東美濃FW -2-
令和6年9月29日、いつものメンバー(積知積徳会)で、東美濃周辺へFW(フィールド・ワーク)に行ってきました。その様子を数回にわたってお知らせします。
1から6が今回の訪問地です。
1 富加町郷土資料館 2 夕田墳墓群 3 清水寺 4 加治田城 5 いぶカフェ 6 日龍峯寺
AからIは関連地です。
A 美濃金山城 B 猿啄城 C 堂洞城 D 龍福寺 E ヤマザキマザック工作機械博物館
F 関市役所 G 米田城 H 八坂山城 I 関城(安桜山城)
第2回は、富加町郷土資料館-2-です。
ここは、現存する最古の戸籍、いわゆる半布里戸籍が有名です。
今から約1300年前、大宝2年(702年)に『御野國半布里戸籍』が作られました。
これは現存する日本最古の戸籍であり、全国的に見ても、奈良東大寺正倉院に残っている数少ない戸籍のうちの一つです。この写真はレプリカで、本物は正倉院で保管されています。
ここには、54戸、1,119人の人々の氏名・続柄・年齢などがほぼ完全な形で残っています。極めて貴重なものです。
なぜ正倉院に半布里の戸籍があるのか?
戸籍は6年ごとに書き換えられ、30年ごとの保管期間を過ぎたものは破棄されました。しかし、当時の紙は貴重であり、裏面を再利用されることもありました。
半布里戸籍も裏面が東大寺写経所の帳簿に使用されました。そのため、運良く正倉院に保管されたのです。
そもそもなぜ戸籍を作ったの?
701年の大宝律令により、中央が各地の人々を把握する必要が出てきました。
そこで全国を、「国-郡-里(郷)」に分け、各里(郷)ごとに、人々の戸籍を作成しました。これらをもとに、税、徴兵、班田の資料として利用したのです。
戸籍は、郡の役所が里(郷)ごとに3部作成し、1通は国に納め、2通を都へ送りました。
資料館の展示を見てみましょう。
拡大します。
読めますよね。
戸籍の読み方です。
丁寧に解説されています。
当時の地縁的なつながりが見えてきます。
ここからは、資料館の資料「大宝二年御野國加毛郡半布里戸籍」から紹介します。もちろん「御野國加毛郡」は「美濃国加茂郡」のことです。
社会科教師でありながら、ここまで詳しい戸籍の資料は初めて見ました。
44人家族の関係図を示してくれています。読み解いてみましょう。
戸主は、縣造吉事さん。28歳にして、44人の大家族の長(戸長)です。
現代では、同居家族程度が戸籍の単位ですが、これを見ると、兄弟、いとこも含まれています。
「里」は、50戸で構成します。1戸平均、20名ほどだそうですので、縣造家は当時でも大きな家族です。
この「戸」が納税の単位でもあります。
面白い!
実は、この戸籍は数多く研究されており、以下のような論文があります。
全32枚あります。
https://rekihaku.repo.nii.ac.jp/record/2000095/files/kenkyuhokoku_235_15.pdf
田中先生は、その前にこの論文を書いています。
https://senshu-u.repo.nii.ac.jp/record/7567/files/3062_0049_07.pdf
岡山大名誉教授の吉田先生の論文です。
https://www.i-repository.net/contents/osakacu/kiyo/111E0000017-12-1.pdf
2015年の論文です。35ページです。
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/240431/1/shirin_098_6_806.pdf
2種類の戸籍を比較分析しています。35ページあります。
この戸籍のように詳しい史料は、研究者にはありがたい存在です。
このくらいにしておきます。
動画でも紹介されています。
発見!とみか歴史チャンネル(その1)富加町郷土資料館紹介
移民受け入れの決定的証拠 半布里(はにゅうり)戸籍
墨書土器についても触れておきます。
墨書土器は、食器における属人性を語るうえで、ポイントになります。
他国では見られないことです。
長くなったので明日に続きます。
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