くせ者俳優ウィレム・デフォーとレイ・リオッタという濃いぃ共演。前から観たいと思っていたものが昼に放送されていた。さすがだテレ東、グッジョブだ!
死刑囚だった男に製薬会社がその凶暴性を抑制する薬を投薬実験するという話。サイコスリラーかと思って見始めたら実は結構良質な人間ドラマでした。
低予算映画の香り高く演出や設定考証も甘いですし、安いアクションも盛り込まれているためその中途半端感は否めません。しかし作品に描かれているものは「善とは何か、悪とは何か。」という人間本質への問いかけです。
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手のつけられない凶悪犯であったリーが、薬により徐々に人間らしい善人へと変わっていきます。それが薬の作用なのか脱出目当ての演技なのかがサスペンス要素となり、善悪を不明瞭にしながら物語は進みます。
過去に自分の情動を抑え切れず重大な過ちを犯たマイケル博士と、悲惨な幼児体験により周囲を信じられなくなった男リー。博士はそれを薬の開発への冷徹な情熱に転化し、リーは社会と他人への凶暴性へと転化しています。
博士は社会的立場からは高名な科学者ですが非人道的な実験を行う悪です。リーは社会的底辺にいる悪名高き極悪殺人者でまさに悪そのものです。しかし相反するように見えながらも位相が違うだけの"悪"であった二人が、おのれ自身を"善"だと信じたい想いから心通わせていく姿がすばらしいです。
レイ・リオッタと言えば『ハンニバル』で頭をかち割られていたり、『不法侵入』のサイコさが思い出されます。そのインパクトばかりが印象に残っており、ある意味"怪優"と思っていましたが、こんなに演技力があるということに改めて感嘆しました。序盤のキレぶりから最後の博士に見せる感謝と情愛のまなざしまでそのみごとな変貌ぶりに驚きます。
またその変貌ぶりと合わせて、組織とリーのその善悪の見え方が入れ替わっていく様も見ごたえあります。
そしてウィレム・デフォーがあの顔なので最後まで何かやらかすんではないかとハラハラ気が抜けませんでしたw。
善悪を決定するもの、そして人を救うもの、それは何かを教えてくれる作品でした。
なかなか拾いもんの佳作です。
評価:★★★☆☆
あとミシェル・ロドリゲスが出ているのである意味必見作ですよw
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