心霊現象、超常現象といえば、スプーン曲げ以来オカルトとして半ば信用できないものと思われてきた。何かトリックが隠されているのだと思っている方も多いだろう。ユリ・ゲラーのスプーン曲げによって超常現象は脚光を浴びたが、そのメカニズムがわからないためいかさまとして葬り去られてしまった。そして今も超常現象、心霊現象は、社会において認知されていない。
心霊科学・超常現象の研究は、100年以上前にさかのぼる。心霊科学が脚光を浴びるきっかけとなったのは、1848年のフォックス姉妹によるハイズビル事件(ニューヨーク郊外の民家で起こったポルターガイスト現象)であった。それ以降、霊媒を通した霊との接触や心霊現象が、西洋では広く受容されてゆく。中でもイギリスでは盛んで、約130年前に心霊現象研究協会(SPR = the Society for Psychical Research)が設立された。イギリス首相やノーベル賞物理学者が11人も在籍。ユング、フロイト、キュリー夫人も在籍していたという。心霊研究としては、『ホワイトイーグル』(初刊1937年)、『シルバーバーチの霊訓』(初刊1938年)などが交信記録として有名である。20世紀以降には、霊媒による心霊治療も盛んとなる。ウィックランド夫妻(精神病治療、除霊)やエドガー・ケイシー(予言、心霊療法)、ブラジルのドクター・フリッツ(麻酔をせずに苦痛の無い外科手術を行う)などがよく知られている。
日本でも1923年大本教を離れた浅野和三郎氏によって「心霊科学研究会」が創立され、研究がつづけられている。
こうした状況の中で、NHKテレビがNHKスペシャルとして2014年3月22日「超常現象ー科学者たちの挑戦」という特集を放送したのだ。よくこのような番組をNHKが放送したものだと感心した。番組は、今年1月BSプレミアムで放送されたものをまとめたものである。
番組の紹介によると、心霊現象、生まれ変わり、テレパシー・・・。時に世間を騒がす、いわゆる“超常現象”の正体は何なのか?いま、この命題に最新科学で挑もうという世界的な潮流が巻き起こっている。先端を極める科学者たちは、「説明不能な超常現象」に新たな科学の発展を予感しているのだ。“超常現象”への挑戦を見つめ、科学の本質に迫る知的エンターテイメントであると紹介している。
番組の中では、超常現象のいくつかについて、科学的探究の成果が報告されている。科学的探究の成果を知ると、もはやいかさまとかトリックとかいうことは出来ないところまで進んでいる。超常現象を研究する心霊科学は、ノーベル賞受賞者10人をも含む形で続けられており、もはや異端の研究とはいえないだろう。
番組で取り上げていた超常現象のいくつかの科学的説明を次の二つのブログを参考にしながらまとめてみる。
http://hashigozakura.wordpress.com/2014/03/21/%E8%B6%85%E5%B8%B8%E7%8F%BE%E8%B1%A1-%E7%A7%91%E5%AD%A6%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E6%8C%91%E6%88%A6_nhk%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB_3%E6%9C%8822%E5%A4%9C9%E6%99%82/
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11752967874.html
①幽霊現象(ポルターガイスト現象)
世界で最も幽霊に憑りつかれた場所といわれるマーガム城で、幽霊現象を解明する科学調査が行われた。風の動きによる温度変化も見逃さない高性能温度計、電磁波測定器、どんな小さな音も逃さない録音機など最新鋭の測定機器が運び込まれた。まもなく幽霊現象は起き、3人のメンバーが首から背筋にかけて冷気を感じたという。冷気を感じたはずであったが、室内温度を示す測定機に変化は見られず、風さえもなかったという。しかし、電磁波測定器が異常な数値を示していた。レーザー光線なみで8.3Vもある電磁波が観測されたという。
日本の大阪バイオサイエンス研究所の小早川令子博士は、ねずみを使って謎の冷気を探る実験を行っている。ねずみの天敵であるヘビの臭いが染み込ませてあるシートを入れると、ネズミは突然動かなくなった。この時体温に変化があり、体温は34度までさがった。詳細に温度変化を見ると、背中部分が特にかわり、まさに背筋が凍るというものを表していた。
インドの他の研究所では、電磁波の数値に注目していた。電磁波と脳の関係に注目していた。うつ病の治療に使われるTMS(Transcranial magnetic stimulation、経頭蓋磁気刺激法)では電磁波が使われている。これを使用した患者はあるものが見えると言った。絵に描いてもらうとカラフルな光の球のようだった。電磁波により脳の視覚葉が刺激されると、光の幻覚を見ることがあり、電磁波が続く限り幻覚は続くようだった。マーガム城では同じ部屋にいてみんなが電磁波の影響を受けたので、みんなが同じような幻覚を見た可能性があったという。
しかし、電気の通じていない部屋で電磁波が起こった原因や、空気中を漂う金属音の正体は分からないままだった。
②臨死体験と生まれ変わり
去年3月、国際臨死体験学会が行われた。アメリカ国民の5%が臨死体験を経験しているらしい。オランダのある女性は、出産時の大量出血で命で落としかけたが目を覚ますとトンネルにいた。あたたかくて幻想的でトンネルを抜けると、緑の草原に花が一面に咲いていた。そこでは12歳の時に亡くした父親が待っていて手を握ってくれた。
臨死体験は視覚でみるものではなく、脳がみるものである。だから記憶などから大切な人がでてくることも説明できる。死後の世界はないと科学者は考えていた。しかし、これだけでは説明できない現象もある。事故にあって泡を吹いている自分自身を上から見ているという現象。体脱体験という。臨死体験者の半数近くが体験するともいわれている。
脳科学だけでは解明できない不可思議な現象もある。幼い子供が前世の記憶を話す生まれ変わり現象だった。生まれ変わりとして2500件以上の事例が研究されている。共通項は、生後2~3歳で話し始め、6,7歳で話すことはなくなり、あとは普通に暮らすようになる。生まれ変わりを語る大体の子供は知能テストの結果が良いという共通点もあった。
この現象の説明として、子どもならではのある記憶のメカニズムが関係あるという。子供は2年間くらいは幼児期健忘というもので記憶をもてない。何度も同じ話を聞くとそれを経験したと思い込むようになる。
しかし、それだけでは説明できない現象もある。前世の自分の写真と名前を特定したという少年もいた。その少年は、前世が1964年に死んだマーティ・マーティンという人物だった。少年の話している内容が、54もの項目で一致した。他にもこのような子供たちのいう前世が特定できたケースが35か国で報告されている。
ロジャー・ペンローズ博士、スチュワート・ハメロフ博士の研究によると、生まれ変わりや臨死体験として、意識は今発見されている物質よりも小さいものである。心臓がとまると意識は体から拡散され、臨死体験のように体に生命が戻れば意識は帰ってくる。そのまま生命がとまれば意識は宇宙に散らばって、別の肉体に入ることもある。人間は宇宙を通して全てつながっているという。
③テレパシーの実験
ワシントン大学医学部の脳神経学リアナ・スタンディッシュ博士は、脳の活動を正確に捉える f MRI による検証を実施した。
不思議な体験をした知人同士、一方の色覚異常(が見た景色)が、遠隔の他方の脳裏に浮かんだ。
(比較するために別の2人を加え) 互いに相手を思い浮かばせ続け、脳の働きの変化を調べる。
相手の人が点滅画像を見ている時に、fMRIに入ったもう1人は視覚野の周辺の血流が大きく減少し、脳の同期現象が現れた。
脳には空間を超えて他の人と繋がる何らかの仕組みがあると仮説を立てた。
生物学のルパート・シェルドレイク博士は、テレパシーが強いと言われる200人を選び、電話相手(その4人の親友、掛ける前に強く想い描く)を言い当てる実験(延べ850回)を行った。その正解率は、偶然ならば25%の確率のところなのだが、実験結果は平均45%(統計学的にこの高さは1兆分の1)だった。多くの人に何らかのテレパシー能力が備わっているのではないか?という。(この研究は、放送の中にはなかった。)
④乱数発生器の異常の正体(人間の意識の力)
プリンストン大学の心理学ロジャー・ネルソン博士たちは、乱数発生器乱数発生器Psyleron(0と1がランダムに出るが確率は1/2になるよう設計。量子を利用)http://www.psyleron.com/ )を世界の約50カ所に設置し24Hデータ採取する地球意識プロジェクトを実行していた。大きな事件・事故が勃発した時、大きな偏りが現れないか?というのを探るのがプロジェクトの目的である。
2001.9.11同時多発テロ事件では、世界の集計データは発生の11日から大きく逸脱したというデータが得られた。
この時、なぜ乱数発生器が異常な値を示したのか、このことに関心をもったノエティック科学研究所の超心理学ディーン・レイディン博士は、ネバダ砂漠の真ん中で行われる「多くの人が参加して巨大な人形を燃やす」バーニングマンというイベントで、壮大な超能力実験を行った。乱数発生器を使って、極度に(7万人の)意識が集中すると、変化が現れるのではないか?という仮説を立てた。
会場に6台のシールドされた精密な乱数発生器を分散配置、巨人像に集中、点火、燃え上った。その瞬間に230万分の1の確率で起こる大きな偏り(1の発生ばかり)が現れた。
7万人の「意識のパワー」が、大きな変化を引き起こしたことが確認された。
量子の世界では、2つの量子のうちの一方に刺激を与えると他方にも影響が現れる「量子もつれ」、離れていても不変、量子同士が空間を超えて瞬時に影響し合うという特徴がある。超常現象を研究しているケンブリッジ大学のノーベル物理学賞ブライアン・ジョセフソン博士(ジョセフソン効果の研究で33歳でノーベル賞を受賞)は、物質の量子の世界には、人間の超常現象とよく似た奇妙な面がある。量子論の研究が進めば、超能力の謎も解明できる可能性があると期待を寄せている。
超常現象の研究は、私たちの身近な感覚に近い。「以心伝心」、「輪廻転生」、「先祖が見守っている」という観念、「幽体離脱」現象、「幽霊・怪奇現象の実体験」、「心を一つにすれば、大きな力が出る」というチームワーク精神、近代科学は否定してきたが、我々の身近な生活体験からは、超常現象の研究成果は納得できるものではないだろうか。
エジソンは、超自然学・霊界を信じていて、亡くなる直前まで死者と交信する電信装置の発明に力を注いでいたという。エジソンは、「人間の魂もエネルギーである」と考え、「宇宙のエネルギーの一部である」と考えていた。「エネルギーは不変なので、魂というエネルギーは人間の死後も存在し、このエネルギーの蓄積こそが記憶なのだ」と考えていた。エジソンの言によれば、自分の頭で発明をしたのではなく、自分自身は自然界のメッセージの受信機で、「宇宙という大きな存在からメッセージを受け取ってそれを記録することで発明としていたに過ぎない」のだという。(Wikipedia)。
現実の世界とは別に、もう一つの世界の存在を想定しなければ説明できないのではないだろうか。