MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『北の桜守』

2018-04-04 00:42:51 | goo映画レビュー

原題:『北の桜守』
監督:滝田洋二郎
脚本:那須真知子
撮影:浜田毅
出演:吉永小百合/堺雅人/篠原涼子/岸部一徳/高島礼子/永島敏行/阿部寛/佐藤浩市
2018年/日本

桜に対するこだわりが足りない桜守について

 どうも作品冒頭の桜を家族で愛でるシーンからラストのオチに至るまでの主人公の江蓮てつの桜に対する強い想いが上手く伝わってこないように感じる。もちろん例えば、記憶がぼやけてくるようになった江蓮てつが行方不明になり、息子の江蓮修二郎と妻の真理が探し出した場所が公園で、割れて中がむき出しになっていた幹を雨の中で紙で補修している母親がいたのであるが、その幹が桜である必要はなく、「桜守」に至るまでの動機が弱いと思うのである。
 さらに気になるのがシーンに挟まれる舞台である。何故舞台のシーンを挿入しなければならないのか勘案するならば、製作予算の都合以外として、吉永小百合が演じた主人公の夫の江蓮徳次郎を阿部寛が演じることの違和感を解消させる目論みがあったと思う。1971年に64歳で行方不明になった江蓮てつは1945年には38歳であり、徳次郎の年齢は分からないが阿部寛は53歳で、昭和20年の53歳にしては子供が幼過ぎるなどそれぞれの年齢を辿り出すと色々とややこしくなるのだが、舞台上ならばそのようなことは問われなくなるのではある。
 本作を観ても吉永小百合が何故那須真知子を脚本家として贔屓にしているのかよく分からない。


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