明るいときに見えないものが暗闇では見える。

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【REC/レック】 P.O.V.のお手本

2009年10月28日 | 映画

今やスペインホラーの代表作と言っても過言ではない『REC/レック』。先日(2009年10月24日)待望の第2弾『REC2/レック2』が公開となった。う~ん観たい観たいぞこれ。諸般の都合により観に行けるかどうかという状況なのだが、その前に前作『REC/レック』について感想をブログに書いて反芻しておこう。

これもいわゆるPOV(主観映像:Point of View)映画である。密着TVドキュメンタリーのレポーターとカメラマンが、深夜のアパートから通報を受けた消防隊に同行。そこには血まみれで凶暴化した老婆が寄声を上げており、助けようとした警官は彼女に襲われてしまう。閉ざされたアパートの中で人々は謎の病原体により凶暴化していき、カメラの前では次々と惨劇が繰り広げられていく。。。という話。



ところでPOV映画(ホラー)には大きく分けてだいたい3種類の方向性があると思う。

①いかにそのものを "見せない" ことにより恐怖を煽ることに主眼を置いたモノ
 『ブレアウィッチ・プロジェクト』など

②カメラ目線により逃げ惑う "臨場感を味わう" ことに主眼を置いたモノ
 『クローバー・フィールド/HAKAISHA』など

③カメラフレーム外から急に「ギャー」って出てきて "ビックリ" させることに主眼を置いたモノ

(+④:ストーリー重視で、単なる映像手法の一つとしてPOVを活用してみたモノ『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』など)


もちろんどの映画も①~③それぞれの要素は持っているのだが、そのバランス具合が難しい。①が強ければ環境設定/脚本が弱いと消化不良になってしまう、②が強ければただの遊園地の乗り物(アトラクション)になってしまう、③が強ければただのビックリ箱になってしまうという感じ。で今回の『REC/レック』がスゴイのは①~③のバランスがことごとく精妙なのところ。とにかく笑うほど怖いw。精神的にというか視覚的に怖すぎる。あらゆる映像が緻密に計算されたアングルとフォーカス、タイミングで責めてくる。冒頭はゾンビをちょろちょろとカメラの端にだけ写しこみ、軽い消化不良を味あわせながら期待を煽る。ビックリさせたいときには、"ジャーン"とゾンビの顔が大写しにフレームイン!臨場感を出したいときにはカメラが上となり下となり縦横無尽に動く。不気味な映像を見せたいときにはボンヤリ暗視映像で写しこむ。77分という短尺だが、前半を除けばほとんどカメラ視点での恐怖がノンストップで続き、レポーターとカメラマンの絶叫体験をリアルに共有させられる。富士急ハイランドの戦慄迷宮だって45分じゃなかったか?息つくヒマがないのである。スタッフはとにかくPOVを計算しつくして、最大限の効果を狙っているのだろう。まるでPOV映画のお手本のような映画。じゃあ策に溺れているかと言えばそんなことはなく、まあ最後に明かされるオチはそこそこではあるがストーリーの面でも十分楽しませてくれている。最後のシーンが見せ方も王道でこれまた良い。なんというかやり切った感があるホラーだった。

『REC2/レック2』は舞台そのままこのラストの続きから始まるらしい。え、それじゃあ二匹目のドジョウ過ぎでは!?と思うのだが、映像技術にさらに磨ききをかけ、新たなPOVの可能性を持ってボクらを待ち受けてくれているらしい。これだけ『REC/レック』が楽しませてくれたのであれば、次も期待を裏切らない新しいものを魅せてくれるに違いない。期待大。


評価:★★★★★

レポーター役のアンヘラが「だけじゃないテイジン」に見えるのはボクだけではあるまいw


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