壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

『去来抄』13 田のへりの

2011年12月02日 22時13分59秒 | Weblog
        田のへりの豆つたひ行く螢かな

 これはもともと、先師が添削された凡兆の句である。
 『猿蓑』編集の時、凡兆は、
  「この句は見どころがないので、取り除いた方がよい」
といった。
 私、去来は、
   「田のへりに生えている豆を伝って飛んでゆく蛍の光は、
    闇夜の景色として、風情がある」
といって入集を乞うたが、凡兆は許さなかった。
 先師は、
   「凡兆がもし捨てるなら、わしがそれを拾おう。さいわい伊賀の
    作者の句にこれに似たのがある。それを直してこの句にして、
    集に入れてやろう」
といわれて、ついに万乎の句ということにした。


      腰さすり手洗ひに立つ炬燵かな     季 己