@じゃんだらりん

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流血の夏/梅本弘・著

2008-05-12 | 【読書】ミリタリー
>1944年夏、フィンランドに2度目の奇跡が起こった。夜が訪れることのない北欧の夏。北フランス、ノルマンディの海岸に連合軍が上陸した3日後。フィンランド南部、カレリヤ地峡の前面に恐るべきロシア軍の大軍が蝟集していた。おびただしい数の航空機と砲兵に支援されたロシア軍は、たちまちフィンランド軍の戦線を破り、重戦車の大軍を先頭に10日間で百キロを前進。首都ヘルシンキを中心とした南部フィンランド全域の占領も間近と思われたそのとき、全予備兵力を結集したフィンランド軍による乾坤一擲の大反撃が発起された。そして起こるはずのないことが起こった。ロシア軍による戦略攻勢を挫折させたフィンランド軍の驚くべき敢闘。



ナチス・ドイツとソ連という欧州の大国の間で、綱渡りの生存競争を余儀なくされ続けた小国フィンランドは、1939~40年の「冬戦争」で激闘の末、何とかソ連の侵略を食い止めた。

そのことは同じ著者の「雪中の奇跡」という本に詳細が載っている。

しかし、またもやフィンランドに戦争の波が襲う。1941年6月の独ソ戦開始に伴い始まった第二次フィンVsソ戦の、俗にいう「継続戦争」は1944年の夏、停戦終了し、過酷な講和条件を飲んだもののフィンランドは独立国として存続することが出来た。

「戦争をすること=すべて悪」と断ずるのは容易い。だけども彼らがこの時立ちあがらなかったら、フィンランドの現在はチベットか新羅ウイグルの様になったいたかもしれない。そんなことになる訳がないと誰が断言できよう。

そして、もう一つの幸いだったのはフィン国が自国の独立以外を望まなかったこと。

「勝ちは、五分の勝ちが望ましい」(by武田信玄)という言葉があるが、勝ち過ぎた戦争は逆に国家組織を腐らせる。

日露戦争までは自国の独立を守るため奮戦した日本人も、その後は軍部が権力を握り拡大路線で防衛圏を広げて、最後には国ごと滅んだ。

どんな正統性があろうとも、戦争は長引けば必ず国家を腐らせる。その前に戦争を止めることが出来たフィンランドとは(語弊あるが)ある意味幸せな国なのかも知れない。




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