MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『彼女がその名を知らない鳥たち』

2018-04-23 00:13:53 | goo映画レビュー

原題:『彼女がその名を知らない鳥たち』
監督:白石和彌
脚本:浅野妙子
撮影:灰原隆裕
出演:蒼井優/阿部サダヲ/松坂桃李/村川絵梨/赤堀雅秋/赤澤ムック/中嶋しゅう/竹野内豊
2017年/日本

本物の「クソ野郎と美しき世界」について

 ミステリーという性格上、詳細には触れられないが、主人公の北原十和子の「同居人」である佐野陣治を阿部サダヲに、「愛人」の黒崎俊一を竹野内豊、水島真を松坂桃李に演じさせるというキャスティングが絶妙だと思う。
 どうしても「イケメン」に目が行ってしまう十和子は黒崎と別れてから5年目にしてデパートに勤務している水島と知り合うのであるが、ピロートークで水島が披露した「タクラマカン(タッキリマカン)砂漠」の物語は、近所の書店でたまたま立ち読みしただけの急ごしらえの情報で、プレゼントされた腕時計が中国製の三千円のものであることを偶然知ってから、水島の愛に疑問を抱くようになる。
 一方で佐野陣治は50歳くらいの冴えない現場作業員で北原十和子は15歳年下だから35歳くらいであろうが、2人はあくまでも「同居人」であり、だから体の関係はなく、陣治は十和子の自慰の手伝いはしても抱くことはないのであるが故に、ラストで陣治の十和子に対する愛の深さを思い知らされるのである。
 監督の白石和彌と同時に脚本の浅野妙子の最高作だと思う。


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