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壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

こほろぎ鳴くも

2011年12月04日 21時46分31秒 | Weblog
                  作者不詳
        秋風の 寒く吹くなべ 吾が屋前(やど)の
          浅茅(あさじ)がもとに こほろぎ鳴くも 
(『万葉集』巻十)

 「吹くなべ」は、吹くに連れてというほどの意。
 「浅茅がもとに」というのが、実質的でいい。結句の「も」は、哀憐(あいれん)のこころをあらわしている。この「も」は、万葉に甚だ多いが、古今集以後、この「も」をだんだん嫌って少なくなったが、こう簡潔につめていうから、感傷のいやみに陥らぬ、ともいうことができる。
 万葉にはこの種の歌が多いが、実質的でごまかさないのと、奥に恋愛の心をひそめているからであろう。


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