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『太陽』(アレクサンドル・ソクーロフ監督)

2006年08月08日 02時29分13秒 | 映画雑感
 昨日に続いて、アレクサンドル・ソクーロフ監督の映画です。
 昭和天皇ヒロヒトを「一人の人間」として描く野心作です。『モレク神』でヒトラーを「一人の人間」として描き、未見ですが『牡牛座』ではレーニンを「一人の人間」として描いてきました。戦争責任や、戦後を考えるソクーロフの政治的な映画です。

 天皇制については、ぼくは詳しくないので、なんとも言えません。そちらに興味がある方は、宮台真司さんのところなどが詳しく論じておられます。

 映画では、思わず笑ってしまうようなしぐさをする天皇が描かれています。
 生物学者とそての天皇も描かれていて、自分の体が「ただの人間」であることをどこまでも認識していたはずで、そのあたりも綿密に描かれます。さらには、マレーネ・ディートリッヒやチャップリンといった、ヒトラーを攻撃した人たちのブロマイドを見ています。そのあとで、米軍の兵士に「チャップリンに似てる」といわれておどけたりするシーンもあります。
 そうした瞬間瞬間に、昭和天皇は国のことを考え、どうやってこの戦争の責任を帰着させるかを考え抜いたはずであることが、痛いほど伝わってくるんですよね。
 天皇を「一人の人間」として描くこと自体が「不敬」にあたるとして、日本での上映は不可能だといわれましたが、意外と早く公開をされました。
 ともかく日本人なら、一度は見ておくべき映画だと思います。そのうえで、天皇制について、思索をめぐらしたいと思います。
 

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