goo blog サービス終了のお知らせ 

映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「銀の匙 15」荒川弘 

2020年03月01日 | コミックス

少年よ、大志を抱け!!

 

 

* * * * * * * * * * * *


大ヒット酪農青春グラフィティ、堂々完結! 
ついに八軒たちがエゾノーを卒業。
それぞれの未来へと歩み出す――
一度は将来を見失い、夢を嫌っていた少年は、
いつしか、自身の目標に向かってひた走るだけでなく、
仲間の背中を押す存在になっていた。
汗と涙と土にまみれた物語、ここに完結!!

* * * * * * * * * * * *


ついに最終巻です。
急に大学を受験することになった八軒は、受験勉強に専念。
先に推薦入学が決まっていた御影が彼を応援します。
そしてとうとう八軒らがエゾノーを卒業。
多くの仲間たち、それぞれの進路が紹介されているのもウレシイですね。
エゾノーの教師が八軒のことを新入生に語る場面があります。

俺の教え子に受験戦争から逃げてきて目的もなくエゾノーに入ったヤツがいるんだ。
入学早々場内で遭難して、女の子に誘われて入った馬術部を嫌々続けて、
でもやめる勇気もなくて。
ピザ作ったこともないのに請け負っちゃってえらい目にあって。
豚に名前つけてかわいがって、食べるときにヘコんで。
バイト先で牛乳ぶちこぼしてヘコんで。
夜中に寮を脱走してバツ当番。
校内で拾った犬を面倒見るハメになって。
人の頼みを断りきれなくてオーバーワーク。
学祭当日にぶっ倒れて参加できず。
インターハイに出たら馬術部史に残るワースト点をたたきだし。
3年の12月末から急に大学受験するって言い出し。
在学中に起業もした。
君たちがこうやって気軽にピザパーティを開けるようにしたのも、そいつ。

これまでの出来事が走馬灯のようによぎります。
まるで我が子の成長を見ているようにウレシイ。
今後のこともずっと見ていたい気持ちでいっぱいです。
そして最後の最後、駒場くんの動きが秘密になっていたのが、ついに明かされます。
なんと、ロシアにいる駒場と八軒。
北海道よりももっと広大無限。
夢が広がるなあ・・・。
荒川弘さま、楽しいストーリーをどうもありがとうございました!!

「銀の匙 15」荒川弘 少年サンデーコミックス
満足度★★★★★

 


「ハトシェプスト 古代エジプト王朝唯一人の女ファラオ」山岸凉子

2020年02月27日 | コミックス

デビュー50周年トークショー収録

 

 

* * * * * * * * * * * *


古代エジプト唯一人の女の王「ハトシェプスト」はいかにして生まれたのか?
その妖しく危険な魅力に惹かれる醜いメヌウには、
全てが正反対の美しい妹がいた(表題作)。
死者を蘇らせる異能の力と引き換えに若さを失っていく女の報われぬ愛を描いた「イシス」。
山岸凉子初のトークショー完全載録の永久保存版。

* * * * * * * * * * * *

山岸凉子さん作品はほとんど読んでいるつもりですが、
この古代エジプトものは未読でしたので、このたび拝見。
しかし文庫サイズのコミックはやはりキビシイ・・・。
字が小さすぎる・・・。
ハズキルーペの購入を本気で考え始めました・・・。

 

さて本巻には、古代エジプト王朝で唯一女性ファラオとなったハトシェプストに関連する2編と、
人の傷を癒やす力を持った「イシス」の3編が収められています。
人を超越した特殊な能力を持ちながら、
しかし自分が本当に欲しいものを手に入れることはできない・・・
そうした人物を描くのに、山岸凉子さんは特に力量を発揮するような気がします。
本作にも、そんな女性が登場。
良き物語です。


ところで実のところ私は本巻、このマンガ本体よりも、
山岸凉子さんのデビュー50周年トークショーの記録が収められていることの方がうれしかった!!
2019年10月6日に山岸氏の生誕地、北海道上砂川町で行われたもの。
幼少の頃の話やデビューから50年の作品を振り返っての話、
ファンなら聞き逃せない話の数々。
ここで、読むことができたのは実にウレシイ!!


蛇足ではありますが、私が山岸作品の仲で一番好きなのは「日出処の天子」。
これはもう日本の少女漫画の最高峰と思っております。
(もっとも、最近のコミックは読んでいないわけだから、あくまでも個人の感想ね)
そういえばこれも、人を超越した能力を持ちながら、
本当に望むものは得られない、と言う話でしたねえ・・・。

「ハトシェプスト 古代エジプト王朝唯一人の女ファラオ」山岸凉子 文春文庫
満足度★★★★☆

 


「レベレーション 5」山岸凉子

2020年01月07日 | コミックス

捕縛されるジャンヌ

 

 

* * * * * * * * * * * *


フランスの王位継承をめぐるイギリスとの百年戦争のただなか。
「フランスへ行け。王を助けよ」との啓示をうけたジャネットことジャンヌ・ダルクは連戦連勝。
王太子の戴冠式をランスで行う。
しかしシャルル7世の命に反して行ったパリ奪還攻撃は失敗。
山賊ペリネ・グレサールにも大敗を喫し、戦いをともにしてきたベルトランまで失ってしまう。
連戦連勝のジャンヌに影が差す中、オルレアンの領主から贈られた深紅のマントを羽織り、
ジャンヌは戦いの道を進む決意を新たにする。

* * * * * * * * * * * *

山岸凉子さんによるジャンヌ・ダルクの物語。
しかしだんだん読むのがつらくなってきます。
当初の、神の啓示を受けてひたすら前進あるのみ、希望に燃えたジャンヌは見ていても楽しかった。
けれども、いつまでも幸運は重なってくれないし、
周囲の思惑は「正義」ではなくて、いかに動けば自分の有利となるか、そんなことばかり。
男社会の中の女性の立場が如実に表れますな。
ただしこの場合の「正義」というのも、完全に彼女から見た一方的な正義のわけですが。
このあたりで彼女はもう引き返せば良かった・・・。
平和な故郷の村へ・・・。


しかし、女の身でありながら常に先頭に立って戦うジャンヌは、
ついにコンピエーニュの戦いにおいて、敵軍に捕縛されてしまいます。
この当時のフランスは、かなり複雑にイギリスと入り乱れた構造になっていて、
フランス人だからといって、必ずしもフランス王を抱く完全なフランス独立を目指しているわけではない、
というあたり、これがジャンヌの立場の微妙さを生んでいるのですね。

 

そしてやがてジャンヌは異端審問にかけられることになりますが、
そこから先は続く・・・ということで。
まあ、続きを待たずとも結果は明らか。
歴史的事実がありますし、そもそも本作の冒頭は
いよいよ処刑される寸前のジャンヌの場面から始まるのですから。
となれば気になるのは、この最期の時にジャンヌが何を思うか、なのです。
これまで神を疑うことなどみじんもなかった彼女が、最期にどう思うのか。
次号を待ちましょう。


「レベレーション5」山岸凉子 講談社モーニングKC
満足度★★★.5

 


「信長協奏曲 19」 石井あゆみ

2020年01月04日 | コミックス

本能寺へのカウントダウン

 

 

* * * * * * * * * * * *

帰蝶は、信長と光秀の顔が同じことを知っていた。
その事実に気づいたサブローとおゆき。
だが家の中に大きな変化はなく、
一方で、時代の中で織田勢は
ますます存在感を増していく・・・。

いよいよ武田攻めの時が迫る…!

羽柴勢の怪しげなうごめきは絶えず、
いよいよ、「本能寺」のその時も迫っていて…

* * * * * * * * * * * *


本作は天正10年(1582年)1月から始まります。
本能寺の変が同年6月なので、いよいよそのときが間近に迫っています。


3月には武田軍を壊滅させ、いよいよ天下統一までもう一息というところ。
そんな中、サブロー信長が明智と語り合うシーン。
相変わらずサブローは「本能寺の変」という歴史上の出来事の名前だけは覚えていて、
しかしその謀反を起こすのは「あいだ」さんだと思い込んでいます。
しかしさすがに身の回りに「あいだ」さんはいない。
もしかして「あ」のつく名前?というところで、
明智は自分も「あ」がつくと言い出すのです。
いやいや、そんなわけはない、とみじんの疑いも挟まないサブロー。


そしてまたあるときには、サブローは
「もう教科書とはちがう歴史を、作っちゃってるのかもしれない」とも言います。
いや、そうだといいのだけれど、実のところサブローがこの時代に来たからこそ、
私たちが教科書で知る「歴史」が作られているわけです。
となれば、やはり本能寺の変は避けられないのか? 
ここまで来て未だにそのなりゆきが想像もつかない・・・、
石井あゆみさん、恐るべし。
ただ、気になるのは秀吉の動向ですね。
始めからチャンスをうかがいながらここまでその本性を隠してきた秀吉。
そして本巻ではその弟、秀長がなおも怪しい動きを見せる。
本能寺の変にはこの二人の思惑が絶対に絡んでくるのだろうなあ・・・。

緊迫した状況の中、少しほっとさせられるのはおゆきちゃんととき丸。
こんなにも思いを寄せて協力してくるとき丸の気持ちになぜ気づかない、おゆきちゃん。
でもこの超天然のニブさがいいんだなあ・・・。
早く先が知りたい、けれどもそれを知るのが怖い気もします。


「信長協奏曲 19」石井あゆみ ゲッサン少年サンデーコミックス
満足度★★★★☆

 


「ポーの一族 ユニコーン」萩尾望都 

2019年08月15日 | コミックス

構成力!!

ポーの一族 ユニコーン (1) (フラワーコミックススペシャル)
萩尾 望都
小学館

* * * * * * * * * *

旧作のラストに直結する新エピソード開幕!

40年ぶりの新作発表で話題となった『ポーの一族 春の夢』の続刊。
旧作のラストエピソード「エディス」で炎にのまれたアランとその後のエドガー
そしてバンパネラ一族の運命が紡がれる衝撃の新エピソードです。

* * * * * * * * * *

40年ぶりに新作が発表された「ポーの一族」。
その2冊めが出ました。
しかし、おどろくではありませんか、この冒頭、2016年。
私、前巻「ポーの一族 春の夢」のブログ記事で、
今「現在」に生きるエドガーを見たい、などと書いていたのですが、
まさに、そのとおりとなりました。


実は40年前、この物語のラストエピソードというのは、当時の「現在」が舞台で、
エドガーとアランが炎に包まれる、というところで終わるものだったのです。
本作はそこから直につながる物語。
この40年間、エドガーはどうしていたのか、あのときどのようにして助かったのか、
その事がわかります。
・・・つまり、あるところでひたすら眠っていた・・・というより
死んでいたと言ったほうがいいのかも。
アランの遺骸を胸に抱きしめたまま・・・。


考えてみたらその40年間というのは、ちょうど私が就職してから退職するまでの期間。
若くハツラツとしていたはずの乙女も、すっかりおばちゃんとなってしまいました。
しかし、エドガーは変わらないのです。
永久を生きるもの・・・。
うーん、実感しますねえ。


さて、でも新シリーズのはじめになぜこのことが語られなかったのか。
「春の夢」は第二次世界大戦下の物語だったのですよね。
しかしそこでファルカが登場し、エドガーが「テレポーション」能力を取得することが、
本作には必要だったわけなのです。
本作に必要な登場人物やシチュエーションを語ることと合わせて。
うーむ。
何という構成力。
さすがとしか言えません。


「現在」に目覚めたエドガーですが、本作で主に語られるのは1958年、
「春の夢」につながるストーリーです。
永久を生きる様々な者たちそれぞれに焦点を合わせれば、
物語はどんどん裾野を広げていく。
この先が楽しみです。
とりあえずアランは復活するのや否や。
それについてはまだまだ先のことになりそうですね。


今年は萩尾望都さんデビュー50周年。
札幌にも「ポーの一族展」来ないかな・・・。

「ポーの一族 ユニコーン」萩尾望都 小学館
満足度★★★★☆


「佐武と市捕物控 江戸暮らしの巻」石ノ森章太郎

2019年07月23日 | コミックス

石ノ森章太郎氏の真骨頂

佐武と市捕物控 江戸暮しの巻 (ちくま文庫)
石ノ森 章太郎
筑摩書房

* * * * * * * * * *

若き下っ引き佐武、盲目で剣の達人の市。
その二人が解決する江戸の難事件。
斬新な筆致と胸を打つドラマ。
マンガ史上に輝く最高傑作シリーズ。
江戸の風物を背景に、人々のこころの闇と生きる哀しさを描いた作品群を
セレクトした文庫オリジナル・アンソロジー。

* * * * * * * * * *

石ノ森章太郎さんの「佐武と市捕物控」は、
1966年~「週刊少年サンデー」、「別冊少年サンデー」に掲載されました。
私が以前読んで知っていたのはこちらの方ですね。
佐武と市のコンビで織りなす江戸の事件解決。
当時ではかなり渋くて、シビレました。
そしてその後、1968年に「ビッグコミック」が創刊され、
「佐武と市捕物控」はそちらへ舞台を移します。
こちらでは画風やテーマを一新し、ぐっと大人向けの物語となりました。
本巻はその「ビッグコミック」掲載の中から、
江戸の風物が丁寧に描かれているものを集めたアンソロジーとなっています。
裸体の女性や首の切断シーンなど描写も激しいですが、
大胆なコマ割りや情景描写、石ノ森章太郎氏が"やってみたかった"ことが
思う存分試されている感じがします。

私が好きだったのは・・・

「菊人形」
毎年美しい菊人形が飾られるご隠居さんの家。
今年はその中でも特に女性の菊人形が素晴らしい。
しかしなんとその人形は、ご隠居の孫娘の屍体を菊で飾り立てたものだった・・・。
ちょっとした猟奇殺人事件。
ご隠居は若くみずみずしい娘をそばに置くことで、
己の老いさらばえていく心や体の慰みと思っていたが、
あまりにも早く娘がその花を散らしていこうとするのが惜しくて殺したという・・・。
でも事の真相は、他にあったのです。
「老い」の心を描く、深~い作品。

「年の関」
大晦日の物語。
大晦日といえば借金取りがこれまでのつけをまとめて取り立てに来るというので、
いろいろな攻防戦があるようで、
市やんは借金取りと顔を合わせないように、
大晦日の夜というのに家に帰らず歩き回って時間を潰しているのです。
これぞ江戸の年の瀬。
そんな中、佐武の方はある事件の行方を追うことに余念がない。
その事件が回想として語られます。
そしてその犯人が、そろそろ家に帰ろうかという市やんとすれ違うのですが、
市やんのことですから、その男の殺気を感じ取ってしまう・・・。
うまいストーリー運びだなあ・・・。
やはりさすが巨匠です!


「佐武と市捕物控 江戸暮らしの巻」石ノ森章太郎 ちくま文庫
満足度★★★★☆


「信長協奏曲18」石井あゆみ

2019年03月02日 | コミックス

「本能寺の変」まで、あと1年…!!

信長協奏曲 (18) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
石井 あゆみ
小学館

* * * * * * * * * *

家康、高天神城を奪い返し
武田討伐まであと一歩!
仇敵・本願寺も降伏し織田家の天下はまさに目前!!
盤石に見える織田軍の唯一の"綻び"、羽柴秀吉に
目を付けた安国寺恵瓊は、毛利家の
指導者・小早川隆景にある思い切った進言をする…!!

それぞれの思惑が錯綜し…
時はついに天正十年へ…!!

* * * * * * * * * *

本能寺の変まであと1年・・・、ということで、ついにカウントダウンが始まりました。
長いサブロー信長の道のり。
そんな中で、お城の皆でお花見をするシーンがあります。
のどかで、華やかで、ほんの少し憂いを秘めてもいる。
そんなシーンが大好きです。
お市ちゃんの三人の娘たちの無邪気で元気なこと。
 
家康の息子(秀忠)に市の三女・お江が嫁ぐことになるのは、まだずいぶん先の話・・・、
そしてそれは、この物語にとくに関係はない・・・、

と、著者には軽くいなされてしまったのですが、私にはとても興味深いところです。
それと家康のお付きで井伊直政が出てくるのも嬉しいところ。
石井あゆみさんもNHKの大河ドラマファンなのだろうなあ・・・。

それにしても本作の流れで行くと、どう考えても信長に反旗を翻すのは秀吉と思えるのですが、
一体今後の流れはどうなってしまうのか。
全然予測が付きません。
あと一年とはいいながら、本作中で「その時」を迎えるのは一体いつになるのやら・・・?
気長に待つことにします。

「信長協奏曲18」石井あゆみ ゲッサン少年サンデーコミックス
満足度★★★.5


「レベレーション4」山岸凉子 

2019年01月22日 | コミックス

神がかりが薄れてゆく・・・

レベレーション(啓示)(4) (モーニング KC)
山岸 凉子
講談社

* * * * * * * * * *


フランスの王位継承をめぐるイギリスとの百年戦争のただなか。
「フランスへ行け。王を助けよ」との啓示をうけたジャネットことジャンヌ・ダルクは
イギリス軍に包囲されたオルレアンの解放。
王太子の戴冠を果たすため、ランスを目指すことを進言する。

* * * * * * * * * *

さて、レベレーション、待望の新刊ではありますが・・・。
ジャンヌはついにオルレアンを開放。
そして、次にランスを目指すことになりますが・・・。


なんだか、次第に登場人物も増えるし、それぞれの思惑が何が何やら分かりづらくなってきます。
おまけに、ジャンヌは当初の何をやっても良い方に転がるという勢いは失せて、
次第に陰りを見せ始める。
こういう流れ、なんだか大河ドラマ「西郷どん」と同じだわー、と思ってしまいました。
まだ無名のうちの主人公のことはさしたる記録がないので、
著者の想像の翼を大きく膨らますことができます。
しかし、その人物が有名になってくると記録も多い。
そうすると物語は史実を追うことが精一杯になってきて、
いかにも登場人物の動きが窮屈になってきてしまうのですね。
「西郷どん」が終盤どんどんつまらなくなってきたのはそんなわけだったと思うし、
本作もどうも同じ匂いがする・・・。


人々にあれだけ熱狂的に祭り上げながら、最後は反逆者扱いで悲惨な末路・・・
というのも同じですもんねえ・・・。


ジャンヌは確かに「ランス」を目指せという神の声を聞いた。
でもその後、神の声が聞こえなくなってしまうのです。
だから本当はそこまでにしておけばよかったのかも・・・。
でも彼女は次にパリを目指すことにしてしまった・・・。
しかし、男どもがどうにもこうにものらりくらりと、戦いたくない様子・・・。
一人血気にはやるのはジャンヌのみって、
通常の「戦争」に対しての男女の位置が逆転しているように思える。
不思議です。
もしかするとこの時代、死傷者を増やさないために
あえてのらりくらりとするのが通常の「戦争」だったのでは? 
その常識を打ち破り、怒涛の攻めをするジャンヌが勝ったのはある意味当然で。
ま、そのようなことを考えるとちょっと面白くはありますが・・・。


神がかりが次第にとけて、ただのヒトになっていくジャンヌを
この先見なければならないのかと思うと辛いです・・・。

「レベレーション4」山岸凉子 講談社モーニングKC
満足度★★.5

 


「海街diary9 行ってくる」吉田秋生

2018年12月21日 | コミックス

おなごり惜しい、完結編

海街diary 9 行ってくる (フラワーコミックス)
吉田 秋生
小学館

* * * * * * * * * *


大ヒット☆鎌倉での四姉妹物語…ついに完結

春夏秋冬、いつもこの街にいた。いつも一緒だった。
そして―――すず、旅立ちの時…

浜田は千佳(ちか)と入籍し、エベレスト登山のために旅立った。
幸(さち)と佳乃(よしの)もそれぞれの恋が進展。
すずは中学生最後の夏が終わろうとしていることを実感する…。

すずが中学1年の夏、蝉時雨のやむ頃から始まった家族の物語、ついに完結!
すず、そして弟・和樹の"その後"を描いた番外編「通り雨のあとに」も収録。

* * * * * * * * * *

2006年から12年にわたって連載されていた本作がついに完結。
もう12年になるんですか・・・。
あの、涙が溢れて仕方なかった第1巻の感動は今も心にあります。
物語の中では、すずが中学1年のとき、鎌倉の異母妹である3姉妹と共に暮らし始めるようになってから
中学卒業まで、2年半程度の出来事なのですが。
すずだけでなく他の3人の恋模様と生き方が丁寧に描かれていて、
これまでの9巻、どれをとっても見どころ満載、
私にとっては最も大切なシリーズの一つとなりました。
この度も結局、全巻また読み直してしまった・・・!


本巻は最後の山場、チカちゃんの出産などもあって、実に納得の最終巻です。
そしておまけに、更にこの約10年後のことが描かれる番外編「通り雨のあとに」があるのも嬉しい!! 
ここでなんとチカちゃんの子供の名前が分かる仕掛けです。
本編ではチカちゃんが「チョモランマ」のチョモ?なんて言っていたのですが、
いやいや、いくらなんでもそれはない。
チョモではなく「ランマ」でした。
走馬と書いてランマ。
なるほど~。
大人になったすずも登場します。
間もなく結婚するということで、もちろん相手は、派手な傘が苦手のあの彼ですよね。
10年後とすればすずは25歳ということで、それでも早すぎるくらいですが。
私の心残りはサチ姉の後輩ナース「アライさん」が最後まで顔を表さなかったこと。
せめて最後の最後に、出てきてほしかった・・・。


もう続きはないのかと思うと、淋しくてたまらないのですが、
すずも新たな道を歩み始めたところですし・・・。
祝福してあげなければ・・・。
でもきっとまた、番外編で4姉妹のその後を垣間見る機会もあるのでは・・・?と期待しています。


「海街diary9 行ってくる」吉田秋生 小学館フラワーズコミックス
満足度★★★★★


「信長協奏曲 17」石井あゆみ

2018年06月30日 | コミックス

家臣に疑いの目を向ければ、結局自分に帰ってくる

信長協奏曲 17 (17) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
石井 あゆみ
小学館

* * * * * * * * * *


毛利方への内通を疑われた
秀吉の奮迅たる活躍で、進む中国方面攻め!!
また一歩一歩と天下統一へと近づくサブローに、
怪しい刺客が………!?
更に、サブローが尾張の海へ馬駆けへと
出掛けている最中に、安土城に残った
ミッチーは不意に帰蝶と出会い…!?

* * * * * * * * * *

信長協奏曲、新刊です。
本巻の表紙はミッチーこと明智光秀。
表紙初登場というのが意外ですが、
こうしてみるとサブローとうり二つとはいえ、はっきり雰囲気が違いますね。
本巻の目玉は、この光秀とサブロー信長の妻・帰蝶が二人きりで会うシーン。
信長に会いに来た光秀ですが、信長が留守で、
たまたま帰蝶と対面してしまったのです。
何しろ、帰蝶は本来この光秀の妻であったわけで・・・。
サブローと仲睦まじくイキイキ暮らしてしている帰蝶には
光秀も思うところがあるはず。
そして帰蝶も夫とそっくりな光秀の正体に実は気づいている。
「わたくしが嫁いだ織田信長様は、そなたなのか?」
と直截な質問に光秀は答えます。
「それがしは何も存じませぬ。あなたさまのことを、なにも存じませぬ。
そしてあなたさまも、それがしのことを何もーーーご存知ではありませぬ・・・」
互いに夫婦であった期間はあったけれど、
心を通わしたこともなく互いになにも知らない名前だけの夫婦だった。
と、暗に事実を認め合いながらもそれについては伏せたまま、現在の気持ちを語り合う。
大人の対応ですなあ・・・。
やはり光秀にはサブローに対する嫉妬とか対抗心はないように思えます。
とすれば本能寺はやはり秀吉の画策なのか・・・?
気が揉めることでございます。


信長は秀吉について、こんなふうに言う。
「秀吉くんに限らず、俺が家臣たちに疑いの目を向ければ、
多分そのまま俺にはね返ってくるんだよ。
・・・上にいる人間は、どんな状況になったとしても、
堂々と構えてるしかないんだと思うんだよね、結局。」


サブローは、かる~いヤツのように見えて、芯がどっしりしているというか、
まあ、だからこそここまで生き抜いてこられたわけなのですが。
それから本巻で初登場なのが石川五右衛門。
石川五右衛門って、この時代の人だったんですね!! 
私達の知っているゴエモンとはイメージが違うけれど、そこがまた面白い。
そして、弥助さんが帰ってきた!!
よかった~。
信長のもとにいるうちは良いけれど、
外の世界ではさぞ生きにくかろうと思ったのですよね・・・。
ひと安心。
ただし結局このことが命取り・・・だったりはしないですよね・・・?!

「信長協奏曲 17」石井あゆみ ゲッサン少年サンデーコミックス
満足度★★★★☆


「ダンジョン飯 6」九井諒子

2018年05月21日 | コミックス

個人的に読了

ダンジョン飯 6巻 (ハルタコミックス)
九井 諒子
KADOKAWA

* * * * * * * * * *


信じろ! 同じ釜のメシを食った仲間を!!

狂乱の魔術師を退けたライオス達の前に、
かつての仲間・シュローが現れる。
凄腕剣士の合流で、ファリンの救出も楽勝…!と思いきや!?

一緒に食事をすれば仲直り?
雪と氷の地下6階層で問われる、パーティーの絆。
新たな仲間が加わる第6巻!

* * * * * * * * * *


6巻を買うのが少し億劫でした。
しかしせっかくここまで読んだのだから・・・ということで、購入しましたがやはり・・・。


新しい登場人物が、一度に出すぎです。
私にはついていけない。
以前までのように、ダンジョンで新たな魔物と出会い、
それを調理して、
仲が良いのか悪いのかよくわからないパーティーのユーモラスな友情を交えながら進んでいく・・・
というパターンを続けてほしかった。


新しい展開に深みがあって良いと思う方ももちろんいらっしゃるでしょうけれど、
私はもう満腹状態。
これ以上は余計と思えてしまうので、今後は読まないと思います・・・。
ファリンの無事を祈りつつ・・・・。
無理に連載を伸ばさず、ファリンが助かったところで終了すべきだったのではないかなあ・・・・。

「ダンジョン飯 6」九井諒子 ハルタコミックス
満足度★★☆☆☆


「いとしのムーコ」みずしな孝之

2018年03月14日 | コミックス

こまつさん命のムーコ

いとしのムーコ(12) (イブニングKC)
みずしな 孝之
講談社

* * * * * * * * * *

じゃ~ん、またまた出てきました。ぴょこぴょこコンビ。
最近出番が少ないから、マンガの時も出てくることにしたらしいよ~。
なるほど・・・、よろしくお願いしま~す。


さて、「いとしのムーコ」。
現在12巻まで発売中で、まだ9巻までしか読んでいないけど、これはハマるねえ。
お友達が貸してくれたのだけれど、これは地味~に傑作だと思う。
表紙絵で分かる通り、ムーコは柴犬。
このカットだけだと特別カワイイってほどでもないんだけど、
読んでみれば、犬を飼ったことのある人ならわかる、ワンちゃんのあるあるで満ちていて、
そうしてみると、ムーコがと~っても可愛らしく見えてくるんだなあ。
もともと柴犬って、そういう感じだよね。
素朴だけど、かわい~い!!


ムーコは、秋田県でガラス工房を営んでいるこまつさんと暮らしています。
月刊誌連載なので、月々季節が進んでいって、
特別大きな事件は起こらないけれど、人のつながりが少しずつ広がっていって、
ごくゆる~いストーリーがあるんだね。
ムーコはおはなツヤツヤなのが自慢。
こまつさんが好きで好きで、いつかこまつさんも犬になるのだと信じている。
だからこのコミックの表紙絵のムーコ、
おはなだけつやつやのビニールコーティングなんだよね!
ムーコは必死でこまつさんの言うことを聞こうとするのだけれど、
それがなかなかうまくいかないのだよね。
ここでじっとしてろと言われて
「もちろん、てつの女ムーコは鉄のようにうごきませんよー」
と張り切るのだけど、じきに気が散ってあっちに行ってしまったり、寝てしまったり。
庭の池に入ってはいけないことになっているのだけれど、
つい落っこちたり、暑いときにはフラフラと入ってしまったり。
そうすると、お口をぎゅっとして叱られるのがかわいそうだけど、カワイイ!
そうして、いつもやってくるこまつさんの友人"うしこう"がまた、傑作なんだー。
巨漢で髭面、サングラス。
いかにも人相は悪いのだけど、いつも何かしらお土産を持ってきてくれたり、ムーコと遊んでくれたり、
気持ちは細やか。
そんでまた、女性に対してはこの上なく純情。
本作のもう一つのテーマがこのうしこうの恋心でもあるわけね。


それにしても本作の最大の驚きは、この2人、もと高校球児で、高校生のうしこうは美少年なんですよ!!
私は我が目を疑って、何度も読み直してしまった・・・。
この少年が一体何でこんな風に・・・?
いやいや何でもなにも、野球をやめて運動しなくなっても変わらず大食いしてたのと、
髪を染めてたから髪がいたんでハゲたらしい・・・。
意外と自分に構わない性格・・・。
一方こまつさんは、ちょっとしゅっとしてるけど、意外と人の気持ちが読めない。
ムーコの気持ちが読めないのは仕方ないかと思っていたけど、
人の気持ちも読めなかったのね・・・。
基本この2人と1匹のストーリーが、れなちゃんという女の子やそのお父さん、
たまたま工房を訪れたシノハラさん、バイトのたまき君・・・と
人の輪が次第に広がって行くのもいいよね。


こまつさんが着てるTシャツも楽しみの一つです!
一体どんだけ持っているのやら・・・。
あー、ガラス工房は暑いから、一日に何回も着替えるんだね、きっと・・・。


ところで、ムーコのモデルになったワンコは実在しているんだね。
秋田のガラス工房ヴェトロにいて、ツイッターやインスタグラムで、実際のムーコを見ることができたよ。
かわい~い!!

「いとしのムーコ」みずしな孝之 イブニングKC
現在12巻まで
満足度★★★★☆


「レベレーション 啓示 3」山岸凉子

2018年01月21日 | コミックス
実戦

レベレーション(啓示)(3) (モーニング KC)
山岸 凉子
講談社


* * * * * * * * * *

フランスの王位継承をめぐるイギリスとの百年戦争のただなか。
「フランスへ行け。王を助けよ」との啓示をうけたジャネットことジャンヌ・ダルクは
王太子シャルルに対面し兵を得る。
神の声を聞く娘、ついにオルレアンへ!


* * * * * * * * * *

「レベレーション」の第3巻。
いよいよジャンヌがオルレアンへ向かいます。
ジャンヌ17歳。
バッサリと髪を切って、騎士の姿になったジャンヌはいかにも颯爽として、
まるで宝塚のスターのよう。
カッコイイ!!


オルレアンは城壁に囲まれた都市ですが、
今や四方をイギリス軍に囲まれ、にっちもさっちも行かなくなっているのです。
だからそこへ近づくことがまず危険なのですが・・・。
彼女の気持ちははやり、自ら先頭に立って戦おうとする。
ジャンヌの部下たちはさすがにジャンヌはお飾りと考えており、
軍議から彼女を外したりもするのですが、ジャンヌは納得しない。


ついに闘いの火蓋が落とされた時、
ジャンヌの存在が、兵たちを勇気づけるのです。
「主の旗のもと戦え」彼女の雄叫びは、
自分たちには神が付いているという思いを呼び起こし、
兵たちは、通常では考えられない力を発揮し始めるのです。


ある戦闘では、ついにジャネットは弓矢に射られてしまう。
「あり得ない、矢が当たるなんて・・・」
と、一瞬茫然自失するジャンヌ。
けれど神に守られていると思い込むジャンヌは、
その強靭な精神力で痛みを打ち負かし、
自ら矢を引き抜き、立ち上がって旗を振りさえもする。
そのことがますます、兵の士気を盛り上げる。
そしてまたそのことがイギリス軍の士気を限りなく低下させてしまうわけです。


つまり本作における著者の姿勢は、
ジェンヌは確かに“神の声”を聞く。
(それが事実か、それとも彼女の思い込みかは語られません。)
そしてジャンヌは強い意志でその言葉に従いますが、
彼女自身が奇跡を行ったりはしない。
あくまでも、彼女の周りで起きる出来事は論理的に説明がつくこと。
けれど、周りの人々が勝手にそれを奇跡と思いこんでしまう
ということのようです。


「神に守られている」という異常心理と、少しの偶然も重なって、
勝利するジャンヌの軍隊。
しかしこれは、ジャンヌに少しでも失敗があれば、
信用をなくし、軍の結束も何も一瞬にして瓦解するであろうという・・・
ということを予測させます。
イギリス軍はさっそくにもジャンヌを「魔女」呼ばわりしている。
今頂点に立つジャンヌから、早くも先行きの暗雲が透けて見えます。


どのようにして神の言葉が彼女に届かなくなってしまうのか・・・、
そしてどのように彼女の言葉が人々に届かなくなるのか・・・
待たれる次巻。

「レベレーション 啓示 3」山岸凉子 講談社モーニングKC
満足度★★★.5

「信長協奏曲16」石井あゆみ

2018年01月15日 | コミックス
本能寺の変で死ぬつもりなのか・・・?

信長協奏曲 16 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
石井 あゆみ
小学館


* * * * * * * * * *

今は亡き竹中半兵衛が突き止めた「秀吉の真実」は
ついに、サブローの耳へと入る。
早速秀吉を呼び出すサブローに、織田家の主従関係崩壊の危機!?
一方で織田家優勢に傾く中国攻めの戦況に、
毛利方にもついに動きが…!


* * * * * * * * * *

いよいよ、「その時」が迫ってきた感のある、本巻。
初めから、密かに信長への敵意をむき出しにしていた秀吉が、
いよいよ本領を発揮し始めています。
・・・それにしてもこの展開だと、
本能寺で信長を倒すのはどう見ても秀吉ということになってしまう。
・・・ううむ、いったいどんな展開で正しい歴史に結びつくのか、
いよいよ著者の腕の見せ所ですね。


サブロー信長は、おぼろげながら「本能寺の変」で自分が死ぬことを知っています。
しかし、意外にも彼の心境は・・・。
彼は自ら京都の宿舎として「本能寺」を利用することを提案。
事情を知っている明智がいいます。

「本能寺の変で死ぬつもりなのか・・・?」

「いやー、俺だって死にたかないのよ? 
でもさー、本能寺の変で信長は死んどかないと、歴史変わっちゃうでしょ? 
歴史のことよくわかんないけどさ、
一応俺なりには今まで信長の歴史に沿って天下目指して生きてきたつもりなのよ。
なのに本能寺だけちゃっかり避けるっていうのは
なんか申しわけないっていうか・・・
信長の人生がそこで終わるなら、
それに従うべきじゃないかなって。」

ひゃー、サブローはここまで達観した大人だったんですねえ・・・、
というか、もともとこんな風に冷めていたところもあるのか。
けれど、いやしくも「信長」として多くの人を束ね、
多くの戦を勝ち抜いてきたこれまでの経験が、
彼をここまで育てたということも確かです。
そして、同じく未来からきて、この時代で散っていった人物を
見てもいるわけですし・・・。


いいよね~、サブロー信長。
「女城主直虎」に出てきた信長は、ものすご~く怖かったけど・・・。
そうそう、「直虎」つながりで本巻には井伊万千代くん登場!! 
安土城完成のお祝いを持ってきた徳川家のお使い。
著者のサービスでしょうね。
ウレシイ!
万千代くんはサブロー信長と妙に気が合っているようでした。


・・・ということで、目が離せない先行き。
待たれる次巻!!


「信長協奏曲16」石井あゆみ ゲッサン少年サンデーコミックス
満足度★★★★☆


「差配さん」塩川桐子

2017年11月19日 | コミックス
江戸の暮らしと猫と

差配さん
塩川桐子
リイド社


* * * * * * * * * *

江戸時代にもさまざまな悩みごとがありました。
ですが江戸庶民と猫の暮らしを通して見えてくるのは
人や動物たちの「あたたかさ」だったのです。
江戸の市井に生きるものたちが抱える悩みを
機転を利かせて解決するのは何を隠そう、この「差配さん」です!
(注:人ではなくて、猫なんです)


* * * * * * * * * *

江戸時代を舞台とするコミック。
浮世絵調の登場人物に、何やら杉浦日向子さんを思わせますが・・・。


まずは、第一話をひも解きます。

ある女が「差配さん」と呼ばれる初老男性のところに男の子を一人連れてきます。
新しい男と暮らすのに都合がわるいので、
子どもを預かってほしいと言ったきり、女は退場。
坊やは母親が去るとひとしきり泣くのですが、差配さんは知らんぷり。

「涙なんざ まあ そういつまでも出るもんじゃねえから」

と、泣くに任せているのです。
そして坊がようやく泣き止むと、馴染みらしい店へ行ってごはんを食べさせる。
それから、人とうまく付き合うコツなどを坊に言い聞かせつつ、
大声で夫婦喧嘩をしている家の前にやってきます。

さて、そこで場面は切り替わって後日譚。
あの夫婦ゲンカをしていたおかみさんが近所のおかみさんと立ち話。

「この間、夫婦喧嘩をしていたら、大きな猫が子猫を連れてきて、置いていってしまった。
 仕方ないから子猫を飼うことにしたけれど、
 なんだかイライラしなくなって、喧嘩もしなくなった」

と彼女は言う。

「それはこの辺で差配さんと言われている猫だよ。」

このあたりあちこちでおまんまをもらって大事にされている猫
というのがその「差配さん」なのでした。


いきなり子どもを置いていってしまう母親、
という話に驚いたわけですが、つまりは猫の話だったわけですね。
猫が人間の姿で登場する「綿の国星」系のストーリーでした。


この第一話で、ギュッと心をつかまれるわけですが、
その後もじんわりと心にしみる人情噺が続きます。
個性ある登場人物たちも、猫だったり人だったり、時には幽霊や他の動物だったりもします。
いつまでも読んでいたい、一冊。
続きが出るといいな。

「差配さん」塩川桐子 リイド社
満足度★★★★★