モンパルナス駅のすぐそば、しかし、ちょっとわき道に入っただけで駅周辺の喧騒がうそのように静まり返っている小路の奥にブールデル美術館(musee Bourdelle)があります。道路からも見える庭には大きな彫刻が展示されています。
エミール・アントワーヌ・ブールデル。1861-1929。ロダンの弟子としても、またアカデミー・ド・ラ・グランド・ショミエール(l’Academie de la Grande Chaumiere)での教え子にジャコメッティらがいることでも知られる彫刻家です。日本のガイドブックにはよくベートーベンの胸像がメインで紹介されています。
彼が、1884年から息を引き取る1929年まで住み続けた住居兼アトリエが作品ともどもパリ市に寄贈され、美術館になっています。
中庭は狭いながらも雰囲気があり、ブールデルは創作に疲れると、よくここを散歩していたそうです。
さて、ブールデルの作品ですが、彼の数多くの彫刻を見ていて思い出したのは、大好きな画家・有元利夫の作品でした。フレスコ画と仏画の影響を受け、古典や様式のもつ力強さに惹かれていた有元利夫の作品とどこか共通するものがあるような気がします。
この石膏の作品などはとくに有元作品に近いような気がします。ブールデルも古代ギリシャやローマの美から刺激やインスピレーションを受けていたといいます。ロマネスク彫刻やギリシャ彫刻の素朴さと力強さに惹かれ、シンプルで明瞭な面と量感による彫刻秩序を作り出しているといわれるブールデル作品。どうも、有元作品が脳裏に浮かんで仕方がありません。
ブールデルのアトリエです。ここで意外なものを見つけました。
日本の鎧兜です。東洋美術にも関心が高かったのでしょうか。
別の部屋では、こんなコレクションが展示されています。
能面ですね、たぶん。それに小さな仏像。仏画に影響を受けていた有元にますます似ているような気がしてしまいます。
素朴さ、力強さ、バランス(秩序)・・・洋の東西を問わず古のすぐれた美に学びつつ、そこから得られる霊感を現実の形に創りあげていく。そのようにして提示されたブールデルの彫刻と有元の絵画。どうしてもその共通性に惹かれてしまいます。ユーラシアの西と東、地理的には遠く離れた場所で暮らし、美を追求した二人ですが、好み、あるいは霊感の発するところが似ていると作品も似てきてしまうのかもしれません。有元利夫の作品に近いという理由で、ブールデルの作品も好きになってしまいました。単純ですね。
ブールデルの作品、他にはこのようなものが展示されています。
彫刻のポートレート作家とも言われているように、多くの胸像を残しています。しかし、死せる兵士や戦場で苦悩する兵士などを描いた作品が多く、
こうした救いを求める手まであり、テーマは霊的なもの、苦悩などにあるようです。
これは、作家、アナトール・フランスの胸像です。こうした友人、知人をモデルにした作品ももちろん残しています。
なお、訪れた日には、サルキス(Sarkis、トルコ生まれのアルメニア人、1964年からパリ在住の芸術家)によるアートの展示も行われていました。オレンジの布でメイン・ホールの上部を覆ってみたり、絵の具入れを並べてリズム感のある美を表現したり・・・いかにもモダン・アートっぽい作品です。お陰で、有名な『弓をひくヘラクレス』(Heracles archer)や『死するケンタウロス』(Centaure mourant)も写真に撮るとこんなオレンジの世界に入ってしまいました。
musee Bourdelle
16 rue Antoine Bourdelle
75015 Paris
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エミール・アントワーヌ・ブールデル。1861-1929。ロダンの弟子としても、またアカデミー・ド・ラ・グランド・ショミエール(l’Academie de la Grande Chaumiere)での教え子にジャコメッティらがいることでも知られる彫刻家です。日本のガイドブックにはよくベートーベンの胸像がメインで紹介されています。
彼が、1884年から息を引き取る1929年まで住み続けた住居兼アトリエが作品ともどもパリ市に寄贈され、美術館になっています。
中庭は狭いながらも雰囲気があり、ブールデルは創作に疲れると、よくここを散歩していたそうです。
さて、ブールデルの作品ですが、彼の数多くの彫刻を見ていて思い出したのは、大好きな画家・有元利夫の作品でした。フレスコ画と仏画の影響を受け、古典や様式のもつ力強さに惹かれていた有元利夫の作品とどこか共通するものがあるような気がします。
この石膏の作品などはとくに有元作品に近いような気がします。ブールデルも古代ギリシャやローマの美から刺激やインスピレーションを受けていたといいます。ロマネスク彫刻やギリシャ彫刻の素朴さと力強さに惹かれ、シンプルで明瞭な面と量感による彫刻秩序を作り出しているといわれるブールデル作品。どうも、有元作品が脳裏に浮かんで仕方がありません。
ブールデルのアトリエです。ここで意外なものを見つけました。
日本の鎧兜です。東洋美術にも関心が高かったのでしょうか。
別の部屋では、こんなコレクションが展示されています。
能面ですね、たぶん。それに小さな仏像。仏画に影響を受けていた有元にますます似ているような気がしてしまいます。
素朴さ、力強さ、バランス(秩序)・・・洋の東西を問わず古のすぐれた美に学びつつ、そこから得られる霊感を現実の形に創りあげていく。そのようにして提示されたブールデルの彫刻と有元の絵画。どうしてもその共通性に惹かれてしまいます。ユーラシアの西と東、地理的には遠く離れた場所で暮らし、美を追求した二人ですが、好み、あるいは霊感の発するところが似ていると作品も似てきてしまうのかもしれません。有元利夫の作品に近いという理由で、ブールデルの作品も好きになってしまいました。単純ですね。
ブールデルの作品、他にはこのようなものが展示されています。
彫刻のポートレート作家とも言われているように、多くの胸像を残しています。しかし、死せる兵士や戦場で苦悩する兵士などを描いた作品が多く、
こうした救いを求める手まであり、テーマは霊的なもの、苦悩などにあるようです。
これは、作家、アナトール・フランスの胸像です。こうした友人、知人をモデルにした作品ももちろん残しています。
なお、訪れた日には、サルキス(Sarkis、トルコ生まれのアルメニア人、1964年からパリ在住の芸術家)によるアートの展示も行われていました。オレンジの布でメイン・ホールの上部を覆ってみたり、絵の具入れを並べてリズム感のある美を表現したり・・・いかにもモダン・アートっぽい作品です。お陰で、有名な『弓をひくヘラクレス』(Heracles archer)や『死するケンタウロス』(Centaure mourant)も写真に撮るとこんなオレンジの世界に入ってしまいました。
musee Bourdelle
16 rue Antoine Bourdelle
75015 Paris
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「波」の作品が本当にお好きなんですね。お嬢さんの名前、そしてコメント投稿名。本当に好きなものがあるということは、素晴らしいことで、羨ましく思います。
ブールデルの作品は、日本の美術館にも意外と多くあり、いろいろな所で目にしている方も多いと思うのですが、その名前はあまり馴染みがありません。そうした芸術家は結構いるのかもしれないですね。
ぜひ、次回パリにいらっしゃる際にご覧ください。