活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

ジョジョの奇妙な冒険

2009-05-11 00:08:26 | マンガの海(読了編)
作者:荒木飛呂彦 集英社ジャンプコミックス刊
週間少年ジャンプにて、1987年から連載開始。
今では舞台をウルトラジャンプに移して、第7部を連載中。


サブタイトル:おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?



さて。
「ジョジョの奇妙な冒険」、なのである。

正直、1987年にジャンプで連載が始まったとき、この作品が
ここまでメジャーになるとは、思いもしなかった。

前作の「バオー」といい、「魔少年ビーティー」といい、少年漫画の
王道は行きつつもどこかマニア好みなニュアンスの方が濃いような
印象を受けていたからである。

それが、今や単行本累計7000万部突破である。

しかも、20年を超えて、まだ連載は続いている。

物凄い作品に成長してしまった。

さすがに、ジャンプは読まなくなって久しいし、ジョジョ自体も
単行本でのフォローは今はしていない。
#持っているのは、第三部まで。

でも、いつかまた機会があれば、第四部以降も読む積りは確実にある。


さて、冒頭に挙げたのは、そのジョジョの中からの台詞である。


もう一度書くと、

 「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか? 」

である。

これだけ読んでも、何のことやら?といったところである。
解説するのも野暮なのだが、ご存じない方もいらっしゃるだろうし、
あえて解説する(笑)。

この台詞を発したのは、古の禍々しい文明の遺産の力により、
不死の力を得た男。

その不死の力の源泉は、人の生き血。

超人間となった彼は、一般人を見下し、全ての食物連鎖の頂点に
立つ存在として己を定義し、何の罪悪感も無く、むしろ当然の所作
として人を殺していく。

そんな彼を追い詰める主人公。
その主人公が、彼に対して、一体何人の人を殺したんだ!?と
詰め寄った際に彼が放った台詞が、これである。

確かに、僕たちは、これまでに食べたパンの枚数なんか覚えていない。
それは、パンを食べるという行為が、正に当たり前の、日常の所作で
あるからだ。

彼は、殺人を犯したと激昂して彼を問い詰める主人公に対して、
自分が人を殺すのは、食事以上でも以下でもない行為なのだと、
突き放したのだ。

初めてこの台詞に触れたときには、鳥肌が立った。
こんな台詞を書けるということは、この作家が心底から登場人物を
自分の分身としているに違いないと確信した。

それから、周囲に対する僕のジョジョ布教活動が始まった…。


作者の荒木飛呂彦氏は、そのデザイン性、凝った擬音、卓越した
ストーリーテリング等が有名だが、登場人物のこうした台詞も
堪らない魅力となっている。

ストーリー?
いくらでも湧いてきて、困るほどだ。

これに類する台詞を、いつか作者がインタビューで答えていたことを
思い出す。

凄いなぁ。
素直に、そう感嘆する。

後は、今は何を書いてもジョジョになってしまう。とも。

実際、現在連載中の第7部は、当初は別のストーリーとして考えていた
らしいが、今ではしっかりとジョジョワールドに組み込まれてしまって
いるらしい。

それだけの作品を生み出した(いや、生み出しつつある)氏と、
同時代の人であることを嬉しく思う。


(付記)
ちなみにこの台詞。単行本だと第三巻。もう随分と昔のものである。
なぜ、今頃になってこんなコラムを書いたかというと、gooランキングで
『「ジョジョの奇妙な冒険」の名ゼリフランキング』というものが紹介

されており、その中で僕のお気に入りのこの台詞が、堂々の6位に
ランクインしていたから。


今夜は、久しぶりに読み返して、ジョジョワールドに浸ってみるかな。

(この稿、了)


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ジョジョからは離れる(番外編という形で、一部くっついているが(笑))
こちらも僕のお気に入り。

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