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出版社:朝日新聞社 編集人:長谷川まち子
定価:400円(税抜) 発売日:11月25日
特集:いわくモノ
バタバタしていて。
前号のレビューをUPしないうちに、最新号が発売されてしまった。
ということで。
気を取り直して、新年1月号のレビューにかかろう。
今回のINDEXは、以下のとおり。
カラー特集1:ご利益神社&仏閣『ほん怖』おススメ、ベスト10!!
カラー特集2:氷室奈美のオーラドローイング(ゲスト:津久井教生)
コミック:
・魔百合の恐怖レポート「因縁の系譜」 山本まゆり
・影御前V「住んではいけない…その後」 小林薫
・「弱り目に祟り目」 ひわときこ
・「拒絶する空間」 語り:立原とうや 画:水原冬樹
・「離島怪奇譚」 葉山かれん
・スターインタビュー島田秀平「仏眼の語り部」 画:パルス
・心の処方箋「インナー・メディスン」
『親子の因果』 原案:神楽ゆう 画:堆木庸
”いわくモノ”特集
・第一話「封じられた叫び」 画:鯛夢
・第二話「魂籠め石」 画:有久裕子
・第三話「毟りとられた居場所」 画:筒井りな
・第四話「果てからの念波」 画:大友とも
連載
・霊能者・寺尾玲子の心霊質問箱
さて。
以上の中で、今回の私的ベスト3は…。
一位:影御前V「住んではいけない…その後」 画:小林薫
影御前というのは、この作品を書いている漫画家・小林氏の
守護霊のこと。
普通は先祖等がその役に付くらしいが、彼女の場合は自然霊
というから少し毛並みが変わっている。
面白いのは、直接的に彼女はその守護霊と話しは出来ず、
霊感のあるアシスタントさんを介して会話をしているところ。
そのシチュエーションもさることながら、今回気に入ったのは
その守護霊のドライさ。
小林氏が以前住んでいたマンション(持ち家)。
その家を業者を介して買った新たなオーナー夫婦が、霊障に
悩まされる。
その相談を受けて、何か出来ないかと悩む小林氏に、守護霊は
きっちりと”それはその人個人の問題。関わるな!”と引導を
渡す…。
今回、「インナー・メディスン」でも合ったのだけれど。
過去世の影響で今生に災いをもたらしている。
あるいは、過去世の業(カルマ)を解消するために今の辛さがある。
そうした話しを読むと、最近は気持ちが結構凹む。
今、こうして生きている、この人生は僕のものであり、その終始は
一人今の僕に責任を帰すべきもののはずだ。
それが、過去からの紐付きの因縁に縛られた人生になるなんて、
なんだか納得がいかないのだ。
そうした思いを持っていた中で、この守護霊のドライさが気に入って
一位に選出してしまった次第である。
二位:「封じられた叫び」 画:鯛夢
相変わらず、本誌執筆陣の中では抜群の画力を誇る鯛夢氏。
今回も、一位の座を謹呈したかったのだけれど、敢えて見送ったのは
2点の理由が。
一つ目は、今回の幽霊の表情。
ロッカーに閉じ込められて虐待死した男の子の霊が、知らずにその
ロッカーを使った女の子の眼前に現れる、というのが話しの骨子。
そうであれば、この話しにあるように、「ニヤリ」となんで笑える
のかなぁ?
そこがどうにも腑に落ちなかった故である。
もっとも、本誌の売りは、読者や漫画家の体験談をコミック化する
ことなので、今回のお話も読者からの投稿を(恐らくは)編集が
ピックアップして鯛夢氏に漫画化を依頼したもの。
であれば、その表情に不満をもたれても、俺も困るもんね。
と、鯛夢氏も思うであろうが…(笑)。
後、作画的には、ディジタル化が進んでいる影響だろうか。
人物の描線にあまり変化が無く、一本調子になっているように見える。
力の入れ加減で描線の太さが変わるペンでは無く、サインペンで
描いているようにも見える絵が多いのが、少し気になった。
後は、つい細かいところに目が行ってしまうが、2~3ページ目の
見開き下部の先輩女性の眼鏡。左右でツルの形状が違うのが気になる…。
(細かくて、すみません(汗))。
三位:魔百合の恐怖報告「因縁の系譜」 山本まゆり
藁人形という、あまりにも古風な呪詛の道具が主人公。
だけど。
そこに籠められた人の怨嗟の念がもたらす霊障の深さは、なかなかに
侮れない。
先ほど、過去世のカルマ話は嫌だと言っていたのと矛盾しないか?
僕が何だか抵抗を感じてしまうのは、運命論の部分。
単なる霊障ならば、それは交通事故みたいなものなので、OKである。
#この感覚も、また変わるのかもしれないけどね。
自分で変えていけるなら、それはそれでよし。なのである。
それにしても。
今回取り上げた寺尾玲子氏への相談は、何時にあった話しなのだろう?
最後のページで、相談者に対する予言が開示されているんだけど、
本人には告知せずに、メディアを介して発表してよいの?と思うけど、
流石にそれはないよね?(笑)
次点1:「弱り目に祟り目」 画:ひわときこ
この体験談にあるように自分も最近入院したので、結構臨場感を持って
読んでしまった。
確かに、様々な病歴の人がいる病棟だから、あまり不用意な発言は
不興を蒙るよなあと、今更だけど反省した次第。
次点2:霊能者・寺尾玲子の心霊相談箱
前回も、同じような講評をしたけれど。
この心霊相談箱。殆どがちっとも心霊相談ではないんだよね。
玲子さんのごく普通の常識の視線から見た”そんなの霊障なんかじゃ
ない!”とする断定が、小気味よい。
(この稿、了)
定価:400円(税抜) 発売日:11月25日
特集:いわくモノ
バタバタしていて。
前号のレビューをUPしないうちに、最新号が発売されてしまった。
ということで。
気を取り直して、新年1月号のレビューにかかろう。
今回のINDEXは、以下のとおり。
カラー特集1:ご利益神社&仏閣『ほん怖』おススメ、ベスト10!!
カラー特集2:氷室奈美のオーラドローイング(ゲスト:津久井教生)
コミック:
・魔百合の恐怖レポート「因縁の系譜」 山本まゆり
・影御前V「住んではいけない…その後」 小林薫
・「弱り目に祟り目」 ひわときこ
・「拒絶する空間」 語り:立原とうや 画:水原冬樹
・「離島怪奇譚」 葉山かれん
・スターインタビュー島田秀平「仏眼の語り部」 画:パルス
・心の処方箋「インナー・メディスン」
『親子の因果』 原案:神楽ゆう 画:堆木庸
”いわくモノ”特集
・第一話「封じられた叫び」 画:鯛夢
・第二話「魂籠め石」 画:有久裕子
・第三話「毟りとられた居場所」 画:筒井りな
・第四話「果てからの念波」 画:大友とも
連載
・霊能者・寺尾玲子の心霊質問箱
さて。
以上の中で、今回の私的ベスト3は…。
一位:影御前V「住んではいけない…その後」 画:小林薫
影御前というのは、この作品を書いている漫画家・小林氏の
守護霊のこと。
普通は先祖等がその役に付くらしいが、彼女の場合は自然霊
というから少し毛並みが変わっている。
面白いのは、直接的に彼女はその守護霊と話しは出来ず、
霊感のあるアシスタントさんを介して会話をしているところ。
そのシチュエーションもさることながら、今回気に入ったのは
その守護霊のドライさ。
小林氏が以前住んでいたマンション(持ち家)。
その家を業者を介して買った新たなオーナー夫婦が、霊障に
悩まされる。
その相談を受けて、何か出来ないかと悩む小林氏に、守護霊は
きっちりと”それはその人個人の問題。関わるな!”と引導を
渡す…。
今回、「インナー・メディスン」でも合ったのだけれど。
過去世の影響で今生に災いをもたらしている。
あるいは、過去世の業(カルマ)を解消するために今の辛さがある。
そうした話しを読むと、最近は気持ちが結構凹む。
今、こうして生きている、この人生は僕のものであり、その終始は
一人今の僕に責任を帰すべきもののはずだ。
それが、過去からの紐付きの因縁に縛られた人生になるなんて、
なんだか納得がいかないのだ。
そうした思いを持っていた中で、この守護霊のドライさが気に入って
一位に選出してしまった次第である。
二位:「封じられた叫び」 画:鯛夢
相変わらず、本誌執筆陣の中では抜群の画力を誇る鯛夢氏。
今回も、一位の座を謹呈したかったのだけれど、敢えて見送ったのは
2点の理由が。
一つ目は、今回の幽霊の表情。
ロッカーに閉じ込められて虐待死した男の子の霊が、知らずにその
ロッカーを使った女の子の眼前に現れる、というのが話しの骨子。
そうであれば、この話しにあるように、「ニヤリ」となんで笑える
のかなぁ?
そこがどうにも腑に落ちなかった故である。
もっとも、本誌の売りは、読者や漫画家の体験談をコミック化する
ことなので、今回のお話も読者からの投稿を(恐らくは)編集が
ピックアップして鯛夢氏に漫画化を依頼したもの。
であれば、その表情に不満をもたれても、俺も困るもんね。
と、鯛夢氏も思うであろうが…(笑)。
後、作画的には、ディジタル化が進んでいる影響だろうか。
人物の描線にあまり変化が無く、一本調子になっているように見える。
力の入れ加減で描線の太さが変わるペンでは無く、サインペンで
描いているようにも見える絵が多いのが、少し気になった。
後は、つい細かいところに目が行ってしまうが、2~3ページ目の
見開き下部の先輩女性の眼鏡。左右でツルの形状が違うのが気になる…。
(細かくて、すみません(汗))。
三位:魔百合の恐怖報告「因縁の系譜」 山本まゆり
藁人形という、あまりにも古風な呪詛の道具が主人公。
だけど。
そこに籠められた人の怨嗟の念がもたらす霊障の深さは、なかなかに
侮れない。
先ほど、過去世のカルマ話は嫌だと言っていたのと矛盾しないか?
僕が何だか抵抗を感じてしまうのは、運命論の部分。
単なる霊障ならば、それは交通事故みたいなものなので、OKである。
#この感覚も、また変わるのかもしれないけどね。
自分で変えていけるなら、それはそれでよし。なのである。
それにしても。
今回取り上げた寺尾玲子氏への相談は、何時にあった話しなのだろう?
最後のページで、相談者に対する予言が開示されているんだけど、
本人には告知せずに、メディアを介して発表してよいの?と思うけど、
流石にそれはないよね?(笑)
次点1:「弱り目に祟り目」 画:ひわときこ
この体験談にあるように自分も最近入院したので、結構臨場感を持って
読んでしまった。
確かに、様々な病歴の人がいる病棟だから、あまり不用意な発言は
不興を蒙るよなあと、今更だけど反省した次第。
次点2:霊能者・寺尾玲子の心霊相談箱
前回も、同じような講評をしたけれど。
この心霊相談箱。殆どがちっとも心霊相談ではないんだよね。
玲子さんのごく普通の常識の視線から見た”そんなの霊障なんかじゃ
ない!”とする断定が、小気味よい。
(この稿、了)
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これまで他の同様誌でも色々仕事をしてきましたがさすが「ほん怖」はその中でもスタンダードを名乗れる編集方針と誠実さをもった稀有な雑誌であるゆえ、僕からも自信をもってオススメできます。
…で、これは読者体験談コーナーに顕著な”決まりごと”なのですが、「手紙に書かれている話の流れと現象を変更してはならない。」わけです。
はい^^;これ、当然と言えば当然の事なのですが、同系列の雑誌が皆これを守っているのか?と問われれば、いささか疑問。演出のワクを通り越して”ふくらみ”を加味することはままあるように思います。
まあ、そんなわけでおっしゃるとおり、このマンガの「ニヤリ」もお手紙通りの「ニヤリ」でありまして、ネーム中符に落ちなくても無視するわけにはいかなかった、という。。。(笑)
ただ、僕が思うに幽霊の出現形態って、多分に目撃者の心理状態によるところが大きいのだと思うのです。
その時その霊がどんな表情だったか。どんな格好だったか。どんな言動をとったか。。。etc…は、因縁のある場所や場面に差し掛かったときに、全部目撃者の内面から引き出されるものではないかと。
なので、この「ニヤリ」はまだこの子供の事情を知らなかった目撃者が、「自分に害をなすものかもしれない、襲われるかもしれない」という恐怖から付け足してしまった映像だったのではないか?
…と僕自身では解釈しています。
まあ、クドクド書きましたが、そんな意味ででも幽霊ってのは「クリーチャーでなく人間」あるいは「人間が産み出したもの」なんだなあと思うわけです。
それを描ける機会をいただいてる。と思うとこれもやりがいのある仕事ではないかと(笑)
お忙しいところを、ご無理言ってしまいました。
でも、とても嬉しかったです。
まだ3月号のUPはできていませんが、近々必ずUPしますので、もう少しお待ちください。
#暫く、合唱ねたで忙しかったもので…。
「ほん怖」の真摯な姿勢は、僕も感じます。
他紙と比べると物足りなさを感じることもあるのは、逆に演出が過剰でないためということなんだろうなと。
オーバーに書こうと思えば、幾らでも話は怖く出来るでしょうけれど、それをするとノンフィクションではなくなっちゃいますものね。
しかし、最後の4行。
深い。深いですね~。
そう。結局は幽霊は枯れ尾花ではなく、人間なんですよね。
人の意識が生み出した(それが幻影であれ、本当に存在する霊であれ)ものなのだということを、改めて納得しました!
この一文で、ますます鯛夢先生のファンになりました。
次回作も、楽しみにしていますね~。