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『トカゲ女』(マノップ・ウドムデート監督)

2006年06月17日 02時06分06秒 | 映画雑感
 ホラー映画なんだけど、怖いかっていわれると「別に怖くはない」、面白いかっていわれると「別にたいして面白くもない」、じゃあ嫌いなのっていわれる「いや、結構すきなんだな、これが」って答えちゃう変な映画です。

 この映画で一番怖いのは、ホームページです(きっぱり)。

 でもね、なんかハリウッドみたいにすべてが企業化されて、大金をつぎ込んで絶対に売れるウェルメイドな映画を量産するところなんかとは違って、シーンのひとつひとつが手作りで、ひとつひとつがしょぼくて、ひとつひとつが愛されてるんだよね。

 今年は『ブロークバック・マウンテン』『レント』『嫌われ松子の一生』と傑作が目白押しなんだけど、そういう「よくできた」映画ばかり見ていると、どうも「このごろ映画を見ていないな」と思ってしまう自分がいることにも気付く。

 学生だか初心者だかみたいな連中が、よってたかって好き勝手に作ってしまいたい。だけど、どうやったらいいのか分からない。昔の名作で好きなものを出し合って、「あの映画でこんなシーンあったよね」「それ使えるかも」「でも同じことやっちゃまずいんじゃない?」「う~ん…でも、どうすればいいんだろうねえ?」ってなことで、アイデアは出ずじまい。でも、みんなが集まれる時間と使えるお金は限られているから、撮影しちゃわなきゃいけない。「なんか撮れちゃった」っていう映像がテンコ盛りになる。どっかで見たような、見てないような、でもいずれにしろしょぼくなってねえ?っていうほのぼのホラームービーなのである。しかも、話のスジがぜんぜんつながらない。「なんか撮ってるうちに、話が変な方向にいっちゃったけど、最初の頃に撮影したシーンどーしよ?」 「どーしよったって使わないわけにもいかないだろ。」「じゃ、まあ最初は台本どおりに始めますか(ニコリ)」実にタイ人らしいマイペンライな精神である。
 こういう映画は、ぼくは結構たのしんじゃう。ティム・バートンだって史上最悪の映画監督といわれている『エド・ウッド』を題材に映画化してるだろ。なんのアイデアもない、才能には恵まれない、でも映画に対する愛だけは人一倍っていう監督の伝記映画だ。その伝記映画があまりによくできすぎていることが、不満だったりするほどの映画だ。

 ホラーに恐怖を求める人、映画にウェルメイドなエンターテイメントを求める人にはまったくお勧めできないが、こういう映画が世界に存在しうることが映画を楽しくするんだよね。

 でもさ、トッケイヤモリってバリなんかでは縁起物なんだけど、タイあたりでは忌まわしい生き物なんだろうかねえ? 確かにすごい色彩感覚のヤモリなので、なんか意味づけしたくなる気持ちはわかるよな。

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2 コメント

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Unknown (くまぞー)
2006-06-18 01:37:27
話は最初っから脱線しますが、

おすぎって、

映画の話をしているととても面白く、

その巧みな話術以上に、

自分がまったく興味がない映画でも、

見たい気にさせる、その気にさせるという意味で、

好きな映画に対する情熱には、

とても尊敬しています。



トカゲ女?タイの映画?

怖くないホラー?

面白そうじゃないですか。

ダヴィンチコードより見たいかも♪
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きっと (玉野)
2006-06-20 02:19:09
ダヴィンチコードより楽しめると思いますよ。

B級ってものの醍醐味です。
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