イマイチ地味で見たことありげな設定に少し食傷ぎみでしたが観てみてよかったです。リーアム兄やんじゃなきゃ危うくスルーするところでした。
飛行機事故で遭難した男たちが極寒の雪山でオオカミの群れと闘うという漢(おとこ)のドラマ。真っ向から自然の脅威を描き、全編通してとにかく男臭いです。なんとなく昭和な東映の薫りがします。
生き残った男たちは一人ずつオオカミに血祭りにあげられていきます。しかしこれがワザとなのか監督の力量なのか、その人物像についてあまり深堀りせずお互いの心の交流的なものもほとんど感じられないため、ヤラれても「ああ、大事な仲間が...!」感があまりありません。さらに言えば鑑賞後には誰ひとり顔も覚えていない始末w。おかげで変なヒューマンドラマに陥いることなくリーアム兄やんの目線中心にどんどん話は進みます。
そのリーアム兄やんの行動もベテランのオオカミハンターにしては「なんとなく森へ逃げる」「なんとなく川沿いに小屋があるかも」「なんとなくオオカミの巣に来ちゃった」という行き当たりばったり。通常はこれらサバイバルものの場合「あそこへ行けば助けが来る」「あの場所まで行けば敵から逃れられる」などの目標設定がなされるものなのですが、本作にはそれもないため絶望感や徒労感だけが蓄積していくというグッタリ感です。なんかもう主役の行動に説得力ないとかどうのこうの言う前に、自然の脅威の前に右往左往するしかない人間の小ささが結果的によく出ていたと思います。←これでも褒めています。
しかしそんな作品全体から漂う徒労感は、実はすべてが最後の1シーンのための前説だったのです。厳しい父に育てられ、最愛の恋人も失い、人生に絶望していたリーアム兄やん。しかし最後に追い詰められた時、これまでのすべての意味はこの瞬間に結実していると悟ったその眼力の演技は絶品!これ観るためだけに2時間ガンバったよオレ(T_T)。
もちろんその敵対するオオカミも怖い怖い。下手はホラーなんか目じゃないです。目の光や遠吠えによる姿を見せない時の威圧感がスゴイです。これは劇場で観るべき映画でしたな。
理屈抜きの男臭いサバイバル映画。人を選ぶと思いますし、理屈とか欲しい人には向きません。この真っ向さ加減が昭和な薫りがして良いのです。まあガイジンは昭和の薫りを知らんだろうけど。。。
さらにリーアム兄やん好きなら楽しめると思います(^_-)b
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