活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

キャラクタービジネスの挑戦

2009-05-07 02:40:42 | 活字の海(新聞記事編)
Agora 2009年5月号 Biz Trend74より
文:大谷隆之


ここまで来たか!?と、思わず唸り声が口から漏れた。

そもそも、AgoraというJALカードの会員向けの会報誌に
ガンダムの写真がデカデカと載るだけでも結構な驚きなのである。

が。
それ自体は、標題にもあるとおり、カンプラを始めとする
キャラクタービジネス市場の成長振りを見ていると、それほど
意外でもない。

何しろ、2004年当時で既に2兆円超の市場規模を有していた
ものが、2008年には4兆円規模にまで成長しているとする
データもある位の市場なのである。

ビジネスとして、看過する訳にはいかないのも当然ではないか。

だが、それでも流石に、この特集の中で紹介されていた超豪華版
超合金マジンガーZの値段を見て、思わず冒頭の声を挙げてしまった、
という訳だ。

そのお値段とは、なんと2百万円である!
(TOPの写真が、その実物である)

さすがに、完全受注生産らしいが、それでも発表に至るまでには
市場のリサーチ等から商売としての採算も十二分に検討された
結果ではあろうし、その上でバンダイがGOをかけたからには、
それなりの受注を見込んでいることは間違いあるまい。

それにしても、もう一度書くが、超合金に2百万である。

このことが意味することは、キャラクター・ビジネスというものが、
そのターゲット層を完全に多層化しているということである。

1箱数百円のガンプラ(その昔、ヤマトでは一箱百円のシリーズも
有ったが。それなりの出来で、何より安価だったので結構作った
記憶がある)を楽しむ小中学生層から、こういったオーバー百万の
商材を手にすることが出来る社会人層まで。

要は、おもちゃを買ってくれる子供の数が減ったからと言って、
市場が減った訳ではない。
その分、財布に余裕が出来、目が肥えた客の要求さえ満たすものを
送り出せば、食いついてくれる市場が肥沃に拓けている。

そう考えたビジネスプランナーが居ても、当然な状況が現代の日本
なんだろう。

更には、そのトレンドは単にアニメのキャラクターの枠を超え、
ゆるキャラと呼ばれるキャラクターというものも生み出した。

その結果…。
キャラクタービジネスが、従来の子供向けに加えて、上述した
ような多層化発展を為す結果となり、兆の単位の経済効果を
もたらすようになった訳である。

日本の国家予算が一般会計歳出で約83兆円である。
(2008年度)

4兆円といえば、国家予算の約5%をキャラクタービジネスが
動かしているということになる。

ここまで成長したからには、そしてそれが世界で通じるとなった
からには、海外進出を目指すのも自然の道理だろう。

しかしながら、日本のアニメや漫画が如何に世界で受け入れ
られたとしても、そうした文化に対する接し方については、
どこかで一線を画していたいと考えている。

これは、そうしたものを卑下していっているのではない。

アニメや漫画が好き。

それを、声高に叫ぶのではなく、どこかに含羞のニュアンスを
漂わせながら小声で呟く、そんなステイタスが最も似合っている
文化だと思っているからだ。

もう一度言おう。
日本のアニメや漫画は、確かに立派に世界に通用する文化
足りえる。
が、それらは栄光あるサブカルチャーとしての立ち位置を持って
存在して欲しい。

例えば、電車の中で、漫画週刊誌を広げることが恥ずかしくて
出来ないように。

例えば、こっそり買い集めた超合金を、誰にも見られないように
ディスプレイして楽しむように。

サブカルチャーとしての、あくの強さ。
サブカルチャーとしての、劣等感。
サブカルチャーとしての、思い切りの良さ。

そうした要素が少しでも混入していない、健全さに満ちたアニメや
漫画を誰が欲するだろうか?

と、僕などは思うのだが。

と、一人ごちながらも、この超合金魂シリーズはいいなあ。と、
AMAZONに並ぶラインナップを見て、つい思ってしまう。

何点かは、確実に心惹かれている。
う~ん。困った(笑)。

(この稿、了)


(付記)
しかし、今回この記事に触発されて、少し検索してみて、最近の
超合金の持つクオリティに恐れをなした。
何せ、昔は絶対に不可能とされていたような合体メカニズムを、
差し替え等無しで、とにもかくにも実現してしまうのだから。

中でも一番感動したのが、最下段に掲載した「完全変形ゲッターロボ」。
これだけはバンダイではなく、スタジオ・ハーフアイ秘密研究所製
なのだが。
#会社名からして、怪しすぎる…。

どんなロボットの立体おもちゃが出ても、これだけは不可能だろうと
言われていた、ゲッターロボの三大変形を、ともかくも実現してしまった
のだから、感涙ものである。

出来れば入手して、是非この手で変形させてみたいが、流石に6万円超
ともなると、二の足を踏むしかない。
が、世の中にはそこを飛び越えてこの商品を手にする人も、それなりに
いるのだろうなぁ。

先の経済効果の数字も、納得がいくというものである。



超合金魂 GX-45 マジンガーZ

バンダイ

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超合金魂 GX-36 伝説巨神 イデオン

バンダイ

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超合金魂 GX-34 ガンバスター

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1/60 マクロス 完全変形 VF-1J 一条輝機 with スーパーパーツ

やまと

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完全変形ゲッターロボ <リニューアルバージョン> メタリックタイプ

スタジオハーフアイ

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3 コメント

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Unknown (シャドー81)
2009-05-09 23:22:38
そういえば、マジンガーZ、TV大阪でやってますね。
現代風にアレンジされてますが・・・
返信する
焼き直しは (MOLTA)
2009-05-10 00:19:25
新解釈という意味では価値も有るけれど、新たなものを創造する力がもう時代に無いとも取れますからね。

新しいマジンガーは見ていないです。
声優が石丸鉄也で無いと分かった時点で、終わってしまった。

なんだ、俺って十分保守的(笑)。

まあそれはともあれ、やるからにはきっちりと新たな目線と切り口で取り組んで欲しいものです。

単に作画技術が向上して絵がきれいになった、だけでは悲しすぎますからね。

#週間少年マガジンに連載中の「新訳 巨人の星 花形」は、その意味で合格!
返信する
Unknown (シャドー81)
2009-05-10 08:40:03
それでもいいんじゃない?

ゲゲゲの鬼太郎なんか、新しいバージョンが出るたびに、ちょっと違うよなぁと思っているが、その世代その世代の鬼太郎が育っていけば。

単なる焼き直しで新解釈が無くても、生き続けること、これも大事のような気がする。

無事これ名馬。
なんてね(ちょっと使い方おかしいかな?)
返信する

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