早く畝を作らないと種まきや苗植えができないので心は急いている。しかし、体は休憩時間を強く要求している。この葛藤が日々の日常時間なのだ。そこで、テキトーに畑に行ってみると、けっこうクモが出てくる。ときどき見かける「ハラクロコモリグモ」(コモリグモ科)だ。 腹背に孵化した子クモを乗せて保護している典型的な「子守」グモだが、きょうは子蜘蛛はいなかった。色は地味だがデザインは意外に斬新だ。
オスが餌を糸でラッピングしてメスにプレゼントする「婚姻贈呈」という行動をする珍しい蜘蛛「アズマキシダグモ」(キシダグモ科)だ。日本で最初のクモ学者岸田久吉にちなんだ名前がついている。
クモ類もメスが強くオスは弱弱しいらしい。求愛のプレゼントと言われているが、「私を食べないで替わりにこれを食べてね」というのが本音らしい。変わり映えしない畑の中にもこんなドラマが仕組まれているんだと、黒マルチを粛々とセットしていく。