人の世の苦さ切なさ
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エドガーは目覚めたアランを連れてアーサーの館を離れ、
アーサーはますます病重く死を迎えようとしていた。
そんなおり父と再婚相手との娘・セスが現れアーサーの看病をすることに・・・?
アーサーの過去、パトリシアとの秘めた初恋の行方、そして目覚めたアラン。
全てが絡み合い運命が1つの結末をつむぐ。
「秘密の花園」の章、完結巻。
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ポーの一族、「秘密の花園」の続編です。
アーサーの館に身を寄せているエドガー。
アランは相変わらず庭の片隅にある小屋で眠り続けています。
エドガーは秘密を知ってしまった者を「狩ら」なければならなくなり、
バンパイアとして生きることは、
時には非情でなければならない苦しさを滲ませます。
彼は結局人間が好きなんですね・・・。
だからポーの村で過ごすよりも人間界を旅していたいのでしょう。
さて本作、アーサーとパトリシアの恋模様がとても切ない。
若き日のすれ違いが、後々までも2人を苦しめていたのです。
でも、それは結局アーサーのほんの一時の心ない行動が起因したことだった・・・。
人生の苦さ、切なさ・・・。
こんなことを、ロマンを持ちつつも的確に、著者は描き出します。
そしてちょっぴりのユーモアも忘れない。
巻末、ひたすら実直にアーサーのことを案じ続けていた使用人マルコの
その後が描かれていたのには、ひたすら涙・涙・・・。
定められた人生を歩む者と、常世を生きる者は、
時の流れの中でほんのひとときすれ違うしかないのですね。
さていつも思うけれど、この物語においてアランは、
常にやっかいごとの元凶のような気がします。
いっそずっと眠り続けていて欲しい・・・(?)
「ポーの一族 秘密の花園2」萩尾望都 フラワーコミックススペシャル
満足度★★★★★
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