明るいときに見えないものが暗闇では見える。

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【ハードキャンディ(2005)】 縮み上がり

2010年09月07日 | 映画


■『ハードキャンディ』予告編(Youtube)


【ネタバレありです】


インセプション』を観て、アリアドネ役のちっちゃいエレン・ペイジちゃん初主演作『ハードキャンディ』が観たくなった。当時、衝撃的な内容が話題だったので興味津々で鑑賞。


基本は密室の会話劇。ほとんど全編を役者二人のアップとその会話で進むという作りにもかかわらず、最後まで緊張感を持続できているのはスゴイ。

そして完全に男性向けの作品。男性でないとあの恐ろしさは疑似体験できないだろうから、残念ながら女性には面白みも衝撃度もない作品かもしれない。まあ例の去勢シーンは残念ながら予告編などの事前情報で流れちゃってはいるのだけど、二人の高い演技力が見事にあぶら汗を感じるほどの恐怖を演出している。パトリック・ウィルソンの鬼気迫る必死さは時に笑ってしまうほどであったのだけど、やはりエレン・ペイジの幼ない無邪気さと狂気の共存する表情は女優として末恐ろしいくらい。映画冒頭で誰もが抱くであろう「垢抜けない少女」というイメージだった彼女が、徐々にエロさと恐ろしさを醸しだしていく様は想像以上に魅力的だ。日本の俳優で言えばその顔も含め大竹しのぶさんに近い。そういう意味でもクセのある魅力なのでそれを全く感じない人もいるかもしれない。


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ジェフとヘイリーのキャラクターが終盤まで明確にならないため、どちらが被害者か加害者かが明確には分からず終始スリリングに話は進む。ただヘイリーの狂気すぎる復讐の仕方から、感情移入してしまうのは当然ジェフの方である。もちろん男性観客ならなおさらだろう。たとえアメリカにおける小児性犯罪者(ペドフィリア/エフェポフィリア)に対する罪が想像以上に重いものであったとしても、彼女の狂気の復讐はワザとヤリ過ぎと思わせるように作られており、それが彼女の素性と正体への興味を最後の最後まで引っ張らせる。

で、結局ジェフは犯人(の一味)であることは分かるのであるが、彼女の素性は明かされない。あえて詳細を明かさないことが想像力を刺激し作品の魅力につながるとはあるが、本作ではそれはプラスに働いていないのが残念。結局彼女は何者だったのか、ここまでレベル高く引っ張ってきたのに何も提示されず腑に落ちない。あわせてジェフが元カノに執着する理由も、最後は死ぬことができたのかさえも分からない。消化不良にもホドがある。そのため「なーんだただのショックシーン見せたかっただけ映画か」となってしまい、あれだけガチンコの演技勝負とスタイリッシュな会話の応酬に興奮していたことが最後で霞んでしまった。モッタイない。

個人的には全体として被害者の娘の復讐だということで統一しておいて、最後に実はヘイリーは誰とも関係なく、出会い系サイトで獲物を漁るドSのエクスターミネーターだということが分かるのが気分よく終われてステキ。ラストカットでヘイリーがウィンクでもしてくれれば上等。実際チンコ切ってないんだから、これぐらい爽やかでもええやろ。

まあ全体的に小気味いい演出とセンスのよい色彩、あわせて二人の役者のスタイリッシュな会話劇と最高の演技には十分な満足感あり。終わりの10分を自分好みに塗り替えて観ると楽しいかも。

ところでボクが最も怖かったのはディスポーザーです。


評価:★★☆☆☆

パトリック・ウィルソンは『ウォッチメン』のフクロウでしたか。外国人はハゲてもイケメンなのが羨ましいね。


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