗」の事件です。
連続女性殺人事件。
そして、我路くんのお姉さん愛珠の事件にも絡むストーリー。
これはなかなかのミステリです。
十斗は「刺した刃物は手首をひねってから抜くと大量出血する」
などといいながら実行したりする、全くのサイコパス。
このシーンは実に恐い。
テレビドラマでは、北村匠海さんが演じていましたっけ。

ところでこのエピソードには整くんが登場しないのです。
(ちょうどこの事件の裏側で、整くんは広島の狩集家の事件に関わっている。)
そこもなかなか、オシャレですね。
でも結局、愛珠さんに関わった真の黒幕的人物は分からないまま。

一応の解決をつけつつも、続く・・・という所です。

 

「ミステリと言う勿れ 6」田村由美 フラワーコミックスα

満足度★★★★☆

 


「ミステリと言う勿れ 5」田村由美

2022年06月08日 | コミックス

人生こんなに悩んだことがあっただろうか

 

 

* * * * * * * * * * * *

坂で転がり落ち、検査入院することになった整。
その病院で出会った謎の美少女・ライカの言葉に導かれて動く内に、
整は不穏な都市伝説に遭遇する。

子どもを救う“炎の天使”とは一体――!?

* * * * * * * * * * * *

整くんが検査入院した病院で知り合った謎めいた美少女ライカ。
そして、おかしな縁で時々話をするようになった“カエル”こと陸(ろく)さんとの話になります。

親に虐待を受けている子どもが壁にある印を書くと、
天使が来て親を炎で殺してくれる・・・
そんな物騒な都市伝説めいた話がネットで話題になります。
そしてその話とよく似た事件が実際に数件起こっている。
どうやら陸さんがその事件に関わっているらしい・・・と、
TVドラマにもあったエピソード。
でも陸さんが慕っている香音人(かねと)青年が実は・・・!
という所は、ドラマを見ていても全く想像もつかなかったところで、
このストーリーには驚かされました。

 

散々虐待を繰り返した親をどうするのか。
「天使」は、その判断を子ども自身に委ねます。
しかし、整くんはそれこそが子どもへの虐待だという。
子ども自身が親を殺すことを天使に依頼し、それを天使が実行したとしても、
結局子どもには「自分が親を殺した」という思いが残ってしまう。
そしてその思いが以後ずっと自分を苦しめる。
そんな苦しみを背負い続けてきて、
すでに精神崩壊寸前のところにいたのが陸さんであるわけです。

親による児童虐待は、本作の底辺にずっとある大きなテーマなのでしょう。
心に刺さるエピソードです。

 

さて、本作中で気になった整くんの言葉。
「土下座」を強要する人について。

「本当に土下座でいいんですか?
だって土下座ってただの動作だから。
簡単でお金もかからなくて、心がこもってなくてもべつなこと考えてても
できることなんですけど。
土下座に意味があると思うということは、
あなたはそうしろと言われるのがすごくイヤなんだということですね」

 

最近の、記者会見で土下座して見せた某社長を思い出してしまいました。
その姿を見ても全く心に響きませんでしたが、それは整くんが言うとおりですね。
私はむしろ、こういうことをする人は、
きっと何かことがあるたびに、相手に土下座を強要する人なのではないかと思った次第。

 

また、ライカに「ちょっとしたクリスマスプレゼントの交換をしよう」と言われた整くんは、
いったいライカさんに何をプレゼントしていいものやら、悩みに悩んでしまうのです。

悩みすぎて息も絶え絶えになってしまう。
「人生こんなに悩んだことがあっただろうか」
こんなだから、整くんが大好きです!!

でもこのときライカにもらった赤いオーナメントが
結局整くんを救うことになるわけで、
全く、ストーリー作りがうまいなあ、と感嘆させられるのでした。

 

そして、小学校の教師を目指す整くんは
「僕はいつもいろんなことに気づきたいと思っています。
僕のクラスに陸さんがいたら、家で何かがおこっていることに必ず気づくと思います。
僕のクラスに香音人さんがいたとしたら、その異変に絶対気づきます」
と、強くきっぱりと言い切ります。
確かに彼は、人が気づかないようなことにきちんと気づく
(気づきすぎてウザいと言われるくらい)ヤツなので、
この言葉は単なる希望的観測ではないのです。
本当に、教師になって欲しいなあ、整くん。

 

「ミステリと言う勿れ 5」田村由美 フラワーコミックスα

満足度★★★★★

 


「ミステリと言う勿れ 4」田村由美

2022年05月11日 | コミックス

ストーリー展開のツナギのみごとさ

 

 

* * * * * * * * * * * * 

広島での狩集(かりあつまり)家の代々の相続争いで、
過去をさかのぼるうちに、明かになった仕掛け人の存在。
さらに、汐路(しおじ)の父母たちの以外な意思が明らかとなり…!?

追加ページ有りで広島編、ついに決着! そして、新章スタートの必見の第4巻!

* * * * * * * * * * * *

 

本巻では広島の狩集家の話が決着し、
その後はテレビドラマにあった、記憶喪失の爆弾男のエピソードに繋がります。

ある雨の日、整くんが公園で濡れそぼっている男と出会う。
記憶がないというその男としばし話をするうちに、男は次第に記憶を取り戻し、
「どこかに爆弾を仕掛けたような気がする」と言い始めます。
それまでの会話から、その爆弾の仕掛けられた場所に気づく整くん。
いやはや、この男の会話の中にすべて「3」という数字が関わっているなどと、
じっくり読んでいるはずの私にも全然気がつきませんでした。
さすが整くん、恐れ入ります。

 

それにしてもこの後のストーリー展開のツナギの見事さにもまた、
私は恐れ入ってしまうのです。

この公園の現場から立ち去ろうとする整くんは、土手から転げ落ちてしまう。

病院に担ぎ込まれた整くんは、別に異常はないというのに、
検査のため無理矢理入院させられ、その夜となりの病床の老人から謎めいた話を聞かされます。

その老人が残したのが「自省録」という一冊の本。

また、この病院に張られた手描きポスターに、明らかな誤字があるのに気づいた整くんは、
それが暗号となっていることに気づき、病院の温室を訪れることになります。

そこでも一つの事件を解決した後、また新たな暗号らしき数字を発見。

その暗号は、「自省録」の本がなければ解けないものなのでした・・・。

小さな「謎」はそれぞれ独立していながらも、絡み合って大きなストーリーを構成していく。
この運びの見事さ。
スバラシイ。

 

本巻で気になる整くんのセリフ。

「僕は死んだら何もなくなるんだと思っています。
眠るのと同じ感じでただ夢も見ないし2度と起きない。
何もかもなくなる。
つらいのも苦しいのも恨みもなくなる。
ちょっと悔しいけどそうだったらいいなと思うし、そうあってほしいです」

この思いは、誰もが同じというわけではないと思うのです。
死んでからも持っていたい幸福な想い出や愛や・・・
そういうものを彼は持っていないのかなあ。
つらいことや苦しいことや恨みがましいこと・・・
そんなものばかりが彼にはあるのかもしれない、と思えてちょっと切ないです。

この巻は、整くんがやっとライカさんと対面したところで終わっていまして、
この先も分かってはいるのですが、楽しみです。

「ミステリと言う勿れ 4」田村由美 フラワーコミックスα

満足度★★★★☆

 


「ミステリと言う勿れ 3」田村由美

2022年04月11日 | コミックス

広島の旧家で、遺産相続に絡む謎を解く

 

 

* * * * * * * * * * * *

代々、遺産を巡る争いで死者さえ出るという、
狩集(かりあつまり)家の相続人のひとりである、汐路(しおじ)に頼まれ、
訪れた先の広島で、遺言書の開示に立ち会うことになった久能 整(くのう ととのう)。
そこには、失跡した犬童我路(ガロ)の思惑が働いていた。
相続人候補は汐路と、いとこたち4人。
整は次第に身に危険も及ぶ骨肉の争いに巻き込まれて…!?

* * * * * * * * * * * *

前巻からの続き。
広島、狩集(かりあつまり)家の遺産相続問題に首を突っ込むことになってしまった久能くん。

広島の旧家。
まるで金田一耕助じみています。
しかしなぜか、例によった蕩々とした整くんのしゃべりがなかなか始まりません。
整くんを呼び込んだ汐路(しおじ)を始め、他の3人のいとこたちも、
整くんの話を聞こうとしないのです。
整くんは彼らをこう呼ぶ。
「話をきいてくれない一族」と。

旧家で過去から続く不審死。
蔵に隠された謎。
話はミステリアスでおどろおどろしくなっていって、
まさに横溝正史的な話になっていきます。

そんな中で、整くんは・・・。

これまで彼女どころか一人も友だちはいなかったと以前から言っていました。
本巻では、人と一緒の部屋では眠れないし、人の家のお風呂に入るのもイヤ、
自分の汚れ物を他の人に洗濯されるのもイヤ、などと言っています。
そうは言いながら、やむを得ない事情が生じて、狩集家のお風呂に入ってしまったり、
ぱんつまで洗濯してもらうハメになったり。
でも自分で決めたタブーなので、一度その壁を越してしまえば問題は消滅するようなのです。
2度目のお風呂はすんなり入ってしまった。
彼自身「最近わかったけれど、僕は攻撃されると結構攻撃的になる」
などとも言っています。
次第に整くんが人として成長していく物語だったのですね。

 

彼の根本的な問題が何であったのかは、
テレビドラマの方ではその片鱗がうかがえるシーンがありました。
だからいつもきっちりマフラーを巻いているのかと、大いに納得したところではあります。
こちら原作コミックではまだそのことには触れられていません。
けれど、子供だからと言ってその前で不用意なことを口にしてはいけない。
子供はバカだと思うかも知れないけれど、そうじゃない。
あなたは子どもの頃バカでしたか?
そう問いかける整くんには、彼自身の子どもの頃の
そうした苦い想い出がたくさんつまっているようです。

そしてまた、彼は男性でありながら、女性が置かれている弱い立場を思いやる言動も多いですね。
このことも、もしかしたら彼の母親が置かれていた立場を見てきたからなのかも・・・。

 

このエピソード、本巻で終わるのかと思いきや、まだ「続く」でした・・・。
ほとんど謎は解き明かされたようではありますが。
月に一冊くらいと思っていたのに、これではすぐに読みたくなってしまうではありませんか!! 
いやいや、ゆっくり、じっくり行きましょう・・・。

 

「ミステリと言う勿れ 3」田村由美 フラワーコミックスα

満足度★★★★☆

 


「ミステリと言う勿れ 2」田村由美

2022年03月16日 | コミックス

国を動かすような位置にある人は、戦争を悪と考えていない。

 

 

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印象派展に向かう途中のバスで、バスジャックに巻き込まれた
久能整(くのう・ととのう)。
犯人の脅しにもひるむことなく、マイペースな発言を繰り返して
バスジャック犯を引っかき回したものの、
ほかの乗客たちと、犯人宅に”招待”されてしまい・・・!?

天然パーマの大学生・整が、思いがけない展開を導き出す新感覚ストーリー!!

* * * * * * * * * * * *

「ミステリと言う勿れ」第2巻。

バスジャックから始まるエピソードの顛末は、ドラマで見て分かっていたので、
意外性を楽しめなかったのが残念ではありますが、
この中で私が一番好きな整くんのセリフ。

「どうしていじめられてる方が逃げなきゃならないんでしょう。
欧米の一部では、いじめてる方を病んでると判断するそうです。
いじめなきゃいられないほど病んでる。
だから隔離してカウンセリングを受けさせて癒すべきと考える。
(中略)
病んでたり、迷惑だったり、恥ずかしくて問題があるのは、いじめてる方」

 

私も、常々思ってはいたのです。
いじめる側の人は、きっと満たされない何かがあるのだろう、と。
そんなモヤモヤを、見事にきちんと言葉にしてくれたなあ・・・!!

 

そして、こんな言葉もありましたよ。

「戦争を『悪』と考えてるのは、一部の一般の人たちと、
先の大戦で被害を受けた人たちだけです。
国を動かすような位置にいるほとんどの人がそうは思ってない。
それを必要とする人が多いうちは決してなくならない。」

非常に冷めた整くんの意見ですが、
私は今、自分の脳天気さを思い知った気がしているのです。
平和は当たり前にあるものだと思っていた。
でもそうじゃなくて、ある日突然よその国が攻め入って来ることが本当にある。
それを目の当たりにしたわけで。
冷めた整くんの意見が正しいのが辛い。

 

さて、私はテレビドラマは原作通りに進行していると思っていたのですが、
そうではなかったようです。
本巻のエピソード3では、整くんが広島へ行った時のことが描かれています。
東京での「印象派展」を見逃してしまった整くんが、広島での展示を見に行くのです。
そこでまたいろいろなことに巻き込まれてしまう。
このストーリーはテレビドラマにはなかったですね。
だからやっぱり、原作コミックを読んで良かった!

 

「ミステリと言う勿れ 2」田村由美 フラワーコミックスα

満足度★★★★☆

 


「ミステリと言う勿れ 1」田村由美

2022年03月04日 | コミックス

一般的に常識と思われていることを裏返してゆく

 

 

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解決解読青年・久能 整、颯爽登場の第一巻!!
冬のある、カレー日和。
アパートの部屋で大学生・整がタマネギをザク切りしていると・・・
警察官がやってきて・・・!?
突然任意同行された整に、近隣で起こった殺人事件の容疑がかけられる。
しかもその被害者は、整の同級生で・・・。
次々に容疑を裏付ける証拠を突きつけられた整はいったいどうなる・・・???

新感覚ストーリー「ミステリと言う勿れ」、注目の第一巻です!!

* * * * * * * * * * * *

月9のテレビドラマで絶賛放送中の本作。
私はすっかり気に入ってしまったので、原作本を手に取りました。
常日頃、コミックが原作のテレビドラマで気に入ったものがあっても、
原作を買おうとまで思うことはほとんどありません。
でも本作に限っては、整くんの「語り」を
もっとじっくり何度も味わいたい・・・という思いが強かったのです。

 

何しろ、始めのエピソードからものすごいインパクトです。
調度この一冊が、テレビドラマ第一回分となっていました。

 

ある日突然、主人公の大学生・久能整(くのうととのう)が、
殺人容疑をかけられて警察に任意同行されてしまうのです。
が、事情聴取される整くんが、
警察署内の人々のちょっとした悩みに答えてしまうという意外な展開。
そしてそんな中で見聞きする事件のあらましの中から、
彼は真犯人を突き止めてしまう・・・!
しかも真犯人は、ミステリではタブーの、あの・・・。

あえてネタばらしは避けますが、
一般的にミステリの組み立ての中ではタブーとされる犯人像を持ってきたあたりで、
「これはミステリではありませんよ・・・」と宣言した題名なのも
ステキだと思いました。
そうなのです。
ミステリ要素を持ちながら、本作は「ミステリ」ではないのでしょう。
本巻のあとがき的ページの中で、著者は、
これは「整がただただしゃべりまくる話です。」
と言っています。
舞台劇のようなイメージであるとのこと。

確かに。
そのしゃべりがメイン。
けれどストーリーの意外性もまた、素晴らしく光っています。
大好きです。

現在10巻まで出ているのですが、私はあえてまとめて大人買いせず、
月に1冊ずつくらいにして、じっくり読んでいこうと思います。
(先のストーリーはドラマでわかっているので慌てることはないですもんね。)

 

そしてドラマについては、いわゆる「常識」的な事柄を裏返していく、
訥々とした整くんの語りが心地よい。
菅田将暉さんのキャスティングもナイスです。
そしてこの長台詞をよくぞものにしてくれました。
菅田将暉さん、ありがとう!!

 

「ミステリと言う勿れ 1」田村由美 フラワーコミックスα

満足度★★★★★


「信長協奏曲 22」石井あゆみ

2022年02月24日 | コミックス

最終段階へ秒読み開始!

 

 

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サブロー、つい”あの地”に!!

備中高松で戦う秀吉からサブローの元へ援軍の要請!
信長が西国へ赴くという事、それは織田と毛利の全面対決を意味していた。
そんな中、秀吉の裏の思惑を察知した光秀が、サブローに進言する事とは!?
そして、天正十年五月二十九日、ついに「その地」に至る…!!

* * * * * * * * * * * *

「信長協奏曲」、新刊です。

なんといよいよ、ついに、秀吉の援軍依頼を受けた信長が京都の本能寺に入ります。
その前に、長く慣れ親しんだ家臣や妹・お市とその娘たちと別れを交わす。
もちろんこれが最後と思っているわけではないのですが。
私たちとしてはなかなか切なく感じてしまう。

そしてこの次の巻がいよいよ最終巻だそうです。
そうですよね、そうなりますよね。
それでまあ、私でなくてもほとんどの方は予測がついていると思うのですが、
おそらく、明智光秀こと本物の信長が、
サブロー信長と入れ替わって死ぬつもりなのではないかと・・・。

となると本能寺に攻め入ってくるのはいったい誰なのかって、
それはもちろん秀吉か秀長ですよね。
ちょっとヘンテコな歴史になってしまうけれど。
いや、それは彼らの陰謀で、攻めてきたのは光秀
ということにされてしまうのかも知れない。

となると、サブロー信長はどうなるのでしょう? 
気になるのは、あえてこの度、帰蝶を伴って京都入りしてしまったこと。
よしてよ~、危険じゃん、と思うけれど、
そういうことになってしまった・・・。

本作中、この時代にタイムスリップして来た人物が他にもいるのですが、
元の時代には戻れず、ここで命を全うした模様。
それなので、今さらサブローが現代に戻るというのはないのだろうなあ・・・。

 

ホントに、どうなるんでしょ。
待たれる次巻!!

 

「信長協奏曲 22」石井あゆみ ゲッサン少年サンデーコミックス

満足度★★★★☆

 


「詩歌川百景 2」吉田秋生

2022年02月22日 | コミックス

類の内心に注目!

 

 

* * * * * * * * * * * *

”親を選べなかった子供”がもう一人・・・

山間の小さな温泉町の老舗旅館で湯守見習いとして働く青年・和樹(かずき)は、
友人たちや大女将の孫娘・妙(たえ)とともに
様々な大人たちと関わりながら過ごしている。
ある日、東京の大学に進学しそのまま就職した「まーこ姉ちゃん」が帰ってきて・・・?

* * * * * * * * * * * *

待ってました!「詩歌川百景」第2弾。

前巻で、この小さな温泉町の老舗旅館で湯守見習いとして働く和樹と、
その周囲の人々のおよその人となりや関係性が表わされました。
そして2巻目の本作は、いよいよ1人ずつの内面に踏み込んでいきます。

和樹が最も親しくしている友人は、
2人合わせて「森林組合」と呼ばれる森野剛と林田類。
剛は、幼なじみである妙のことが好きで、告白すべきかどうか迷っています。
類はぜひ告白すべきと焚きつける。
でも、和樹はもしかすると類も妙のことが好きなのでは?と思う。

いやいやいや、この展開はどうなのか、と思いますよね。
だって、どう見ても本作としては妙と和樹がいい感じになりそうに思う。
これが三角関係ならぬ四角関係になってしまったら、
いくら何でもやり過ぎではないの!

・・・ところがです。
本巻の最終ページで、やられた!と思います。
勘の良い方なら気づいたでしょうか。
私はそこまで思い至りませんでした。
成績優秀な類が、大学進学を止めてまでこの町に残った理由。
そして自分の思いは決して本人に告げないと決めている理由。

なんとも切ないではありませんか・・・!
ぐっと、この先が楽しみになってきました。

 

そして妙はやはり和樹が好きなのだと思います。
いつも和樹に対しては上から目線の物言いになってしまうのは、
きっとあれですよね。
好きな子をついいじめてしまうというガキ大将的な・・・。
でも和樹がそうした思いに気づくのはもう少し先のことになりそうです。
今は、仕事を覚えるのに精一杯。

そして今回新たに登場したのは、まーこ姉ちゃんこと、摩耶子。
えーと、妙にとってはイトコということになりますか。
彼女もまた、毒母から逃れるのに苦労し、
他の人よりも一層自立心が芽生えたクチのようです。
私は、こういう人物が好き♡

というわけで、次巻まで、また首を長~くして待つことにしましょう。

 

「詩歌川百景 2」吉田秋生 フラワーズコミックス

満足度★★★★★


「ポーの一族 秘密の花園2」萩尾望都

2021年12月05日 | コミックス

人の世の苦さ切なさ

 

 

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エドガーは目覚めたアランを連れてアーサーの館を離れ、
アーサーはますます病重く死を迎えようとしていた。
そんなおり父と再婚相手との娘・セスが現れアーサーの看病をすることに・・・?

アーサーの過去、パトリシアとの秘めた初恋の行方、そして目覚めたアラン。
全てが絡み合い運命が1つの結末をつむぐ。

「秘密の花園」の章、完結巻。

* * * * * * * * * * * *

ポーの一族、「秘密の花園」の続編です。

アーサーの館に身を寄せているエドガー。
アランは相変わらず庭の片隅にある小屋で眠り続けています。
エドガーは秘密を知ってしまった者を「狩ら」なければならなくなり、
バンパイアとして生きることは、
時には非情でなければならない苦しさを滲ませます。
彼は結局人間が好きなんですね・・・。
だからポーの村で過ごすよりも人間界を旅していたいのでしょう。

さて本作、アーサーとパトリシアの恋模様がとても切ない。
若き日のすれ違いが、後々までも2人を苦しめていたのです。
でも、それは結局アーサーのほんの一時の心ない行動が起因したことだった・・・。

人生の苦さ、切なさ・・・。
こんなことを、ロマンを持ちつつも的確に、著者は描き出します。
そしてちょっぴりのユーモアも忘れない。

巻末、ひたすら実直にアーサーのことを案じ続けていた使用人マルコの
その後が描かれていたのには、ひたすら涙・涙・・・。

定められた人生を歩む者と、常世を生きる者は、
時の流れの中でほんのひとときすれ違うしかないのですね。

 

さていつも思うけれど、この物語においてアランは、
常にやっかいごとの元凶のような気がします。
いっそずっと眠り続けていて欲しい・・・(?)

 

「ポーの一族 秘密の花園2」萩尾望都 フラワーコミックススペシャル

満足度★★★★★

 


「信長協奏曲21」石井あゆみ

2021年11月16日 | コミックス

じわじわと、「その時」に近づいていく

 

 

* * * * * * * * * * * *

北陸方面軍に陣中見舞いにやってきたサブローは
久々に森ブラザースら、家臣たちと親睦を深める。
久々の団欒は盛り上がり、犬千代の頼みで、握手ならぬハグ会(!)まで開かれる始末…

一方、秀吉率いる中国方面軍は備中へ侵略、
恐るべき新たな策に出ようとしていて…!?

* * * * * * * * * * * *

さて本巻、いよいよこの物語も大詰めに近づいてきたことがひしひしと感じられます。

天正10年。
北陸方面軍に陣中見舞いにやって来たサブロー信長は、
長年苦楽をともにした家臣たちと語らいます。
なんと一人一人にお礼の言葉をかけてハグをしています。
いかにも、最後の別れですよね・・・。
なんだか感慨深い。

そして、安土城を家康ら一行が訪れ、
その饗応役を明智光秀が務めるわけですが、
当然ながらこの物語では何事も起こらず和気藹々とした時が流れます。
ここも結局サブローと家康の最後の対面シーンということになりました。

一方備中において高松城の水攻めにとりかかっている秀吉。
彼はこの物語の始めからほの暗い意志を明確にしていたわけですが、
なんと本巻では本心を吐露します。

あの男は常にわしの予測の外にいる。

こんなにも長い年月屈辱と憎悪を抱きながら仕え続けるほどに
織田信長という風変わりな男に引き寄せられてきた。

こんなはずではなかった、わしの生涯は。

 

そんな兄の心を知りつつも、なおも野望に燃えるのは弟秀長であります。
この男、実は秀吉以上に危険、というのは先頃から見えていたことではありますが。

 

そして秀吉からの救援要請が届き、いよいよサブローが安土城を出ることになる・・・。
うう・・・、次巻が待たれます。

結局今になってもどういう形で本能寺の変となるのか、
秀吉・秀長の策略なのは間違いないとは思いますが、
その詳細は見当もつきません・・・。

 

「信長協奏曲21」石井あゆみ ゲッサン少年サンデーコミックス

満足度★★★★☆

 


「レベレーション 啓示 6」山岸凉子

2021年11月06日 | コミックス

ついに「解放」される、ジャンヌ

 

 

* * * * * * * * * * * *

フランスの王位継承をめぐるイギリスとの百年戦争のただなか。
「フランスへ行け。王を助けよ」との啓示をうけた
ジャネットことジャンヌ・ダルクは連戦連勝。
王太子の戴冠式をランスで行う。
しかしコンピエーニュの戦いで捕虜となり、
1万リーブルの身代金と引き換えにイギリスに引き渡され異端審問にかけられる。
主と自らの解放を信じるジャンヌだが、その時は迫っていくーー! 
ジャンヌ・ダルク×山岸凉子最終巻! 
巻末には「逃げるは恥だが役に立つ」の海野つなみ氏との特別対談を収録。

* * * * * * * * * * * *

本巻、最終刊です!! 
昨年12月に出ていたというのに、気づいていなかったなんて、何という不覚!!
でもこれ、本当に読むのが辛いです・・・。

 

イギリスに引き渡され、異端審問にかけられるジャンヌ。
寒い地下牢に手かせ足かせで閉じ込められるという環境で、
それでも彼女は生き抜いています。
くじけそうになるジャンヌに聞こえた主の声、
「汝は解放される」を信じ、ひたすら耐えていたのですが・・・。

さすがの彼女も、これまで聞いていた神の声は、
自分の幻想だったのではと疑い、神などいないと、絶望に駆られることも・・・。

しかし、ある神学生が言うのです。

「解放される、というのにはもう一つの意味がある。
肉体からの魂の解放・・・すなわち、死」

このことでジャンヌはやはり自分は神に見護られていると確信するわけですね。

 

まあ、始めから結果は分かっていることとはいえ、
ジャンヌがどのような気持ちで死に臨んだのか、そこが重要な所です。

著者が、彼女にとっての最大の幸福を最後に用意してくれたことに感謝。
泣けました。

 

結局ジャンヌはフランスの英雄というよりも、
徹底して神を信じる者であったのだと思います。
特にラストは、まるでキリストを思わせるようでもありました。

 

「レベレーション 啓示 6」山岸凉子 講談社モーニングKC

満足度★★★★☆

 


「進撃の巨人 1~34」諫山創 

2021年06月18日 | コミックス

驚きに満ちた物語

 

 

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この度、ついに「進撃の巨人」が最終回を迎え、話題になったところです。

私は、以前単行本を読んで、そのあまりのおぞましさと、人物の判別の難しさ(?)で、
途中で挫折して、そのままになっていました。

けれど先頃、いよいよ最終話が近いと話題になり始めた頃から、
アニメの方を始めから見直してみました。
Amazonプライムビデオにて、シーズン1~4まで会員無料で見ることができます。
アニメの方はまだ完結までに至っていないのですが、
その後、もう一度本を第1巻から読み直し、読んでいなかった部分を買い足して、
そして先日発売された最終巻も読み、
今、呆然としつつその世界観に浸っているところです。

これだけ人気があるのも納得の、スバラシイ物語でした。
読めば読むだけ奥深く、緻密に組み立てられたストーリーには驚嘆させられます。

本作は、ざっと読み飛ばすという読み方は不向きで、
たかが漫画だなどと侮らず、じっくりと読み込むことが必要のようです。
アニメを見て、その後コミックでおさらい、というのがベストではないかと私は思う。

 

本作中で、思わず口に出して「えっ?!」と言ってしまうような、
衝撃的シーンがいくつもあるのですが、
それを紹介することにしましょう。

<かなりのネタバレ注意>です。

 

食われた!

主人公の少年エレンが、まだ物語がはじまってまもなくのところで、
あっさり巨人に食べられてしまいます。
うそ~、そんなあ・・・、と思いますよね。
ところが、なんと彼は「巨人」になって蘇る。

ただ巨人と闘うという話ではなく、
多くの謎を秘めた不思議な物語であることに気づくところです。

 

裏切り者

研究のために捕らえていた巨人が何者かに殺されてしまう。
どう考えても内部の者の仕業。
なんとそれは、エレンと訓練兵団で同期の信頼していた仲間だった。
それも3人!

なんて、シビアな物語なんだ! 
しかしそれにしても、彼らは壁の外から来たらしい。
一体壁の外とはどういう世界???

 

壁の中身は

壁のほころびからのぞいていたのはなんと、超巨大な巨人の顔!! 
恐い~!! 
どうやらこの壁はこの巨人が立ち並んでできているらしい。
だとしたら、これを作ったのは敵? 味方?

 

兄弟?

調査兵団を苦しめる、巨大な猿のような「獣の巨人」。
その正体はジーク。

ジークは実は、エレンの父が壁の外にいたときに結婚していた相手との息子。
壁内で再婚した相手との子供がエレン。
つまり、ジークとエレンは異母兄弟。
ええ~っ!!
ドラマチック!!

 

悲劇の女たち

物語が始まってすぐに、エレンの母は巨人に食べられてしまいます。
それを目の前で見た少年エレンが、
「巨人を駆逐してやる!」と胸に誓う、大事なシーン。
しかし後にわかるのですが、エレンの母を食ったのは、ジークの母、
つまりエレンの父の前妻だった・・・。
ひい~っ!

 

「進撃の巨人」

ずっとこの題名の意味がどうもピンとこない、と思っていたわけです。
それが、なんと22巻目にいたって、この題名の意味がわかる。
そりゃ、この題名しかないよね、と誰もが納得するわけですが。
それにしても、ここまで引っ張るなんて。

 

究極の選択

重要人物2人が瀕死状態にあるとき、命をつなぐ手段があります。
しかしそれを使えるのは1人に対してのみ。
果たしてどちらを生かすべきなのか?!

究極の選択を迫られる調査兵団。
うわー、これはキビシイ。
こんな決断を迫られるとは・・・。

漫画だからと侮るなかれ。
本当に1人は亡くなってしまいます・・・。

 

別の話?

ストーリーに一区切りが付いたというあたりで、
物語は別の話?と思ってしまうほどの転換を見せます。
それまでは、エレンたちの住む壁の中が舞台だったのが、
いきなり、マーレの国の話が始まります。
エレンはどうなった?という疑問を置き去りに、
マーレに住むエルディア人の少年ファルコと少女ガビの話が始まる。

エルディア人は「悪魔の民」とされ、差別されて
ユダヤ人のゲットーのように塀で囲まれた町に押し込められて生活しています。
ここで育った子どもたちは、パラディ島に住む「悪魔の民」を殲滅する戦いに加わり、
手柄を立てて「名誉マーレ人」の地位を得ることを夢としているのです。
どちらも同じ民族であるのに・・・。

戦争とは、憎しみの連鎖とは・・・、深く考えさせられる展開。
これまでとは逆方向からの視点で見ることによって、
たとえば、ライナーの苦悩などがより強く思い起こされるわけです。

と、ほとんどエレンのことも忘れかけた頃に、いきなり登場した! 
しかも巨人になった!!
どひゃ~!!!

 

オニャンコポン?

本作の中で唯一アフリカ系と思われる人物。
彼はポジティブで誠実で、皆の信頼を集めるのですが、
ハンジが彼をこう呼んだ。
「オニャンコポン」。
何かの冗談かと思いました。
しかし、本当にこれが彼の名前。
それはないでしょ、諫山センセー。
しかし、今となっては他のどんな名前も思いつかない。
忘れられないこの名前・・・。

 

ミカサのその後

最終話。
絵でしか描かれておらず、それもごく小さいカットなのですが、
ミカサに寄り添っているのはなんと、あの・・・。
ですよね?

え~っ!!!
(ここの部分は、連載の最終回にはなくて、単行本に加筆されたものだそうです)

 

話は尽きない・・・。
最後の最後まで意外性に満ちていて、全く飽きない。
すべてのストーリーとエピソードが始めから計算されていたことがわかります。
最後まで読み終えて第一話に戻ると、驚きます。

長く楽しませていただいた諫山先生と、編集の方に感謝!!

 

「進撃の巨人 1~34」諫山創 講談社週刊少年マガジンコミックス

満足度★★★★★★(←?)

 


「ポーの一族 秘密の花園1」萩尾望都 

2020年12月08日 | コミックス

意外に簡単に人を狩るエドガー

 

 

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『ポーの一族 春の夢』『ポーの一族 ユニコーン』に続く第3弾。
19世紀末、旅の途中のエドガーとアラン。
体調を崩したアランのためにアーサー・クエントン卿の館に滞在することになり、
エドガーは…?

* * * * * * * * * * * *

「ポーの一族」新シリーズの第3弾です。

前作で、「現在」に復活したエドガーが描かれたのですが、
残念ながらその続きの話とはならず、本作の舞台は1888年。
アランがその後どうなるのか、という話はまだまだお預けのようです。

 

さて、本作に登場するのは、アーサー・トーマス・クエントン卿。
「ポーの一族」ファンならば覚えがあると思います。

本作は何と旧シリーズにあった「ランプトンは語る」の前日譚ということになります。
トーマス・ローレンスが描いた「ランプトンの肖像」という絵画がありまして、
赤い服をきた美少年の絵です。
その「ランプトンの肖像」の模写があって、しかしなぜかその顔がエドガーの顔。
クエントン卿が描いたというその絵のことが問題となった「ランプトンは語る」のストーリー。
本作では、まさにその絵が描かれたときのことが詳しく語られています。

 

旅の途中エドガーとアランは道に迷い、クエントン卿の屋敷にたどり着き、
そこでしばらく世話になることになります。
そんな時に出会った人々、
そして、正体不明のエドガーに妙に惹かれてしまうクエントン卿の物語。

ここで興味深いのは、アランが眠り続けてしまうということ。
バンパネラの一族にはどうやらそうした時期があるらしいのです。
そして、エドガーは自分の生命(生命といえるのか?)を維持するために、
意外と頻繁に人間を狩ります・・・。
それはいずれ死が近い老人であったり、
やむなく秘密を維持するためだったりしますが・・・。

つまりバンパネラというのは、やはり「鬼」なのだろうなあ・・・。
炭治郎に見つからないようにせねば・・・。

 

とにかく、本話については次巻に続くということになっていまして、
このペースだとまた1年以上後ということになりそうですね・・・。
気長に待つことにしましょう。
その頃にはコロナ禍も去っているといいのですが・・・。

「ポーの一族 秘密の花園1」萩尾望都 小学館フラワーコミックススペシャル

満足度★★★★☆


「詩歌川百景 1」吉田秋生

2020年11月19日 | コミックス

小さな温泉町の群像劇

 

 

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山形の山里にある小さな温泉町・河鹿沢温泉の旅館で湯守り見習いとして働く和樹。
弟の守とともに、旅館の女将や周囲の大人の思惑に
時に守られ時に翻弄されながら暮らしている。

大人たちの抱える過去、
そして河鹿沢温泉に数年前に引っ越してきた旅館の大女将の孫娘・妙をはじめ
幼なじみ達との友情と恋と人生が静かに紡がれていくーーー

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出ました!! 吉田秋生さんの、「海街diary」に続くシリーズ。
本作は全く別の物語ではなく、かつてすずが暮らしていた小さな温泉町が舞台で、
主人公はすずの義弟にあたる和樹。
彼と、彼の周囲の人々の群像劇です。

ちょうど「海街diary」の最終刊にあった短編が、
「海街diary」と本作の橋渡しのような形になっていたのでした。

 

和樹は母親の再婚(再々婚? 何度目かわからない)に伴い、
いちばん下の弟とともに母親とは別れて暮らすことを選び、
今は「あずまや」という温泉旅館で働いています。
そしてもう一人の主要人物はここの大女将の孫娘・妙。
利発で活発、勝気、年下なのに和樹にはいつも上から目線でものを言う、
でもまあ、和樹はそれが嫌いではないようです。

この二人が軸になって動き出した田舎町のストーリー。
田舎とはいいつつ、のどかなことばかりではありません。
そこには都会と変わらず、色々複雑な人々の感情が渦巻いてもいるわけです。
今後が楽しみです。
また長いお付き合いになるでしょうか。

 

そんな中で、気づいたこと。
吉田秋生さんは、母親として不適格な「母」を描くことが多いということ。

“海街”の三姉妹の母は、娘たちを置いて再婚し離れて暮らしていて、
そしてどうにもよそよそしいというか、愛情が薄く気遣いのない人のように描かれていました。

すずの父(=三姉妹の父)の再婚相手の女性(=和樹の母)も、
甘ったれた子どものようで、人の気持ちを思いはかる事のない人でした。

そして、本作の妙の母も、情に欠け身勝手で好人物とは描かれていません。

 

あ、そういえばそれ以前に、この主人公たちには父親がいないのでした。
亡くなっていたり、離婚して家を出ていたり・・・。
つまり主人公たちには、愛情を持って彼らを見守り、かつ規範となるべき親がいないのです。
もしくは、いても逆に足を引っ張るような存在であったり。
なるほど、だから彼らは否応なく、早く大人になるしかなかったということなのか。
自主独立の彼らを見ているととても凜々しく美しく思えたのですが、
どこかもの悲しくも見えていたのは、そういうところからくるものだったのかもしれません。
そういう生い立ちながらも、実に「よい大人」に育った彼らに拍手!!
親はいなくとも、しっかりと彼らを気に懸けて見守ってくれる人々の存在も見逃せませんけれど。
逆に、母親の方について行った和樹の弟は、
その毒母に壊されてしまい、道を踏み外している。
下手な親ならいない方がマシ、ということか・・・。

吉田秋生作品のもう一つのテーマに気づいてしまった私です。

 

ちなみに本作の題名「詩歌川」は、「うたがわ」と読みます。
この温泉町を流れている小さな川の名前。

 

「詩歌川百景 1」吉田秋生 小学館フラワーコミックス

満足度★★★★★

 


「信長協奏曲 20」石井あゆみ

2020年10月31日 | コミックス

先行きが待たれすぎて・・・

 

 

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武田を滅ぼし、天下統一に王手をかけると、ますます一体感を強める織田軍。
しかし秀吉・秀長ら率いる羽柴勢はいよいよ怪しさを増している。
とき丸はおゆきを制止し、たった一人で羽柴陣営に乗り込むが……

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えーと、もう20巻になるのですね。
率直に言って、もう、あれこれ細かいことはいいから、早く肝心のシーンに行ってよ・・・
と言う気がしてきました。
時間稼ぎで引き延ばしている感じがしてしまうもので・・・。

 

まもなく・・・のようではあるのですが、いつになったら本能寺の変にたどり着くのか・・・。
やはり、いちばんの危険人物は、秀吉の弟、秀長のようです。
このあたりがどこでどう転んで本能寺の変に結びつくのか。

信長に全幅の信頼を置いている家康くんについては、まあ、納得なのですが。
彼が未だにサブロー信長からもらったエロ本を大切にしていた、という下りはナイスでした。

次巻はもう少し進展があることを願いつつ・・・

 

「信長協奏曲 20」石井あゆみ ゲッサン少年サンデーコミックス

★★★☆☆