出版社:朝日新聞社 編集人:長谷川まち子
定価:400円(税抜) 発売日:5月25日
特集:病院怪談
毎号この本は購入しているが、レビューを書くのは
なんと2007年11月号以来である。
しかし、改めてデータを書いてみて気がついたのだが、
この編集長さん。
本名なんだろうか?
まあ編集長でペンネームということも無いだろうから…。
たまに、山本まゆり氏の作品にも、長髪にサングラスの
風体で何度か登場されていたが、あの超メジャー漫画家と
(読みが)同姓同名とは気がつかなかった。
まあ、それはともあれ。
今回は、漫画:10作品。その他:2作品の構成。
その他の中に含めたものは、巻頭カラー特集の氷室奈美の
オーラドローイングと、寺尾玲子の心霊相談箱。
他にも組み込むべきと、人によっては判断されるコーナーも
あろうが、僕の独断でこの12作品に絞る。
その中で、今回もっとも面白かったのは…。
1位:心の処方箋「インナーメディスン」
原案:神楽ゆう 画:堆木庸
うちでもペットを飼っているので、そのペットとの
コミュニケーションを取るとは?という観点から、
興味深く読んだ。
特に納得感があったのは、動物の感じ方について。
動物達の精神は”今”しか認知出来ないから、過去の
過ちについて問いかけても意味を成さない。
ただ、愛情だけはきちんと伝わるから、謝りたいこと
があれば、言葉で謝罪するのではなく、そのペットが
大好きだという気持ちで接すること。
ここで取り上げられたのはペットの猫だが、ある程度
普遍的に援用することは可能だろう。
ペットに限らず、人と接するときでも、つい相手に
対して自分の頭の中にある論理や前提が判っている
ものとして、接してしまうことが多い。
でも、そうしたことは、更なるズレを生む要因にも
なりかねない。
そんな気付きを貰った作品だった。
2位:「ベッド」 マンガ:鯛夢
なぜ、マンガなどという一風変わった記載になって
いるかといえば、読者の投稿を原案とし、鯛夢氏が
作品を起こしているから。
しかし、この方の画力は凄いなぁと、いつも思う。
フォトショップやコミックスタジオ等をうまく取り
入れたデジタル化も着々と進行中。
主筆しているブログにて、今月号の作画シーンの
一部を公開しているのも面白い。
今月号を読んで、おお、ブログのこのページが、
こんな風に紙面ではなるのね。と実感出来るのも
また楽しいが、更にスティッカムで作画を実況中継
したりと、野心的な取り組みを続ける氏。
おどろおどろしい絵柄とディジタルを上手く融合
させた氏の作品集を、そろそろ朝日新聞社も出して
くれないものかと思う。まとめて読みたいなぁ。
3位:「黄泉帰り」 マンガ:有久裕子
梶尾真治からの標題の拝借はどうかと思うが、
あれほどにメジャーになった作品だから、今更パクリ
云々といった議論にもならないか(笑)。
テーマは、介護職に従事することの大変さ。
人間対人間の職業につきものの難しさとは別次元の、
あまりにも薄給であることで、生活が維持できないと
いう思いテーマが、サラリと盛り込まれている。
ちょうど今「イブニング」講談社刊で連載中の
「ヘルプマン!」で同じテーマが取り上げられている
こともあり、心引かれてしまった。
「インナーメディスン」と同様、こちらも相手と目線を
合わせて話をすることの難しさ、出来たときの喜びを、
先ほどの介護職の大変さとうまく絡めて描いていた。
老人介護については、これほど今必要とされてきている
にも関わらず、まだ社会的な体制の整備が遅れているなと
痛感させられた作品。
まったく、相も変わらずハコモノにつぎ込む税金があれば、
こうした問題にきちんと取り組んで欲しいものだ。
4位:「魔百合の恐怖報告 闇の触手」 作画:山本まゆり
作品的には、P58からの迫力ある落ちが好き。
こうした超自然的な力を発揮する玲子さんと、心霊相談
箱では、殆どの読者からの相談を霊的なものではないと
して、モラリスティックかつ快刀乱麻に解決する玲子さん
の両立が、実に面白い。
さて、7月発売の9月号では、永久保貴一と寺尾玲子氏、
視っちゃんの三つ巴だ。楽しみだなぁ。
(と書いても、わかる人しかわからないだろうけれど)
(この稿、了)
(付記)
本書、ほんとにあった…と標題にもうたわれていますが、これを
どう解釈するかは読み手の自由です。
そういう標題の創作と見るのか、あるいは文字通り事実の
マンガ化と見るのかは、読み手の判断に委ねられます。
僕はといえば、その手の能力は全く無い存在なので、白黒を
付けるという方が無理です。
自分では知りえない、そうした世界もあるんだろうと、楽しみ
ながら読む、といったところでしょうか。
続けて、2巻。
今月号の広告によると、近日中に3巻も発売予定とのことです。
上で少し言及した相談箱。まとめて読むと、味わい深い。
こんな風に世界が見えたら凄いだろうなぁ。
あらゆる歴史上の疑問が、一気に氷解しそう。
定価:400円(税抜) 発売日:5月25日
特集:病院怪談
毎号この本は購入しているが、レビューを書くのは
なんと2007年11月号以来である。
しかし、改めてデータを書いてみて気がついたのだが、
この編集長さん。
本名なんだろうか?
まあ編集長でペンネームということも無いだろうから…。
たまに、山本まゆり氏の作品にも、長髪にサングラスの
風体で何度か登場されていたが、あの超メジャー漫画家と
(読みが)同姓同名とは気がつかなかった。
まあ、それはともあれ。
今回は、漫画:10作品。その他:2作品の構成。
その他の中に含めたものは、巻頭カラー特集の氷室奈美の
オーラドローイングと、寺尾玲子の心霊相談箱。
他にも組み込むべきと、人によっては判断されるコーナーも
あろうが、僕の独断でこの12作品に絞る。
その中で、今回もっとも面白かったのは…。
1位:心の処方箋「インナーメディスン」
原案:神楽ゆう 画:堆木庸
うちでもペットを飼っているので、そのペットとの
コミュニケーションを取るとは?という観点から、
興味深く読んだ。
特に納得感があったのは、動物の感じ方について。
動物達の精神は”今”しか認知出来ないから、過去の
過ちについて問いかけても意味を成さない。
ただ、愛情だけはきちんと伝わるから、謝りたいこと
があれば、言葉で謝罪するのではなく、そのペットが
大好きだという気持ちで接すること。
ここで取り上げられたのはペットの猫だが、ある程度
普遍的に援用することは可能だろう。
ペットに限らず、人と接するときでも、つい相手に
対して自分の頭の中にある論理や前提が判っている
ものとして、接してしまうことが多い。
でも、そうしたことは、更なるズレを生む要因にも
なりかねない。
そんな気付きを貰った作品だった。
2位:「ベッド」 マンガ:鯛夢
なぜ、マンガなどという一風変わった記載になって
いるかといえば、読者の投稿を原案とし、鯛夢氏が
作品を起こしているから。
しかし、この方の画力は凄いなぁと、いつも思う。
フォトショップやコミックスタジオ等をうまく取り
入れたデジタル化も着々と進行中。
主筆しているブログにて、今月号の作画シーンの
一部を公開しているのも面白い。
今月号を読んで、おお、ブログのこのページが、
こんな風に紙面ではなるのね。と実感出来るのも
また楽しいが、更にスティッカムで作画を実況中継
したりと、野心的な取り組みを続ける氏。
おどろおどろしい絵柄とディジタルを上手く融合
させた氏の作品集を、そろそろ朝日新聞社も出して
くれないものかと思う。まとめて読みたいなぁ。
3位:「黄泉帰り」 マンガ:有久裕子
梶尾真治からの標題の拝借はどうかと思うが、
あれほどにメジャーになった作品だから、今更パクリ
云々といった議論にもならないか(笑)。
テーマは、介護職に従事することの大変さ。
人間対人間の職業につきものの難しさとは別次元の、
あまりにも薄給であることで、生活が維持できないと
いう思いテーマが、サラリと盛り込まれている。
ちょうど今「イブニング」講談社刊で連載中の
「ヘルプマン!」で同じテーマが取り上げられている
こともあり、心引かれてしまった。
「インナーメディスン」と同様、こちらも相手と目線を
合わせて話をすることの難しさ、出来たときの喜びを、
先ほどの介護職の大変さとうまく絡めて描いていた。
老人介護については、これほど今必要とされてきている
にも関わらず、まだ社会的な体制の整備が遅れているなと
痛感させられた作品。
まったく、相も変わらずハコモノにつぎ込む税金があれば、
こうした問題にきちんと取り組んで欲しいものだ。
4位:「魔百合の恐怖報告 闇の触手」 作画:山本まゆり
作品的には、P58からの迫力ある落ちが好き。
こうした超自然的な力を発揮する玲子さんと、心霊相談
箱では、殆どの読者からの相談を霊的なものではないと
して、モラリスティックかつ快刀乱麻に解決する玲子さん
の両立が、実に面白い。
さて、7月発売の9月号では、永久保貴一と寺尾玲子氏、
視っちゃんの三つ巴だ。楽しみだなぁ。
(と書いても、わかる人しかわからないだろうけれど)
(この稿、了)
(付記)
本書、ほんとにあった…と標題にもうたわれていますが、これを
どう解釈するかは読み手の自由です。
そういう標題の創作と見るのか、あるいは文字通り事実の
マンガ化と見るのかは、読み手の判断に委ねられます。
僕はといえば、その手の能力は全く無い存在なので、白黒を
付けるという方が無理です。
自分では知りえない、そうした世界もあるんだろうと、楽しみ
ながら読む、といったところでしょうか。
ほんとにあった怖い話 2009年 07月号 [雑誌]朝日新聞出版このアイテムの詳細を見る |
続けて、2巻。
心の処方箋 インナーメディスン 1 (ほんとにあった怖い話コミックス)神楽 ゆう,堆木 庸朝日新聞出版このアイテムの詳細を見る |
今月号の広告によると、近日中に3巻も発売予定とのことです。
心の処方箋 インナーメディスン 2 (ソノラマコミックス―ほんとにあった怖い話コミックス)神楽 ゆう,堆木 庸朝日新聞出版このアイテムの詳細を見る |
上で少し言及した相談箱。まとめて読むと、味わい深い。
霊能者 寺尾玲子の心霊質問箱朝日ソノラマこのアイテムの詳細を見る |
こんな風に世界が見えたら凄いだろうなぁ。
あらゆる歴史上の疑問が、一気に氷解しそう。
闇の検証 7 (ソノラマMOOK)寺尾 玲子朝日ソノラマこのアイテムの詳細を見る |