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「猥褻」からの解放

2008年02月21日 04時33分44秒 | セクシュアリティと社会ニュース
 最高裁判所で、ロバート・メイプルソープの写真集が「猥褻物」ではないという判決が出ました。

 この裁判は、最高裁にまで行くくらいですから、ずいぶん長い間行われていて、原告の浅井隆さんもずいぶんなご苦労だったと思います。浅井さんはアップリンクの主宰で、ゲイ・カルチャーの普及に甚大なる貢献をしてくださった方です。デレク・ジャーマンのような実験的な映画がちゃんと日本に紹介されたのも、彼のおかげです。

 さて、この裁判は、最高裁という場でガチンコで「芸術とは何か? わいせつとは何か?」について議論をしてしまったということですので、たいへんなことです。
 いままでは、とにもかくにもある一定基準を設けて、それに抵触するか否かが争われたわけです。その基準が「性器が露出しない」とか「ヘアは解禁にしよう」とかいうわけで、少しずつ縮小解釈をされてきていたわけです。
 メイプルソープの写真は、ゲイだのSMだのが当たり前に扱われていて、そういう基準を持ってくると間違いなく「猥褻」のほうに入ってしまう。性器も丸出しだったりするし、鞭をお尻につっこんでいたりもしますので、どうがんばっても言い逃れはできません。
 しかし、それがメイプルソープの写真では、なるほど確かにエロくはない。なにかしら儀式を行っているかのような粛々とした感じを受けます。写真批評家などの評価もものすごく高い。
 そういうなかで誰にでも分かりやすい線引きをすることは難しいのですが、世界的に芸術と認められているものを、芸術とするのか猥褻とするのかというので議論が起こったわけですね。
 その結果が、猥褻には当たらないというものでした。

 今回の件はそれでめでたく一件落着です。

 しかし、「えらい評論家をはじめ多くの人たちが芸術と認めているものは、わいせつではない」というようなことになると、単純な法適用ではなくなり、たとえば税関職員や映画の検閲などの実務はどうなるんだろう?と心配になります。いや本当は役人がそれで苦労しても知ったことではないのですが。たとえば映倫で高い芸術性の認められる映画については、性器の露出も許容しようなんてことになったらたいへんです。いままでは事務的に性器が出ていたらダメだったわけで、誰にでも分かりやすい基準だったわけですが、「高い芸術性」なんてものがなんなのかにわかには分らない。そこでよく考えても分らない。

 これから、「高い芸術性」をもっているならば、勃起したちんこでも映画で見られたりするような時代がくるんでしょうか? そうなると面白いのにな~。


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2 コメント

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芸術性云々ではなく (Kazuccine)
2008-02-21 12:04:34
意味のない規制はやめるべきだと思いますね。
何がどう害があるのかわかりかねますし。
ただ、ポルノもモザイクなくなっちゃうとしたら
何だか淋しいなっていう気もします。
何かモザイクある方がいやらしいですね。笑
初めてコメント残させていただきました。失礼致します。
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そうそう (玉野真路)
2008-02-21 12:39:14
初コメントありがとうございます。

この間、『ラスト、コーション』と言う映画を見たんですよ。トニー・レオンのいやらしい腰使いを堪能したのですが、あれきっと前張りありだよね? だとするとぼかしなしの前張りが見えるよりは、ぼかしのほうがよほどよいわけでして、エロく見せるためにぼかしっていいのかもしれないなと思いました。

かえって丸見えの場合にはあまりね。ハッテン場で見すぎていて、慣れっこなせいかしら?

また、コメントくださいね。
よろしくです!!
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