活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

ウォークマン30年

2009-09-01 00:00:05 | Weblog
2009年8月20日(木) 毎日新聞朝刊 8面 オピニオンより
筆者:中村秀明


※ この記事の原文は、こちらで読めます



ウオークマンが発売されて、先日の7月で30年を迎えた、という。

TOPにも貼り付けた初代ウォークマンは、衝撃的だった。
それまで音楽といえば、自室でスピーカーなりヘッドフォンで聞く
以外に選択肢は無かった。

それでも。
何とか音楽を身に纏いたくて。
少し小さめのラジカセを持ち歩いて音楽を聴いたりしていたことを、
よく覚えている。

そのことを思い起こすとき。
筆者の言うとおり、ウォークマンは正しくライフスタイルの革命
だったのだと、そう思う。


その、開発秘話について。
筆者は、井深大名誉会長の一言がきっかけだったと紹介する。

だが。
実際には、「ソニーには、自称ウォークマンの発案者が100人は
いる」と言われる程に、真相は混迷しているようだ。

さりありなん。
発想というものが、どれほど個人の突出したレベルであろうとも、
早晩それは他の人によって追従される運命にある。

むしろ、他者の追従が無い発想であれば、それは世に受け入れられな
かったということであり、消え去るのみとなるだろう。


その意味では、件(くだん)の「開発者は100人いる」という話は、
それなりに的を得ていると思うし、筆者が語るような

『iPODは、ウォークマンがなければ生まれなかったか、ずっと
 遅れて誕生しただろう』

とする予測は、当たっていないと思う。

それは偏に。
ウォークマンが出て、世の中が変わったのではなく。
ウォークマンが求められるような時代の声に押されるようにして、
ウォークマンは誕生したと思えるためである。


それが故。
仮にSONYがウォークマンを開発しなくとも、他のいずれかの
メーカーが、同種のものを開発~発売しただろう。

そして、それは長じてiPODへと通じる進化の道筋を辿ったに
違いない。


その意味で、僕は筆者が主張するその次のセンテンスにも、同意
しない。

筆者曰く、ウォークマンが他社との関わり合いを避けるような
風潮を生み出した源流であると語っているが、上述のとおり僕の
考えは真逆で、そうした源流があればこそ、ウォークマンは生まれ、
かつ世に受け入れられたと思っているからである。

所謂、100匹目のサルの話にも通じるようなサムシンググレート
というものがそこには有る、と思っているのである。

「ターミネーター」シリーズでも、ダイソン亡き後も結局、スカイ
ネットシステムは完成してしまったように。



もっとも。
SONYが開発していなければ、少なくともウォークマンという
名詞ではなかった可能性は高いし、そもそもあのような洗練された
フォルムを生み出しえたかどうかも分からない。

そうした意味で、SONYのデザイナー、技術者、ならびに開発に
関する意思決定権者には感謝せねばなるまい。

彼らのうち、誰が欠けても。

今頃は、ウォークマンとは似て非なるものを皆が持ち歩いていた
のかもしれないのだから。



今も、懐かしく思い出す。
初めて、ウォークマンの初期型を見たときの驚きを。
そして。
それがオートリバースへと進化を遂げたときの興奮を。


常に。
時代の流れの最先端に自分達がいるという気概。
それこそが、SONY SPIRITならば。

是非、iPOD全盛のこのご時勢に、一矢どころか二矢も三矢も
報いて欲しい。

今も尚。
ウォークマン(さすがに、ICタイプのものだが)を愛用する一人
として、切に願うものである。


(この稿、了)


(付記)
ただ、その復活を目指すものが、ローリーや耳かけ式ウォークマン
では、正直あまりにしょぼすぎる。

初代ウォークマンがもたらしたような、劇的なパラダイムシフトを
もたらすような。
そんなウォークマンが出てきてくれないものか。

#ローリーは、本来その位置づけで開発された商品なんだろうが、
 ものの見事にすかを食らったようである(泣笑)。


(付記2)
ウォークマン開発秘話については、シャンテ サラさんのブログ
なかなか含蓄に富んだ意見が収録されている。


SONY ウォークマン Xシリーズ FM付 NC機能 ワンセグ WiFi搭載<メモリータイプ> 32GB ブラック NW-X1060/B

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さぁて。
あなたは、どちらがお好み?(笑)
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10 コメント

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Unknown (MOLTA)
2009-09-06 22:15:02
今日。
携帯を買い換えるべく、ドコモショップに行ってきました。

iphoneに習ってか、タッチパネル全盛ですね。
でも、確かに使いにくい。
単に、慣れていないからだけかもしれないけれど。

しかし、それがAooleという納得の仕方は凄いなあ(笑)。
返信する
iPod派です (ぷちこ)
2009-09-05 14:38:06
特に高校生ぐらいの時はウォークマンほしかったなー。
もし当時手に入れてたらSONY信者になってたかも。
わたしがもっているのはiPodクラシックですが、nanoなら使いやすいかも。
iPhone使っているのでタッチが使いにくいというおことばはわかる気がします。
Mac使いとしては「それがAppleなのです」と納得するところではあります。
大学の時に弟が技術の授業だかで作ったというウォークマン?を勉強に使っているクラスメイトがいました。
勉強できないのは、道具や環境のせいにしてはいけないと
強く思いましたが、だからといって勉強熱心にはついぞなりませんでした( i _ i )
返信する
Unknown (シャドー81)
2009-09-05 07:02:02
その指摘、残念なことに、当たってます(T_T)
返信する
Unknown (MOLTA)
2009-09-05 03:18:26
なるほど…。
確かに、携帯の新機種購入検討していて、店頭でタッチパネルモデルを触っていても、結構イラつくときが多いです。

慣れてないからか?と思っていましたが、結構皆そう感じているってことかな。

#はっ。ひょっとして、シャドー81さんと僕だけが時代に取り残されている?(笑)


一般名詞かどうかについては、確かにブランドを持つSONYにしては死活問題ですよね。
誰もが自社製品にウォークマンを使えてしまうと、とんでもないことになるもの。

でも、裁判で係争までして結局主張が通ったってことは、結果論としてSONYにとってはよい宣伝になったのでは?とも思いますが(笑)。

後、ウォークマンが販売台数1位になったニュース、僕も見ました。
額面どおりに取れば、復活のSONY?というところですが、i-phoneがバカ売れしているので、そちらで携帯と音楽プレーヤーを兼ねる人が増えたのでは?という気もしてます。
とすれば、手放しでは喜べないなあと。
返信する
Unknown (シャドー81)
2009-09-03 23:38:10
例えば
・タッチのおかげで、聞きたい曲を選んで、聞こうとするとき、ちょっとずれて次の曲を押してしまったり
・キーが少ないがゆえに、何度も押さないとメニューにいかなかったり、また、もどらなかったり。
・1曲リピートの設定が、メニューにもどって設定画面に入らないと解除・設定ができなかったり。
・ポーズボタンを押して、音楽はとまっているのに、画面には再生中とでていたり
等々・・・

もちろん、自分が使い方を知らないだけのこともある(シャッフルが、メニューに戻らなくても解除出来るって最近発見)

タッチセンサーは、昔から嫌いだった(意志とは無関係に動くときがあるので)のをipodを買ってから思い出した(涙)

PS
オーストラリアでは、ウォークマンが一般名詞かどうかで裁判になりました。辞書に載っているかいないかが一つの判断だったようです。でも、そのときは辞書に載っていたが、一般名詞とは認められなかったようです。





返信する
Unknown (MOLTA)
2009-09-03 04:37:18
>宇宙ハンター55さん

そうですね。
ブレイクスルーとなる原動力となったという意味では、正にウォークマンは凄い商品だったのだ、と思います。

言われてみれば、今でこそ各社から類似品が氾濫していますが、ウォークマンの発売後に他社が出してきたのは時間が経っていたような・・。

松下やビクター辺りが何時ごろ出したのか、調べてみようっと。


>シャドー81さん
使いにくいんですか?
僕は、正直あのタッチが何となく羨ましいのですが(笑)。

一般名詞の話しは御意。
ただ、実際に海外の辞典にも和製英語ながら掲載されているようです。
その後に、誰もがSONYを見ることが出来れば、SONYにしてはしてやったり!なんでしょうが…。
返信する
Unknown (シャドー81)
2009-09-02 23:05:50
ウォークマンが販売台数1位になりましたね。

私は、ipodのデザインに惹かれて、乗り換えましたが・・・なんだか使いにくいと思ってます。

考えるに、それぞれの成り立ちが、PCから進化したipod、オーディオから進化したウォークマンといった違いなのかと思ってます。

でも、買ってしまったので今は・・・どんどん周辺機器がipod系に浸食されてます(笑)。

PS
ソニーは、ウォークマンが一般名詞しならないように努力してます(一般名詞になると商標として意味が無くなるので)
返信する
Unknown (宇宙ハンター55)
2009-09-02 12:59:44
同時多発的に研究されているものと、そうでないものがあると思います。
有機ELテレビなどは各社が必死に研究しているので、製品化された場合、一気に巷にあふれるでしょう。
ウォークマンはそうでないと思います。
類似商品が出るまでに、かなりの時間を要したからです。(一説には、ステレオミニプラグがつくれなかったらしい。)
ということで、ウォークマンはソニーらしい商品ということでいいですね。
返信する
う~ん (MOLTA)
2009-09-02 03:31:18
言われる意味は、よく判ります。
そして、その通りなんだろうとも思います。

ただ、電話の開発に例を見るまでもなく、新たな発明や発想というものは、世界で同時多発的に起こりうると僕は思っています。

勿論、単に”遅かれ早かれ”という括りは乱暴で、時代の先鞭者による独自性が大きく反映されることにはなるでしょうが…。

SONYが胡坐をかき過ぎてしまっていたということは、間違い無いと思います。

別にSONYの株主でもないので(笑)、SONYに過度の肩入れをする訳でもありませんが、やはりウォークマンという和製英語を国際的に通じる一般名詞化したSONYの功績は大だし、日本発(初)の文化をこれからも生み出して欲しいという一点において、期待しているところです。
(しかし、スカイセンター5550とは、懐かしい…)
返信する
Unknown (宇宙ハンター55)
2009-09-01 23:11:17
初代ウォークマンは、ソニータワーで視聴し、あまりの音のよさにびっくりし、自分のほしかったものはこれだと思いました。
すぐに、31,500円で購入しちゃいました。

『iPODは、ウォークマンがなければ生まれなかったか、ずっと
 遅れて誕生しただろう』

まったくそのとおりだと思います。
画期的な商品は、出現した時に、これは時代が求めていたものだと思わせるからです。

時代が求めているものが分かれば、誰も新商品の開発に苦労しません。(小柴先生もきっとそういうだろう。ニュートリノは遅かれ早かれ誰かが見つけただろうと言われて怒っていた。)

私はIpod派です。ソニーがMP3プレーヤーの開発にもたもたしている間にIpodを買ってしまったからです。

私はスカイセンサー5500からソニーファンなので、ぜひともがんばってほしいものです。
返信する

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