活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

ほんとにあった怖い話 7月号

2009-06-03 00:08:14 | マンガの海(読了編)
出版社:朝日新聞社 編集人:長谷川まち子 
定価:400円(税抜) 発売日:5月25日
特集:病院怪談


毎号この本は購入しているが、レビューを書くのは
なんと2007年11月号以来である。

しかし、改めてデータを書いてみて気がついたのだが、
この編集長さん。
本名なんだろうか?
まあ編集長でペンネームということも無いだろうから…。

たまに、山本まゆり氏の作品にも、長髪にサングラスの
風体で何度か登場されていたが、あの超メジャー漫画家と
(読みが)同姓同名とは気がつかなかった。


まあ、それはともあれ。

今回は、漫画:10作品。その他:2作品の構成。

その他の中に含めたものは、巻頭カラー特集の氷室奈美の
オーラドローイングと、寺尾玲子の心霊相談箱。

他にも組み込むべきと、人によっては判断されるコーナーも
あろうが、僕の独断でこの12作品に絞る。

その中で、今回もっとも面白かったのは…。

1位:心の処方箋「インナーメディスン」
   原案:神楽ゆう 画:堆木庸
   うちでもペットを飼っているので、そのペットとの
   コミュニケーションを取るとは?という観点から、
   興味深く読んだ。
   特に納得感があったのは、動物の感じ方について。

   動物達の精神は”今”しか認知出来ないから、過去の
   過ちについて問いかけても意味を成さない。
   ただ、愛情だけはきちんと伝わるから、謝りたいこと
   があれば、言葉で謝罪するのではなく、そのペットが
   大好きだという気持ちで接すること。

   ここで取り上げられたのはペットの猫だが、ある程度
   普遍的に援用することは可能だろう。

   ペットに限らず、人と接するときでも、つい相手に
   対して自分の頭の中にある論理や前提が判っている
   ものとして、接してしまうことが多い。

   でも、そうしたことは、更なるズレを生む要因にも
   なりかねない。

   そんな気付きを貰った作品だった。

 2位:「ベッド」 マンガ:鯛夢

   なぜ、マンガなどという一風変わった記載になって
   いるかといえば、読者の投稿を原案とし、鯛夢氏が
   作品を起こしているから。

   しかし、この方の画力は凄いなぁと、いつも思う。
   フォトショップやコミックスタジオ等をうまく取り
   入れたデジタル化も着々と進行中。

   主筆しているブログにて、今月号の作画シーンの
   一部を公開しているのも面白い。

   今月号を読んで、おお、ブログのこのページが、
   こんな風に紙面ではなるのね。と実感出来るのも
   また楽しいが、更にスティッカムで作画を実況中継
   したりと、野心的な取り組みを続ける氏。

   おどろおどろしい絵柄とディジタルを上手く融合
   させた氏の作品集を、そろそろ朝日新聞社も出して
   くれないものかと思う。まとめて読みたいなぁ。

 3位:「黄泉帰り」 マンガ:有久裕子
 
   梶尾真治からの標題の拝借はどうかと思うが、
   あれほどにメジャーになった作品だから、今更パクリ
   云々といった議論にもならないか(笑)。

   テーマは、介護職に従事することの大変さ。
   人間対人間の職業につきものの難しさとは別次元の、
   あまりにも薄給であることで、生活が維持できないと
   いう思いテーマが、サラリと盛り込まれている。

   ちょうど今「イブニング」講談社刊で連載中の
   「ヘルプマン!」で同じテーマが取り上げられている
   こともあり、心引かれてしまった。

   「インナーメディスン」と同様、こちらも相手と目線を
   合わせて話をすることの難しさ、出来たときの喜びを、
   先ほどの介護職の大変さとうまく絡めて描いていた。

   老人介護については、これほど今必要とされてきている
   にも関わらず、まだ社会的な体制の整備が遅れているなと
   痛感させられた作品。
   まったく、相も変わらずハコモノにつぎ込む税金があれば、
   こうした問題にきちんと取り組んで欲しいものだ。

 4位:「魔百合の恐怖報告 闇の触手」 作画:山本まゆり

   作品的には、P58からの迫力ある落ちが好き。
   こうした超自然的な力を発揮する玲子さんと、心霊相談
   箱では、殆どの読者からの相談を霊的なものではないと
   して、モラリスティックかつ快刀乱麻に解決する玲子さん
   の両立が、実に面白い。
   
   さて、7月発売の9月号では、永久保貴一と寺尾玲子氏、
   視っちゃんの三つ巴だ。楽しみだなぁ。
   (と書いても、わかる人しかわからないだろうけれど)


(この稿、了)


(付記)
本書、ほんとにあった…と標題にもうたわれていますが、これを
どう解釈するかは読み手の自由です。
そういう標題の創作と見るのか、あるいは文字通り事実の
マンガ化と見るのかは、読み手の判断に委ねられます。

僕はといえば、その手の能力は全く無い存在なので、白黒を
付けるという方が無理です。
自分では知りえない、そうした世界もあるんだろうと、楽しみ
ながら読む、といったところでしょうか。


ほんとにあった怖い話 2009年 07月号 [雑誌]

朝日新聞出版

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続けて、2巻。
心の処方箋 インナーメディスン 1 (ほんとにあった怖い話コミックス)
神楽 ゆう,堆木 庸
朝日新聞出版

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今月号の広告によると、近日中に3巻も発売予定とのことです。
心の処方箋 インナーメディスン 2 (ソノラマコミックス―ほんとにあった怖い話コミックス)
神楽 ゆう,堆木 庸
朝日新聞出版

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上で少し言及した相談箱。まとめて読むと、味わい深い。
霊能者 寺尾玲子の心霊質問箱

朝日ソノラマ

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こんな風に世界が見えたら凄いだろうなぁ。
あらゆる歴史上の疑問が、一気に氷解しそう。
闇の検証 7 (ソノラマMOOK)
寺尾 玲子
朝日ソノラマ

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