日本漢字能力検定(漢検) ブログランキングへ 故事成語類(実践問題その10)です。 難易度:「やや難」
(よみ)
①
蓼蓼たるは莪(が) 莪にあらずんば、これ蒿(こう)・・・
②子曰く、君子は博く文を学び、之を約するに礼を以てせば、亦以て
畔かざるべし。
③子曰く、臧文仲(ぞうぶんちゅう)、蔡(さい)を居き、節を山にし、
梲に藻す。何如ぞ其れ知ならんや
④これを仰げば弥(いよいよ)高く、これを
鑽れば弥(いよいよ)堅し
⑤雉の
頓使い
(かき)
①故旧は
(たいこ)なければ則ち棄てず
②子曰く、論の篤きにこれ与(くみ)すれば、君子者か、
(しきそうしゃ)か。
③子、陳に在(あ)りて日く、帰らんか、帰らんか。吾が党の小子、狂簡、斐然(ひぜん)として章を成す。之を
(さい)する所以を知らざるなり。(注)【斐】あや、あやのあるさま。 縦糸と横糸で織りだした美しい模様。【斐然】ひぜん。あや模様があって美しいさま。
④「鳶、
(ふそ)を掴んで鳳凰を恐る」「
(ふそ)の嚇」
⑤
(じひつ)の民 (注)訴訟の激しい風土にある民のこと。「じひつ」とは頭の髪などに筆を挿むこと。
回答・解説はこのあとすぐ(^^)


回答・解説
(読み問題)
①(
りくりく):<詩経・小雅「蓼莪(りくが)」>「
蓼蓼たるは莪 莪にあらずんば、これ蒿 哀哀たる父母 我を生みて劬労(くろう)す」。「四字熟語辞典」の1番目に出てくる「哀哀父母」の補説・出典から。
蓼蓼(りくりく):長くのびて生長するさま。莪(つのよもぎ):蒿(よもぎ) (訳)柔らかく味のよい莪(つのよもぎ)を作ったのに、いつの間にか大きくなって、葉の堅い蒿(よもぎ)をなってしまった。父母は私を、良き人となるように苦労して育てたのに、私は図体ばかり大きくなって父母の愛・恩に報いることができない。蓼:リョウ、
リク、たで 莪:ガ、つのよもぎ、きつねあざみ 蒿:コウ、よもぎ
②(
そむ):四字熟語「
博文約礼」(出典:論語・雍也篇)。(通釈)孔子云う、「君子(人の上に立つ者)は偏らないように幅広く学び、学んだことを秩序立て要約できたなら、まず以て正道を踏み外すことはあるまい」と。(参考)「博文約礼」は、広く学んで秩序立てて要点を整理すること。反対に、「
繁文縟礼」は、中身がないのにこまごまとしてやたらに煩わしいこと。畔:中学…ハン 準1…あぜ、くろ、ほとり、
そむ(く)
③(
せつ):
梲(せつ)は「うだつ・うだち」(
卯建)のこと。梲:セツ、タツ、
うだち、うだつ、つえ 「臧文仲は、諸侯でもないのに、国の吉凶を占う蔡(さい)をもっている。しかもそれを置く節(せつ)には山の形をきざみ、梲(せつ)には水草の模様を描いているが、それは天子の廟の装飾だ。世間では彼を知者だといっているが、こんな身のほど知らずが、なんで知者といえよう」と訳している(「現代訳論語」より。)。
④(
き):
鑽:サン、たがね、きり、のみ、
き(る)、うが(つ)、きわ(める)論語・子罕(しかん)の「これを仰げば弥(いよいよ)高く、これを鑽(き)れば弥(いよいよ)堅し」から」聖人や偉人の徳を仰ぎ尊ぶこと。音熟語は
「鑽仰」(さんぎょう・さんごう)。
⑤(
ひた):「
きぎしのひたづかい」(古事記の故事)行ったきり帰って来ない使い。一説に、副使をつけず一人だけで遣わす使いを忌むことば。《語源》天稚彦(アメワカヒコ)が葦原(アシワラ)の中つ国へ下ったまま帰って来ないので天照大神(アマテラスオオミカミ)はその理由をたずねるため使者としてきじをつかわした。天稚彦はそのきじを矢で射殺してしまい、その矢が天上に届いた。呪いの文句とともにその矢を地上に投げ返すと天稚彦の胸にあたって死んだという故事から
(書き問題)
①(
大故):周王朝の国づくりにあたった名補佐役の周公旦(しゅうこう・たん)が、息子を封地に派遣した際に与えた次の訓戒の中に同文がある。「君子はその親を施(す)てず。大臣をして以いらざれるを怨ましめず。
故旧は大故なければ則ち棄てず。備わらんことを一人に求むるなかれ」(・親族はおろそかにしてはならない。・重臣たちに自分が無視されたという不満をもたせてはならない。
・昔馴染みはよほどのことがないかぎり見捨ててはならない。・一人の人間に完全さを要求してはならないい。)
大故→「大きなあやまち」「大きな悪事」とでもいうような意味でしょう・・・。
②(
色荘者):(訳)議論の誠実さだけを頼りにすると、その人が本物の君子なのか、表面的に君子を装っているだけの人なのか区別できない。
色荘者:色は外部にあらわれる言語動作の類をいう。荘は荘重にすること。表面を飾って立派に見せる人をいう。(「論語新釈」(講談社学術文庫)より。)
③(
裁):(文意)孔子が旅先の陳に滞在していた時に云った、「帰ろう!帰ろう!故郷の若者達は、志は大きいが粗削り過ぎる。まるで美しい錦を織り上げていながら、
これを裁断して衣服に仕立てる方法を知らずにいるようだ。魯に帰って我が道を伝えることにしよう」と。前段だけだと「
斐然成章」(斐然として章を成す:才徳あることを称する言葉)という熟語あり。
④(
腐鼠):(「腐鼠」は、くさったネズミ。転じて、つまらないものにもいう。「嚇」は、拒み、怒って発する声)腐ったネズミを手に入れたフクロウが、頭上を飛んで行く鳳凰が自分の獲物を奪い取るのではないかとあげる威嚇の声。いやしい者が尊い者を自分と同列に考えて、自分が大切にしている、つまらない物を取られるのではないかと恐れること。転じて、いやしい考えの者が他をおしはかること。
⑤(
珥筆):中国11~13世紀ごろ、訴訟が激しく多いとされる土地は、江南東西二路と、荊湖南路の江西吉州・袁州と接する地方の2か所だったらしい。そのうち江西路は、とくに激しい地域として有名で、江西の民は北宋より特に「
珥筆の民」と称され、また
「簪筆」との譏りを受けたともいう。「珥筆」も「簪筆」も頭の髪などに筆を挿むこと、要するに官吏のように訴訟にしたがうことを意味する。
珥:ジ、みみだま、さしはさ(む)
如何でしたか?ではまた・・。