活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

見える!私にも音が見えるぞ! 「住之江の第九」(その8)

2010-01-31 20:51:32 | 一万人の第九(音楽の海)
開催:2010年1月24日(日) 開場:14時  開演:14時30分
会場:住吉区民センター 大ホール
指揮:木村俊明
ソプラノ:柏本淑子 
アルト:橘 知加子 
テノール:小野裕正 
バリトン:松岡剛宏
管弦楽:交野シティ・フィルハーモニック
合唱:住江第九合唱団 in OSAKA

主催:住江第九合唱団 in OSAKA実行委員会
後援:住之江区役所/住之江小学校区わがまち会議/
   大阪市生涯学習推進委員住之江区連絡会
協賛:住之江・南港ライオンズクラブ



■第4楽章(続き)
Mの爆発を経て。

曲想は、喜びの爆発から静かなる定着へと遷移していく。

そして。
ヴァニラブックス氏も、そのブログで書かれていたとおり
木村先生が、ゲネプロ、あるいは今日のリハーサルでも再々に渡って
力を籠めて指導されていた箇所。
631小節からのAdagioへと差し掛かる。

ここのff。
少し失敗してしまったかも、という思いがある。

しっかりと、音の天井を作らないといけないのだけれど。
勢いに任せて、下から上へのスタッカート気味になってしまったような
気がする。

こうした部分って。
やはり、自分の声をきちんと再検証してみたい。

勿論、自分で歌ってみれば良い訳なんだけれど。
出来れば、コンサートの雰囲気と演奏の中で、どのように歌っているのかを
確認したいのだ。

全体を収録した音源では、自分の声を特定することなど出来やしない。
それをやろうとすれば、自分の喉元にでもマイクを設置して、自分録りする
しかない。

でも、いくら私的利用に徹すると言っても。
演奏等が入ることで著作権の問題は発生するために、厳密にいうと難しい
のだろうなあ。

う~ん。
悩めるところ、である。


さて。
曲は進み、いよいよ二重フーガである。

この章のタイトルは、この二重フーガでの出来事に由来する。
本来、フーガは追いかけっこ。
それぞれのパートが、まるで猫がじゃれあうようにグルグルと回りながら
進んでいくことである。
それが、この部分では。
ソプラノからバスまでの四つのパートがお互いにフーガを構築する結果、
二重フーガと呼ばれる複雑な様相を呈することとなる。

万九に参加している時にも。
よくレッスンでも先生から互いのパートをよく聞いて、というご指導を
いただいていたのだが。
周囲が同じパートで埋もれていることもあってか、つい自分のパート
ばかりを追いかけてしまっていた。

畢竟それは、自分自身の声だけにしか意識が向いていないということで
あり、必要以上に力の入ったがなりたてるような状態になっていた
ということでもあろう。

それが。
今回の住之江の第九では。
何度も繰り返すが、総勢104人という規模である。
各パートの距離感も近い。
その結果。
今回の第九では、初めて僕もテノールとの掛け合いになっている部分や、
バスの前を逃げるようにソプラノが走っていく様を感じることが出来た!

いやあ。
これは嬉しかった!

この感動をして、標題の台詞となった次第である。


ここからは、一気呵成。
畳み掛けるように音楽が渦を巻いていく部分である。

万九ではよく回数を間違えて叫ぶ人の多いAlle Menschenの繰り返し(S)や、
有元クラスでは有名な財政再建の箇所(851小節)(笑)等が続く。

#Alle~については、今回は間違えた人は無し。
 もっとも、この人数で間違えたら途轍もなく目立っただろうけれど(笑)。



そして。
いよいよ。
フィナーレの時が近づく!!

Tに入って、もう曲は最高潮!
脳内ドーパミン出まくりである。

913小節からのToch~は失敗! 
おずおずとした出だしになってしまった!

もっと力強く、ffで出ないといけなかったのに~。
と、気にするまもなく力を抜いて~Elysium!。

ここから先は、正に雪崩である。
木村先生からも、もうどんどん先行していいです。
思いっきりFreudeしてください!とリハーサルでも言われていたことも
あって。

万感の思いを籠めて、魂の底から声が出るように歌う。

木村先生のゆっくりしたタクトによって。
ラストのfunken!もしっかりしっとり気味に歌われる。

これが、僕の好みにもピッタリ。
ここをキリッと纏め上げるのも悪くは無いんだけれど、ある程度は
余韻を残して最後のオケの雪崩に酔いしれたいのだ…。





そして。
住之江の第九は、僕の中で大きな感銘を残して幕を閉じた。

写真は、幕が閉じて人が去った後の舞台。寂寥感~。



この規模の第九に初めて参加したことによって、様々な気づきを得る
ことが出来た。

そのことは、これまでの中で記してきたけれど。
自分にとって、本当に大きな財産になったと思う。

この機会を僕にもたらしてくれたのは。
第1回でも書いたけれど、ヴァニラブックス氏のtwitter上でのつぶやき
からだった。


Alle Menschen werden Brüder.
全ての人々が、兄弟となる。

シラーが書き起こし、ベートーベンが夢想した人類の姿は。
こうして、21世紀の今となっても。
形を変えて、脈々と受け継がれている。

そのことを。
僕たちの声が、演奏が。
今は天界にいる二人の魂に、届けることが出来ただろうか。

それは判らないけれど。

万九に参加し損ねて、本年度はもう第九を歌うことは無いと思っていた僕が。
今日、ここでこうして歌うことが出来た。
そのきっかけを与えてくれた、ベートーベンからtwitterまで、全てのものと
全ての人に対する心からの感謝を籠めて、今回の稿を終えたい。

(この稿、了)


(付記)
この規模の第九では。
終了後の片付けも、合唱団の重要なお仕事の一つ。
#といっても、事務局の方の労苦には及ぶべくも無いが。

第1回でも書いたように、観客席前面のスペースに並べた折り畳み椅子は、
舞台下の収納スペースに7脚ずつきちんとしまわれる。


あっという間に、ひな壇その他が取り払われていく舞台。
もう殆ど何も残っていないけれど。
ここで、確かにあの演奏はあったんだ…。





この後。
思わぬ展開から、木村先生を囲んでプチ打ち上げとなった次第だけれど。
その顛末は、ヴァニラブックス氏が詳細にご自身のブログにUPして
いただいているので割愛。

少しだけ、言及すると。
生ビールで喉をうがいした((C)木村先生(笑))後は、焼酎へ移行。
それが、こちら。

なんつーネーミングだろうか?(笑)。

結局、1本では足りずに追加で更に入れたボトルはこちら。


楽しかったなあ。



4分間の第九交響曲―カザルスの果たされた夢
石井 清司
日本放送出版協会

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4 コメント

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Unknown (シャドー81)
2010-01-31 22:14:36
今回のレポート。すばらしい!

いままでも、各種レポートをアップしていたけど、いつもにもまして、内容、表現に磨きがかかっている。

しかしまぁ、これだけよく覚えているもんだ、メモか録音でもしているのでないかと思ってしまう。

ひとつの才能だなぁ・・・すばらしい。

一万人の第九を応募しなかったおかげ?で生まれた、新たな出会いに、新たな経験。

よかったですね。
返信する
Unknown (MOLTA)
2010-01-31 23:33:11
ありがとうございます!

万九ベテランのシャドー81さんにそう言っていただけると、面映いですが嬉しいです。

が、肝心の歌の方はまだまだ。

2月に大阪市内である別の第九にもお誘いを受けているので、現在日程を調整中です。

シャドー81さんも、いかがですか?
返信する
公演&執筆 (まさぽん)
2010-01-31 23:46:58
おつかれさまでした~
距離の近い第九という感じがひしひしと伝わってきました。
お祭りだけでなく、関西にいたら大きい第九、小さい第九、アマオケ、プロオケと、いろんなシチュエーションで歌う機会がありますから、どこかの会場でお会いできることを楽しみにしております。
・・・ツイッターはデビューしてませんが。。。

さて、そろそろ他の曲も歌ってみたくなりませんか?
来年の9月に向けて新プロジェクトが始動する見込みですので、興味があったら声かけてくださいね。
詳細はそのうち私のブログで発表します
返信する
Unknown (MOLTA)
2010-02-01 21:55:34
>まさぽんさん

こんばんは。
ありがとうございます。
僕にとっては、合唱の大御所とも思えるマサポンさんにお誘いいただけるとは光栄至極です。

確かに、第九以外もやってみたいなあと思っていました ^^;。

誘うんぢゃなかったとがっかりされないように頑張りますので、よろしくお願いします(笑)。

また、ブログでの発表を楽しみにしています。

あ、それとツイッターデビューも、プチコ氏と楽しみにお待ちしています^^
返信する

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