活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

国家情報戦略

2007-11-01 03:42:27 | 活字の海(仕込み編)
著者 佐藤 優/高 永  講談社+α新書

JR天満駅傍の古本屋で購入。

佐藤 優氏は、今更紹介の必要もないであろう。

と、偉そうに言いながら、実は僕は氏の書を手にしたことは、
これが初めてである。

本書を手に取ったきっかけは、やはりタイトルである。
戦後日本は、経済成長とは裏腹に、政治外交面では著しくレベルの低下を
してしまったと、僕は思っている。

直近の20年。
外交で日本がポイントを稼いだことはあっただろうか?

失点は、従軍慰安婦問題、教科書問題、靖国問題・・・と枚挙に暇が無いが、
得点となると、残念ながら思いつかない。

しかも、少なくとも上述のどの問題も、相手の外交戦略に乗せられて、
火の無いところに煙を立たされ、気がついたら自分の家が燃えているのに
自分が放火犯に仕立て上げられてしまった感がある体たらくである。

勿論批判をするのは簡単だが、自分が外交に携わっていたら、
ミスリードせずに済んだ等、誇大妄想な発言をする気も無い。

ただ、改めて戦後史を振り返ると、喪ったものの大きさに愕然としてしまう。

そんな日本における国家情報戦略とは、どんな位置づけで語られるのか?
どうすればよいという解を著者は持っているのか?

そうした関心から手に取った次第である。

まだ中身は読めていないが、例えば六カ国協議の真の狙いは日本の核武装を
抑止することだ、という氏の主張は納得感がある。

「核」をあくまで現保有国の枠内に押さえ込むことで、
世界のパワーバランスを変えまいとする現保有五カ国にとって、
北朝鮮の核仲間への参入宣言は、如何にもまずいものとなる。

それは、日韓といった北朝鮮近隣諸国が対抗措置として核武装に
走る恐れがあるからであり、更に北朝鮮から核技術が第三国に
流出することで、核がドミノ式に普及すれば、
もはや世界情勢をコントロールする武力スペックとしての核兵器が、
意味の無いものと化してしまう。

そんな五カ国の想いを具現する場が、かの六カ国協議であり、
それに対して日本のとりうる道はどうか、を論じていく氏の主張には
大きく頷首させられる。

そもそも核不拡散条約(NPT)そのものが、
現保有五カ国だけに特権を与える度し難いものだということは周知の事実であり、
その上で五カ国は外交力と経済力、更には武力まで行使して、
他の国々に対して核保有を認めさせない枠組みを維持するための装置である以上、
北朝鮮の自衛のための核保有がなぜ悪いのか?という問いに答えられる
五カ国はいない訳だし。


この本の中で、他にどのような主張が、氏と共著者の高氏から語られるのか、
又ひとつ秋の夜長の楽しみが増えてしまった。

が、睡眠時間が・・・

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