壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

ウソ

2009年01月17日 21時06分51秒 | Weblog
 大学入試センター試験が今日から始まった。54万人が受験し、そのうち79パーセントが現役だという。いよいよ、入学試験シーズンの到来である。

        鷽替に楠の夜空は雪こぼす     朱 鳥

 入学試験というと、学問の神様として信仰を集めている天満宮を連想する。
 1月7日に福岡県の太宰府天満宮、1月24、25日に東京の亀戸天神でも、鷽替(うそかえ)の神事が行なわれる。
 木で作った鷽に昨年の罪穢を託して送り捨て、代わりに今年の幸運を招く鷽を取り替えあう。今は、社前で買った鷽を社務所で交換する。
 亀戸天神では、木曽檜で作られた大小11種の鷽の御守が三万五千体ほど準備され、多くの人出で賑わう。鷽替は、凶事がウソになり、吉事に取り替える、という意味がある。
 東京の湯島天神でも1月25日の初天神から、開運うそ(大700円、小500円)が授与される。例年、一週間ほどで無くなるので、お早めにどうぞ。
 これらの他、全国の天満宮では、正月の行事として、鷽替の神事が行なわれる。

 ところで、このウソというのは、どんな鳥なのであろうか。

        鷽の来て雪こぼしをり雪の晴     澄 雄

 ウソは、雀よりもやや大きく、文鳥に似た可愛い小鳥だ。くちばしが太く黒く短い。背中は青みがかった灰色、頭と尾は黒く、腹の方は背中と同じ灰色にうすくかすかな紅色がかって、ほのぼのとした美しさを持っている。

        照鷽や赤松しるき神の山     白 潮

 ただし、雌には、この紅色がないので、美しい雄の方を、特に照鷽(てりうそ)といって、晴を呼ぶといわれ、雌は雨鷽(あまうそ)といって、雨を呼ぶといわれている。
  西行法師の『山家集』にも、

        桃園の 花にまがへる 照鷽の
          群れ立つ折は 散る心地する

 と見えている。さすがは自然詩人の西行、美しい表現をしたものである。

        鷽鳴くや山頂きに真昼の日     遷 子

 さて、ウソの声は澄み透って美しく、口笛に似ている。このウソの声を真似て、口笛を吹くことから、口笛のことを、ウソブキと表現するようになった。
 また、この鳥が夢中で囀っている時には、枝にとまった二本の脚を、代わる代わる上げながら鳴くので、ちょうど、人間が琴を弾く手さばきに似ているところから、琴弾き鳥と呼ばれるようにもなり、その声と姿の美しさから「鷽姫(うそひめ)とも呼ばれている。


      竹喬の樹間の茜梅さぐる     季 己